富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-11-01

十一月朔日(水)来客あり早晩に湾仔のホテルチェックイン付き合い湾仔の下町漫ろ歩きご案内。春園街など通りに並んだ礼状印刷舗すっかり移転してスラムの如し。取り壊し待つのみ。新築の公営市場出来て交加街の路上の市場も移転迫られる。Delaney'sでギネス麦酒一飲。数年ぶりに六國酒店の粤軒に食す。給仕らすっかり変わり旧知の者一人もおらず。食事は万人ウケ的に美味。お客人湾仔のホテルまで送り独り銅鑼湾のバーSに飲む。バーYに梯子しハイボール一杯飲み帰宅。
▼昨日読んだ『世界』十月号に日経の田村秀男さんが「中国への戦略的援助を提言する」を書かれている。「日本のODAこそ冷徹な現実主義の武器で、戦後営々と築き上げてきた市民社会の道理に裏打ちされた日本独自の対中戦略の主柱」なのだが宇宙飛行士を自前のロケットで宇宙に送る国、生産消費大国化した中国になぜ援助が必要なのか?、反日感情や「暴動」に対するマイナスイメージも働き、中国はもう援助から「卒業すべき」というのが小泉的な、短絡的な発想。円借款など従来は外務省が基本的な大枠決めていたが小泉三世の御世に円借款実施してきた国際協力銀行円借款部門切り離し国際協力機構(JICA)に任せJICAの主業務たる技術協力と統合。ODAのうち外務省が決定権もっていた無償援助は外務省がJICAに実施「委託」となったそうな。で田村さんは円借款のうち例えば環境円借款がどれだけ中国の環境汚染を改善しているか、を挙げ、それが日本にとってもどれだけ見返りのあることか、また円借款は返済義務があり、実際に対中円借款地方自治体が返済すること、その借款で建てた設備のコスト負担は最終的に住民であることから、ある種の民主的なコンセンサス、社会的環境の整備にもつながり、人材育成、料金回収による返済など近代市民社会制度の移植にあたる、と。それが戦略的に日本の国益を守り、沸騰し暴走する中国の軟着陸を支援するという重大な国際的要請が円借款には篭められてよい、と田村さん。御意。外務省のこの「国際協力」でふと思い出したことあり。今年の8月、外務省では経済協力局と国際社会協力部の関連部門を一本化し「国際協力局」を新設。初代国際協力局長には小泉内閣首相補佐官別所浩郎氏が就任か?というスクープも今年4月にあったが(阿部重夫氏のこちら)、経済協力局の局長であった佐藤重和氏(元中国課長)が就任という報道が7月に流れ(毎日新聞など)それが一転して、国際協力局長はあの薮中三十二・外務審議官が兼任と決定。佐藤氏は香港総領事に。で結局は薮中氏は暫定で最終的にこの国際協力局の局長に落ち着いたのは別所浩郎氏。別所浩郎といえば小泉三世の首相秘書官で、飯島勲が内政なら日朝など小泉外交(それが外交に値したかどうかは別として)仕切ったのがこの人。薮中氏も言わずと知れた元アジア太平洋局長、で別所、佐藤両氏ともいずれにせよ中国絡み。国際協力が対中関係絡みどころか国際協力=対中問題であることはこの人事からも明らかかしら。外務省は小泉内閣幕引きを機に国際協力局通じて建前は官邸主導のODA戦略を換骨奪胎、事実上外務省主導にするつもり、というのが事情通の某氏の見方。

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