富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-08-30

八月卅日(水)好天続く。暑さこそ厳しくも光は、はや秋の気配。光もまた面白く輝く。早晩に編集者S嬢、映像家H氏とFCCに涼み地麦酒飲む。Aldrich Aleなるエール供す会社のHong Kong Beerという。この地麦酒会社、英国人青年が十年程前に企業しAberdeenだかで麦酒製造始める。香港で地麦酒?と最初は皆に首傾げられていたが直営店をばQuarry Bayに出して、これが余も屡々訪れるEast Endで、当時まさに東の果てのバーなりき。それが今ではTaikoo Placeなど一大ビジネス街と化す。これに目をつけたのが伊太利料理屋Grappa'sなど地場で手広く飲食店経営する会社El Grandeで、この麦酒製造会社とEast Endなど傘下に収め今日に至る。銅鑼湾のかつてのKing's Armはこの傘下でEast Endとなり、銅鑼湾ではEast Endぢゃあるまひ、と思いもするが北角がNorth Pointなら、東角(East Point)は実は昔は今の「そごう」百貨店のところがEast Pointで(事実、そごうのあるビルはEast Point Centreと言う)、そういう意味ではEast End銅鑼湾にあるも歴史的には不思議でもなし。ところで地麦酒ばかりか地エールまで供したのが、その英国青年の大したところ。麦酒の製造過程でエール出来るにせよ香港で殆ど地場で馴染もないエール供したのだから。でその名前が、なぜAldrich Bayなのか。East Endの店を出したQuarry Bayの東の向こう、Shau Kei 湾にAldrich Bayという地名あり。英国風の古い地名のようだが実は最近の埋立地。この地名がエールの由来か。ところでAldrich Bayの漢字名は愛秩序湾と言う。嗚呼、なんて下品なのかしら。帰宅してハバナクラブの3年物、オリーブきらしミントの葉だけでロックで飲む。これはドライで美味。夕食にパスタ。サントリー白角のハイボール。食後にちょっと苦手なテキーラにContereau垂らして飲む。美味しさ発見。我ながらこうして綴ると、よく飲む。本当に酒好きとあらためて思う。酒が美味いなぁと感心して飲んでいるから泥酔などなく延々と新聞など読みながら飲む。今晩のNW9、まだ8月で政治などあまり動かぬ所為もあろうがニュースは延々と殺人事件続報にC型肝炎だけで終わる。政治も外交も一切なし、のテレビ三面記事。そろそろ再現フィルムとか始まるか、と期待。
▼2016年のOlympicつまり国家対抗運動会に日本では東京都と福岡市が名乗り上げ東京と決定し都知事石原君嬉しそう。対抗馬もなき都知事選に立候補も表明し当選で三期目。これで2016年オリンピックの東京開催は絶望的か。「都知事が石原」では韓国、台湾、中国、シンガポールなど反石原包囲網で東京開催阻止せよ!である。初の南米開催でリオデジャネイロ、あるいは時代の趨勢は印度でニューデリー開催あたりに落ち着く予感。
▼香港のヴィクトリアハーバーで中環〜尖沙咀結ぶスターフェリーで中環側の新しい埠頭建造終わり11月から使用開始の由。その建物の陳腐さディズニーランドの開拓時代の街並み復元の如し。現在の埠頭から歩いて10分。Cable TVのニュースでは「歩いて5分の便利さ」と虚報流すはCable TVがWharf財閥系にてスターフェリーと同資本ゆゑ。この新埠頭完成でフェリーの運行距離は1,260mだかから1,000mに短くなり中環側の不便さは増し専門家の予測では利用者3割減。
朝日新聞論壇時評に「丸山眞男の現実主義」と題し孫歌氏らの丸山眞男論紹介。今年は丸山眞男没後10年で特集多し。それにしても不思議なのは丸山眞男など今さら論じるのではなく戦後の日本の一つの(小文字の)constitutionとして体現されているべきはずのもの。本来であれば好き嫌いは別として現実的な政治では吉田茂、思想では丸山眞男、そして何よりも現行憲法があって、それゆゑ今日の日本がある、と前提の前提のような気もするが。だが実際には民主党の代議士が勉強会で丸山眞男の言説教えられ「こんな面白いものがあるんだ」と知るというのだから、況んや自民党小泉チルドレンなど丸山眞男など読む知力すらあるまひ。

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