富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

八月十七日(木)快晴猛暑。母から電話あり五日の日剰に陶芸家松井康陽を「松井康陽の実子」と書いており康成の間違い、と指摘受ける。よくぞ細かいところまで読んでくれたもの。遅い午後、編集者のS嬢と一緒に(上環か西環か微妙な)映像家のH氏のオフィスで打ち合せ。ここは羽仁未央さんの主宰の事務所で羽仁さん戻りZ嬢も来て「鍋」する。いろいろ興味深い話あり。映画「ゲルマニウムの夜」についても制作にかかわった羽仁さんから直接、話を聞く。
▼数日前のメモ書き見れば小泉三世靖国参拝につき中国外相の発言に「人類の良識を踏み躙る行為」とあり。小泉三世に対する非難の中で最も彼のout of senseぶり指摘の表現か。官房長官安倍二世(岸三世)は小泉靖国参拝について「個人個人の思いのあることで、評価は避ける」と宣っており。内閣総理大臣は個人であると同時に国政の代表者であるから「個人個人の思い」で物事を判断されても困るし、全ての行為が評価の対象になること。アイドル系芸能人がノーパンしゃぶしゃぶに行く、のとは大いに異なる話。蘋果日報の社説(本日)は小泉靖国参拝について中日間で外交含む大きな問題となり論争の争点となるのは必至としても我々は冷静にこの小泉靖国参拝に至る日本の状況を鑑みるべき、と。

戦後の日本は終身雇用制、教育の拡充、高学歴の労働力などに恵まれるなか安定した保守的な体制のなかで高度経済成長を遂げた。その安定した戦後が九十年代に入るとさまざまな亀裂が生じ、それが「強い政治家」を求める背景となった。六十年代に生まれた世代など、生まれた時から経済成長で、現代の急激な社会変化に対応しきれない。さまざまな社会的問題について、それを国の内部の問題として消化しきれず、対外的にも弱い日本という国、明治など過去の強かった日本への憧憬を生み、国際的に強い日本という国家の存在に何かを託す。それが石原慎太郎などへの支持となる。小泉でみれば強硬外交も北朝鮮から拉致被害者を連れ帰るなど成果を見せたが、その後の対中韓外交などを見れば失敗は明らかで、首相後継者には外交建て直しが求められる。タカ派として、国内の問題の解消(実際の解決ではない)のために強い日本という演出が用いられるが何も解決していないのが事実。中国人としては、日本が歴史を正しく見据えることを望むばかりで、過去の歴史的責任を今、日本に深謝することを求めているものではない。

と(要旨)。かんぜんに見透かされている。お恥ずかしいかぎり。

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