富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十一月十四日(火)斉藤さんがどんなに忙しくても日記は翌日のうち(翌晩、日付が変わらぬうちに)前日の日記を更新することを(飛行機での移動中でもない限りは)自分の課題としているのは、日記の更新など遅れ出すと遅れっぱなし、歯欠けになること必至だから、とおっしゃっているが同感。今現在十四日晩十時、あと二時間で翌晩の日付変わるところでギリギリセーフで十三日の日剰綴る。というほど諸事忙殺される日続き朝もさすがに五時すぎに目覚めずぎりぎりまで睡眠貪り、あっという間に晩に至る。NHKの「クローズアップ現代」で「愛国心、揺れる教育の現場」という番組流す。このタイトルだけで自民党政府よりNHKの偏向ぶり質されそうだが、愛国心を小学校でどう教えるか?につき東京の学校現場での取材。二つの授業風景。一人目の教師は愛国心は「国を愛せ」と強制でなく具体的な感情を育むことが大切、と児童に日本の素晴らしさ、美しさを感じるか?と導入で問いかけ漠然とする子どもらに美しい富士山だの四季折々の風景など見せ授業の最後には子どもらが版で押したように「四季のある美しい日本に生まれたことの幸せ」語る。おぞまし。美しい風景など見せ「きれいでしょう」と。そりゃきれい。それぢゃ四季もない砂漠で、アフガニスタンの荒涼とした風土で、この教師はアフガン政府から愛国心教育を求められた場合どう教えるのか? それが出来たら大したもの。四季のある日本の美しさ、は怏々として他国への蔑視となる。別の教師はかなり考えた結果「箸」を材料に、箸の作法を提示し千二百年にもわたり?なぜ箸の作法が受け継がれてきたのか、それが伝統であり文化だ、と。それぢゃなぜそういう箸の作法が生まれたのか、みんなで考えてみよう、って小学生相手に……。そんなもの、美しいか、美しくないか、箸と箸で渡すのが焼き場での骨拾いのようなのでいけないといった禁忌など、箸にかぎらずナイフ&フォークでも、手づかみでも作法あり。箸づかいから伝統や文化教えようという発想は「四季のある美しい日本に生まれた幸せ」よかまだマシだが結局、伝統や文化の大切さから愛国心教えようというところに無理あり。この取材はNHKの限界で、一人の教師に小学校で愛国心を教えるのは限界がある、と終わる。このような番組が作れるのはNHKBBC的に公共放送であるから。だが着々とNHKプロパガンダ放送化は進む。久々にNHKらしさにそれなりに感動したがNW9が「またいじめで自殺」と「また」いじめ報道。会津の男、柳澤某のつまらないコメント。マスコミがこんなに「いじめ」取上げてくれたら自殺する子も増えるだろう、と思いつつテレビを消す。最近、偶然にネットで再開した小学校の時の同級T君(今では某大手電力会社のエリート研究員となっていた)とメールのやりとりしていて「いじめ」の話となり、今の子も真っ青なほどかなり悪質な集団でのいじめをしたり、一部されていたりもしたが、当時、それで相手が自殺するとも思ってもいなかったし、実際にいじめられていた子も登校拒否にすらならず、なんて強かったのかしら。おそらく「いじめ」の度合いはけしてひどくなっておらず(本当に当時のいじめもかなりの悪質であった)、今の子どもがけして昔よか弱くなっているのでもなく、いじめを苦にして自殺、の増加は「いじめられたら自殺という方法で」その苦境からの解脱、いじめをした子や助けてくれなかった大人への復讐、文部大臣をも狼狽させるだけの社会的な反響などなど……マスコミの報道みれいれが「こういうテもあるのか」とじゅうぶんに学習できよう。マスコミは偉大。
▼数日前の新聞に中国の北朝鮮国境で黄海に面した遼寧省の丹東からロシアのウラジオストクまで鉄道路線を敷き産業復興という記事あり。その路線が北朝鮮国境の秘境、カルデラ湖の長白山(白頭山)に近い麓の二道白河を通るとあり、あの山中を……と驚いたが今日の新聞には中国側が、この朝鮮民族の聖地を観光開発に意気込み3.6億元かけて空港建設との由。世も末。私自身はもう二十年ほど前だが一人旅で確かハルビンから吉林省吉林を経由して朝鮮族多い延吉行きの列車で確か敦化という小さな都市で列車を降り、そこから山道を越えるかなり危ないバスで一日かけて白河という山中の小さな町に至り更に長白山の天池の麓の村で一泊。小さな宿で「あんたの水はこれ」とバケツに1杯の水を、これが明朝までの生活用水と渡され、水がこれほど貴重か、と驚いたもの。翌朝、そこから長白山へと登ればカルデラ湖の対岸は北朝鮮。夕方、麓の村に戻りまた一泊して翌朝、白河から列車で通化という小さな都市に出る。かなり山あいなのに鉄道が敷かれていたことに驚いたが、これが満州の鉱石運ぶ鉄道であったため。で通化ソ連侵攻受けた満州の戦争末期の政府大本営の移設地であったことなど知る。そこから夜汽車で一晩揺られ翌晩に瀋陽に出る。ハルビンから瀋陽までかなり急いで長白山観光に費やした四泊五日。中国の確か死ぬまでに訪れたいと願われる三大秘境だか何かの一つで、標高2744mで年のうち9ヶ月は雪に覆われており、この交通の不便さ、で当時は夏でもカルデラ湖畔には何十人だか数えられる程度。長白山から下る時に麓から輿に担がれ上がってくる客あり警備員も同行で、誰かと思えば周恩来夫人の?頴超女史であった。

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