富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

八月十六日(水)今朝のSCMP紙の社説“Yasukuni visits create needless tensions”で
Japan is eager to play an increasingly prominent international role, but it cannot be given such stature while its prime minister ignores the diplomacy such a position requires.
という書き出しの一文。まさにこれ。自虐史観からの脱却だの中国に対して諂わぬ強い態度、といった桜井よし子や中西輝政みたいなレベルでの小泉三世のやり方よか、本来であれば中国や韓国の立場を理解した上で上手に振舞い共感を得てこそ、の日本の国際的評価のはず。暑い日が続くなか午後ずっと金鐘から中環まで外回り。途中、中環の公共図書館で数年使っていなかった図書館カードの更新。HKIDのカードも図書館カード兼用できるそうな。IDカードに図書の閲覧履歴が残るのは不快。CDが数百枚、貸出にあるのを今まで気にせず。試しに王健のバッハの無伴奏チェロ組曲カラヤンと伯林フィルのシベリウス交響曲2番など4枚ほど借りる。二週間。正直なところiTuneに保存してiPodで聴いて、の時代。図書館でPowerBook出していきなりやったりしたら露骨。晩に帰宅してからほんの短い距離をジョギングしてジム。帰宅して韮と豚肉を鍋する。
▼昨晩の続き。NHKで昨晩「日本の、これから「アジアの中の日本」」という番組あり。麻生外相、内藤克人や姜尚中など出て議論。そこでスタジオにいる人や視聴者に対して「中国は日本にとってパートナーかライバルか」という二者選択。7割がライバルと認識。英国にとってフランスは、とか、韓国にとって日本は、とか答えは本来「パートナーでありライバル」で不思議でもなんでもないわけで、こういった二者選択で不毛な問題を提起することぢたい幼稚。番組で識者の誰一人としてそれを指摘せず。NW9で中曽根大勲位曰く「靖国参拝を公約にしちゃいけない。公約にしたら私的参拝はなくなる。首相本人が参拝するかどうか、ということではなく、天皇陛下がどうしたら参拝できるか、を考えるべき」と。21年前の終戦記念日に首相として参拝した大勲位本人の道理。だが大勲位自身、永年比例代表一位という自民党にとっての最大栄誉をば奪ったのが小泉三世。で小泉賛成が大勲位の言葉をば拝聴する筈もなし。公明党は小泉三世の靖国参拝を「まことに遺憾」とする、がその内閣を連立で支えるとは嗤える。今朝の朝日新聞に昨日の小泉三世の靖国参拝後の報道陣に語ったコメントをもとに「首相の弁、五つの疑問」という詳細に渡る発言の分析と疑問点提示あり。非常に理知的。小泉三世という人の発想の狂いを的確に分析。だが、これだけ長期に渡り首相にして支持率も高く維持してしまったかぎり、小泉思考の狂しさ指摘することは亀井静香的に「国民がバカ」と言っているようなもので国民の五割はそれなのだから、この小泉非難が注目されるはずもなし。ところで昨日の戦没者追悼式、靖国参拝した小泉三世の「戦争の反省を踏まえ、不戦の誓い」ばかり報道されているが縄文人河野洋平衆議院議長の追悼の辞は特筆されるべきもの。
私は、新生日本の「目覚め」を信じ、そのさきがけとなることを願って犠牲を受入れた若い有為な人材たちに思いをはせるとき、戦争を主導した当時の指導者たちの責任を曖昧にしてはならないと思います。現在も世界には戦火が絶えません。私は北朝鮮政府に対し、対話の枠組みに復帰し国際協調の道を歩むことを望みます。イスラエル政府に対し、またヒズボラハマスに対し、国連安保理の決議に従って。暴力を停止して、和平実現に取り組むことを望みます。世界の国々の指導者たちに、平和を取り戻すための対話に積極的に取り組み、和平実現の条件を作り出すべく一層の外交努力を求めます。
A級戦犯には触れずとも戦争責任論に言及したことも異例なら、世界の和平実現に向けて、国家の名前まで挙げて言及も異例。ここに暗に米国、それに追従する日本も範疇に含まれている、と察していいのでは。追悼式に臨席の陛下がどう感じたか。「河野、よく言った」だろうか。
加藤紘一氏の山形鶴岡の自宅が放火され右翼らしき男が割腹自殺図る。せいぜい「首相は靖国に参拝するべきではない」といった程度での発言で狙われる怖さ。本来であるなら、この政治家狙った攻撃に対して、内閣官房長官あたりが緊急で記者会見行い内閣としての声明を発表くらいするべきでは? しかも内閣官房長官が次期首相就任確定なのだから。対北朝鮮だの中国だと発言に威勢いいのに。これのほうがよっぽど怖い。
▼今日の蘋果日報重慶四川省の半世紀で最悪の摂氏40度超える猛暑と旱魃の原因の一つが三峡ダム、と報道あり。三峡ダムの完成で四川盆地の大気の流れに影響あり盆地に空気が溜まる現象。三峡ダムの自然に与える影響は計り知れず。その四川省といえば松茸の産地でもあるのだが、同日の信報に四川省からチベットにかけての松茸の話あり。偏狭の高地の人々にとって七月から九月にかけて松茸採集は重要な副業。もともと松茸を食す習慣なく、その松茸がキロあたり30元というカネになる。松茸は中間業者から都市の売買業者の手に渡るとキロあたり80〜150元になり香港や日本の業者に渡った松茸はダイアモンドに化ける。90年代のバブル期にはキロ800元になったこともあったが通貨危機で10元台にまで暴落。この地で松茸とならび金の卵は蟲草(ちゅうそう)。漢方の高価な薬材キロあたり3万元。豊かになることを誰も否定できぬ、が住居家屋の建築でかつては木材は彼の地では貴重でかなりの財力のある家だけが屋根や梁に木材用いていたものが乱獲となる。

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