富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-11-04

十一月四日(土)快晴。台湾総統府機密費私的流用の容疑で扁嫂(阿扁総統の夫人、呉淑珍)や総統元副秘書長など数名が汚職罪や文書偽造罪などで起訴される。阿扁総統も同罪の疑いありとされたが総統の刑事訴追免除特権に基づき起訴を見送られる。今回この起訴断行の陳瑞仁・検察官は台湾大学の学生時代は学生新聞社の編集長で大学当局から急進分子とマークされ検察官になってからも個人的には民主党支持を公言。だが今回の阿扁総統起訴につき陳検察官曰く「我雖是深緑、但離開投票所的布幔、心中就没有顔色(自分がいかに深緑(民主党の熱心な支持者)だとしても一端、選挙の投票所を出れば(職務上は)いかなる色にも染まらない)」と。恰好良い。朝から机まわりの雑用済ませ昼まで裏山のジョギングトレイルを8kmほど走る。昼過ぎ中環。ランドマークのHarvey Nichols百貨店にてSmythsonの来年の手帖眺めるが食指動かず。FCCでスープとパンで軽く昼食。午後遅く九龍に用事済ます。十四夜の月を愛でる。早晩にFortress HillのCity Garden HotelでZ嬢と待ち合せG階のカフェレストランで美味いと評判の海南鶏飯を食す。これが美味いと聞かなければ、待ち合せで珈琲でも飲むのでなけりゃまず入るはずのないホテルのありがちな「朝食のために設けられた」レストランだがHK$75の海南鶏飯は鶏肉がまさに「滑」で上品に美味。マンダリンオリエンタルホテルの改装前の「バカヤロー、カネ返せ」など比べ物にならぬ美味さ。他の一品料理も意外と美味しそう。バスで西湾河。昨晩に続き香港電影資料館の寺山修司特集で今晩は『田園に死す』見る。私らの世代ではNHK少年ドラマシリーズ眉村卓原作の「謎の転校生」の主人公役、高野浩幸の映画デビュー作がこれだったのか、と今になって合点。映画の最後、青森の恐山近くの辺鄙な村から新宿東口駅前へのどんでん返しでが印象的だが当時、これはゲリラ撮影だったのか。駅前に「二幸」あり。新宿のアルタで「笑っていいとも」の放送始まった当初はテレフォンショッキングがまだ芸能人の間で知名度もなく「明日アルタに来てくれるかな?」「いいとも〜っ!」がまだ当時は「アルタって何処?」と聞き返されタモリが「新宿の東口の昔の二幸です」などと説明していたのももう二十年以上前。今ならこんな映画の撮影、それも天井桟敷の役者らが特異な姿で徘徊、など「石原の東京」ではどだい無理か。新宿駅前など無数の防犯カメラで逐次、監視されているのだからセットの設営すらする頃には警察が察知のはず。帰宅して風呂に入りながらNational Geographic誌9月号の特集“China Manchuria's Rust-to-Riches Gamble Rising”という特集読む。
▼九月末にチベットから雪深いエベレスト山脈越え印度のダライラマのもとに向う一向を中国の国境警備隊が銃撃。ルーマニアの登山隊に同行したTV局のカメラが現場を撮影(こちら)。数十人の一向の半数が6歳から10歳くらいの子ども、で殺されたのは二十代の尼僧と一向率いた15歳の少年僧だという。IHT紙の記事(http://www.iht.com/articles/ap/2006/10/14/asia/AS_GEN_China_Tibetan_Refugees.php)。産経新聞の記事(こちら)。15歳で雪のエベレストを越える信心、自由への意志、そして銃撃され雪の大地で命おとす……その心に何をどうにも言葉もない。
▼東京都足立区教委が区立小中学校に対し学校間競走促進がため各校の学力テスト成績により予算配分に格差つける呆れた措置。平成の教育改革のまさに象徴的愚策。教育基本法改定もまさにこれ。
▼唯靈氏が信報の随筆で「ちょとしたことに驚く」と、例えば5ツ星ホテルでの宴会でオレンジスカッシュ頼んだ際に炭酸が抜けていたりハイボール頼んだら氷なしはいいがソーダが室温であったり。香港のホテル業界はマカオに熟練スタッフ引き抜かれ好景気で人材難か、あまりにも非熟練の若い従業員ばかりで当然サービスの低下に陥る、と。御意。

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