富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-09-20

九月二十日(水)晴。朝六時半RTHKニュース。タイで軍のクーデター発生、と流れるを聞き目覚む。「新空港が予定通り開港できぬため関心を空港から反らすため」とか……まさか。タクシン首相国連総会出席にて在紐育、非常事態宣言発令。軍並びに警察幹部全権掌握し97年制定憲法停止、三権が解散。タイ全土に戒厳令施行。首相発令の非常事態宣言無効となる。タクシン政権下タイ南部のイスラム教徒教化=弾圧、タクシン一派に象徴されしバブルな勝ち組とその他の格差拡大等々。まさに「叛乱」派指摘せし「現政権が争いを引き起こし、過去にないほど国民の調和を乱した」ことの罰責。「平和と秩序のため」のクーデター。国王が動かれ事態掌握されるかぎりタイは安全。暫らくして権力は尋常な政府に返還される、のだろうが、明日の朝日新聞の社説に「このままでいいのか?」とタイで民主的な政治制度確立せむが為にはいつまでも国王の統率力、軍事クーデターでの政権交代に頼っていてはいけない、とか指摘かしら。産経新聞は「日本大使館によると、在留届を出している日本人は約3万6000人に上り、大きな衝撃を与えた」と伝え、朝日新聞は「在バンコク日本大使館にも、在留邦人からの問い合わせが相次いでおり、大使館では「安全な場所での待機」を呼びかけている」と。香港でSARSの時の日本のマスコミの誇張報道(危機感煽動)の経験あるがため、どうも「現地の日本人の困惑」が信じられず。バンコクのY氏に「どうせのんびりしてるんでしょう?」と失礼承知でメールで尋ねると、やはりその通り、で街中は比較的平穏、但し不測の事態に備え日本人学校日系企業等々は自宅待機。大きな交差点には銃を持って軍隊が立ち多少の緊張感。テレビ局を軍隊が制圧している為、NHK、CNN、BBCCCTV等々の海外放送は全てストップ。ローカル局はニュース以外の放送を午前中から再開……と知らせあり。「その程度」が現実。いつもバンコクで航空券調達せし旅行代理店の社長氏も「クーデター見舞い」のメールにご返事で、スクンビットのオフィス周辺は平常通りで今朝もいつもと同じで自動車出勤、なのに日本の報道ではバンコクは大騒動で戦車が市内の中心を走っているような印象にされるのでしょう、と懸念。それにしてもテレビ局占拠され放送中断でもネットでメールが正常は大したもの。タクシンがシンガポールに電信インフラ売却のおかげか。新空港はいずれにせよこれで開港延期の大義名分が出来たであろう。バンコク在住で臨時休暇となった知人は午後から出勤との由。NNNのニュースではバンコクの日本人女性が「買い物に出かけられるか心配」と答えていたそうだが実際にはお買い物は「全然平気」だったようで、日本のニュースの偏向ぶりは呆れるかぎり。 他人の心配するまえに今日、まるで自民党総裁=首相にワイルドカード選ぶ自分の国のこと心配しろっ!と。タイのクーデターよか安倍晋三先生の自民党総裁選挙当選=首相のほうがずっと不穏当と思うのはアタシだけか。というわけで本日、午後、安倍晋三自民党総裁に就任。晩にハッピーヴァレイ。何年ぶりか萬興茶餐庁で鼓椒排骨炒麺食す。秀逸。本当に美味。地味で高級なことでは異色の茶餐庁。一人でぶらり、という感じではおそらく二年ぶりかでハッピーバレイ競馬場で競馬観戦。一般席もかなりきれいになっており会員席は会員専用エリアが広くなり勝手わからずまごつく。具体的には会員にかぎらず「貸し切り」観戦席(レストラン)増え営業額増を狙ったもの。いずれにせよ「かすりもせず」火傷ひどくなる前に5レース目で退散。バーSに寄りモヒートとハイボール数杯。近々、ウヰルキンソンの炭酸水が香港でも入荷するような。シュヱップスの炭酸が「きつくて」苦手はアタクシには朗報。
▼先日、飛行機に詳しいY氏とO君の話を聞いてアジア系に比べサーヴィスは論外だがユナイテッド航空マイレージがいかに使い勝手がいいか、と知りユナイテッド航空のサイトでアカウントの確認をしてみたら91年が最後の搭乗!でサイトでの登録は6年前にしたっきり、であったのにちゃんとアカウントが活きていて驚く。
▼連日、陶傑氏が蘋果日報で台湾の反阿扁運動に言及。今日は「施明徳不自焚阿扁不下台」(施明徳が焼身抗議でもしなければ阿扁は下野せぬ)の過激なタイトル。台湾での反扁派と挺扁派の対立激しく、もはや台湾南部は高雄を首都に「南台湾共和国」として独立するが如き勢い。だが実は阿扁総統が辞職せぬことは中台統一派と中国にとって有利なのは民進党内の反扁派と台湾独立急がぬ穏健派(薄緑)が国民党支持でも台湾人意識強い層(薄藍、王金平に象徴されよう)と結合することで国民党vs民進党の二極対立のなかで中間の第三勢力になりかねず、台湾独立派は弱体化。かりに阿扁辞職などすると民進党内の穏健派がいっきに独立急進派に飲み込まれる心配もあり。台湾の倒扁運動は「民主の勝利」の如く誉められるが実際には内部は曖昧模糊で魑魅魍魎割拠。ところで台湾が南北分断される場合、一瞬、政治的には微妙な台中を境に、とも考えたが「台中は台湾の名古屋なので」(だからどう、という理由にはならないが)風土的にはちょうど北回帰線であろう。台湾は明らかに北回帰線の北と南では風土が異なる。ちなみに製麺の際に鹹水(かんすい)を使うかどうか、も北回帰線でわかれるらしい。北回帰線は日本でいえば小笠原諸島南硫黄島の南。沖ノ鳥島が日本の最南端となっているが経済水域確保のため防波堤に囲まれた無人の岩。小笠原諸島の父島も母島も大東島の諸島も宮古島石垣島西表島も見事に北回帰線のぎりぎり北にあり、台湾は玉山(3997米)と阿里山(2481米)が見事に北回帰線で、中国では汕頭から広州。まさにちょうど風土が南北で見事に変わるのが実に興味深い。

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