富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十一月七日(火)朝六時すぎに茶を啜りながらSCMP紙のスポーツ欄で今日のメルボルンカップの記事を読んでみると(競馬欄でなく純粋なスポーツ欄)日本馬ポップロック評価しつつデルタブルースも侮れぬと分析あり、まぁ地元贔屓で香港馬Tawqeetとその日本馬二頭の三点買い、単勝は香港ならオッズ的にはポップロックか、と思う。午前中のっぴきならぬ急件ありバタバタしているうちに馬券買うことも忘れており、ハッと気づけば昼すぎ。メルボルンカップ終了、で結果見れば「あらーっ」でデルタブルース優勝で二着がポップロック。香港で連複56倍……買い逃す。諸事忙殺され晩に至りHappy Valleyの寿司澄にY氏と食す。音楽会帰りのZ嬢も来る。Happy Valleyで競馬開催あり。昼のメルボルンカップで馬券買えなかったことがまだ悔やまれる。
教育基本法改正案来週中に衆院特別委員会にて与党賛成多数で政府案のまま可決見通し強まると朝日新聞一面トップ。立花隆氏が述べている。(以下、要旨)
いま教育が多くの問題をかかえているのは事実。それらは教育基本法とは全く別の次元の問題であり、ひとつひとつ丹念に慎重に解決していかなければならぬのに全てを差し置いて教育基本法改正への動き。教育基本法に謳われているのは「人格の形成」「平和国家」「真理と正義」「勤労と責任の重視」「自主的精神」「心身の健康」など人類の普遍的価値として認められてきたことばかり、それをなぜバタバタとロクな議論もしないで改正したいのか。その理由はただ一つ「前文の書き換え」。前文にある基本法憲法の一体性。
教育基本法前文、引用)われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。
と、この「新憲法に盛り込まれた新しい社会を実現していくことがこれからの教育の目的だ」としている、憲法と一体化している教育基本法の存在が阿倍内閣にとっては邪魔。憲法改正するために「将を射んとすればまず馬を射よ」の教え通りまず教育基本法を射よう、と。教育基本法制定時の文部大臣で後の最高裁長官の田中耕太郎氏が述べるのは、先の戦争において日本が「極端な」国家主義民族主義に走りファシズム、ナチズムと手を組む全体主義国家になってしまったのは教育が国家の手段と化したから。教育勅語教育基本法は教育を時の政府の国家目的の奴隷から解放し国家以前から存在し国家の上位概念たる人類共通の普遍的価値への奉仕者に変えること。教育は国家に奉仕すべきでなく、国家が教育に奉仕すべき。国家主義者の安倍首相は再び教育を国家への奉仕者に変えようとしている。
立花氏の御説尤も。何よりも政治家にとって不愉快は「国家の上位概念」という奴かしら。人類普遍の価値とか真理とか。国政に携わる政治家が一番偉くなくなってしまうのだから。いずれにせよ、こうした状況わからぬまま政治家の教育基本法改正を許してしまう国民に責任があるし将来的に災い被ることも自業自得か。現行の教育基本法は結局、制定から六十年、この普遍的真理が日本に根づきもしなかったし、日本国民のレベルには高尚すぎた、で民度に合う程度の低水準に戻すことも最善かしら。
自民党山拓さんが現代においてはまさに稀有な政治家に映るように「SPA!」に連載中のペログリ日記では「政治家にとって最も重要で困難な任務はナショナリズムを制御することだ」といった中曽根さんの言が紹介されていたそうな。本来のナショナリストこそナショナリズムについて厳格な見方あり。単なる軍事オタクのはずだった石破さんまでも中川の核武装論批判して「きちんと議論し、なぜ核を持つことが国益にならないかを示すことが政治家の責任だ」と正常な見識を披露したという。驚き。
▼昨晩、日テレのNews Zeroで(ほんとに内容がゼロという風評もあり)米国のバラックオバマ氏取上げ「民主党ホープ。次期大統領か?」と紹介されたそうだが「黒人」「演説がうまい」「カリスマ的人気」とかいうだけで「肝心の政策政見についてはまったく触れず」と築地のH君から。しかもコメンテーターの星野仙一君に「星野さん、どうですか?」とふって「まだまだ若いね。カリスマなんてないよ。もっと苦労せにゃ」と言わせて終わった、と……さすがゼロ。この番組、ジャニーズの桜井某がサブキャスターで「防衛庁の省昇格問題」解説したり、長嶋ジュニアに朝鮮半島の安全保障についてコメントさせるという痛快娯楽番組。だからあまり真面目に取り合うのも……だが小泉登場にあたってあまりの馬鹿馬鹿しさに真面目に取り合うこと放棄したことが今日のカタストロフを招いた、という辺見庸の一大反省も思い起こせば、馬鹿馬鹿しいものを馬鹿馬鹿しいと嗤って済ませず「馬鹿だ」ときちんと否定してゆくことは大切か。
▼日本政府が国連安保理北朝鮮制裁決議受け北朝鮮への輸出禁止品目での「贅沢品」の選定につき将軍様の好物と思われるトロ、松阪牛名古屋コーチンが選ばれる、というのもお笑い。将軍様の料理人務めた著者による『核と女を愛した将軍様』(小学館刊)の内容の受け売りだそうで、人民が飢餓に命落としたりしたら元も子もないので全面的な兵糧攻めで日清のカップヌードルの輸出禁止はできぬそうな。核実験の見返りがトロ禁輸というのだから将軍様もさぞや痛快にお笑いか。
▼先週の『亜州週刊』で福建省廈門での500億元横領で現在カナダのオタワに逃亡中(といっても豪邸住まい)の頼昌星氏に関する記事あり。頼昌星氏は北京中央に対して自らの保身に関する一定の条件提示し条件が見合えば福建省の党有力幹部の汚職につき供述する意志がある旨伝えている由。頼氏が口を開けば何人もの北京、福建の党政府要人らが贈収賄で失脚、逮捕されるようで、頼氏がカナダに逃げていらるのも実は頼氏逮捕で供述を恐れる中国側の幹部の作為ゆゑ。

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