富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-10-20

十月廿日(金)那覇は竹村松月堂の落雁をいただく。体調少し復活。コンタクトレンズせず眼鏡かけていると(とくに電脳のスクリーン眺めるには)かなり楽。早晩に按摩。O氏がProtrekアウトドア専門店にてトレイル靴購うのにつき合い帰宅。煮うどん。NHKのNW9は北朝鮮の核の問題に続いてディープインパクト禁止薬物のニュース。海外競馬評論家の合田某なる人が語っていたが薬物の専門的なことはアタシにはわからないが「水が変われば、食べ物が変われば調子を崩すのは人間も(馬も)一緒。一人では寂しいから連れを……」とか「咳き込んだときにかかりつけの医者に診てみたいたいのは」という例え話。水が変わっても食べ物が変わっても平気だし寧ろそれを好奇心で受入れたり咳き込んだくらいで医者はかかりつけぢゃなくてもいい、とアタクシはそういうクチだが馬はもっと神経質なのか、図々しい馬もいるのかしら。明日から東京国際映画祭だそうで山田洋次木村拓哉起用の時代劇がぜん注目集めているが頬や目尻が動くとか顔で表情作るに難儀な彼を用いたのは彼の知名度ゆゑの話題性に山田監督が依存した、と思われても致し方ないか。交通事故の後遺症など脳脊髄液減少症という病気で苦しみながら病気として認定されず保険や公的援助受けられず毎月の一回の治療に十万円単位の支出強いられる患者ら、の報道あり。齢八十だの九十で寝たきりで意識もない、意識が戻る見込みもない老人らの延命措置よか生きる意志のあるその脳脊髄液減少症の患者の救援が優先されるべきと思う。
▼香港についにモスバーガー開店。観塘のMillennium City 5なる商業ビルのAPMなる小売場内。蘋果日報に特集の記事あるが取材の撮影用に用意された、つまり「いい状態」であるはずのモスバーガーやテリヤキバーガーが、やはり「どこか違う」。モスバーガーはトマトの居住まいが悪い。テリヤキバーガーはレタスが不味そう。モスバーガーを廿数年前に始めて食せし時、その生のトマトがソースにからむ、テリヤキバーガーで見事に折り込まれたレタス、そのトマトやレタスの水々しさがマクドナルドのモサモサのバーガーに慣れた食感に衝撃的なジューシーさ、を教えてくれたもの。この香港のトマトとレタスはそれは難しそう。
▼一昨日の朝日で油井大三郎氏(東京女子大教授、米国現代史、比較占領史)が戦後体制の歴史認識について語る。先の戦争肯定や東京裁判否定の論理は「日本は欧米の帝国主義をまねただけなのに、たまたま植民地争奪戦に負けたので裁きや誹りを受けている、という不公平感」やアジア解放といった「実に多面的な要素を持っていた」という認識など「対外的には建て前として反省し、東京裁判を受入れたが、国内では全く違う本音の論理が大手を振ってまかり通る」日本の戦争認識の二重基準。油井氏は「日本では、戦没者への追悼の念が、戦争について正しい歴史認識を持つことを妨げている。ナショナリズムの核に戦死者がいる」もので「国ために死んだ人を国が追悼するのは当たり前だといった民衆の感情を、政治的資源として政治家が利用している。ナショナリズムは制御不能になる危険性を自覚しなくては」と語る。欧州の統合のスタートは仏独の和解であったのに対して「中国や韓国に対して強い態度に出ても、日米の同盟が堅固であれば大丈夫だとの思いが日本の政治家にはあるのでしょう。ですが、自己中心的な歴史観が、同盟を支えてきた価値観を揺るがすことになると気付く時期にきたのではないでしょうか」と結ぶ。事実、確かこの日の(朝日)社会面には、靖国神社側でも米国から不快感示された遊就館ルーズベルト陰謀論的な解説などの見直しするそうで(結局、米国の圧力には弱い)、神社内にある全ての戦死者祀る鎮霊社ももっと扱いをアップグレードするそうな。

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