富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

七月四日(火)晩に帰宅してドライマティーニ二杯。自家製牛丼。NHKでW盃蹴球の番組編成でニュース番組の放送遅れており(W盃関連ニュース多いため放送権の関係で海外に流せず番組にならぬゆゑ時間をずらしW盃関連「報道」抜いて編集し直して放送中)つなぎの番組ぼんやり眺めておれば「世界文化遺産」でスリランカのゴール旧市街映す。オランダ植民地時代の17世紀の堤防城壁が04年暮れの津波で奇跡的に街の人々を救った、という紹介の中でオランダ時代の洋館を映すと「当時は十部屋もある豪邸でしたが、現在は地元の商人が住んでいます」とナレーション。この日本語、意味全くわからず。敢えて言えば、当時はオランダの豊かな商人の住いであったのが今では地元民の住いと化しています、ということなのだろうか。カメラが当時の細工のこんだ家具を映すと、今度は「城壁がなかったらこの家具も津波に流されていたことでしょう」と。この市街だけでもしかずれば何百人かの生命が失われていたかも知れぬのが津波の恐怖。家具などどうでもいいはず。視線も完全にズレてしまっている証左。新聞でもテレビでも制作や取材現場がボケていても、それを軌道修正できるデスクなりチーフディレクターがいたはず。何処にいってしまったのだろうか。iTuneのMusic Storeでサディスティックミカバンドの「タイムマシンにおねがい」木村カエラ嬢歌う2006年ヴァージョン購入。スマイリーカズヤ氏のコメントにアン=ルイスのボーカルでも聴いてみたい、とあり、思わずアン=ルイスの「六本木心中」まで購入。そのノリでシュガーベイブの「ダウンタウン」やフォークルのCDなども続けて聴く。
▼サッカーの中田が引退だよね。みんな知ってる? ぼくには、野球選手がその成績が具体的に評価されて「調子がいい」とか「もう限界か」なんて言われるのに対して、サッカーは今一つ、よくわからないんだ。中田ってサッカー選手については、ぼくもこの日記で何度か前に書いてるけど、みんな読んで、覚えてくれているかな? 覚えてくれてたら感激! Wカップのアジア地区予選で、北朝鮮戦の時だったかな。日本が勝ってさ、NHKの夜のニュースにバンコクから日本サッカー協会の川口会長がインタビューに出てたんだよね。女性アナウンサーが「中田選手は何かおっしゃってましたか?」と質問しててさ、すごいよね。サッカー協会会長よか中田選手のほうが偉いのかな? ところで中田選手って言えば彼のサイトのHide's Mailが、みんな読んでるかな?、とても有名だけど「みんな甘いものって好きだよね〜。僕もそうだけど、とくにチョコ。たまらないよね、もうビックリマンチョコには目がないんだ〜(笑)」って、あのノリ、普通のさ、寡黙なスポーツの一流選手って感じじゃないよね、全然。ぼくはあれを中田軽薄調って呼んでるんだ。秋になるとミラノでたくさん服を買って、冬が楽しみなのはいろいろな服が楽しめるから、とか、お風呂の入浴剤の話とか、それがみんあ「……だよね〜」(笑)(苦笑)最高!! って表現だよね〜。写真の趣味も、部屋に飾るお気に入りの写真が、ミラノの、ファッション関係の友だちに教えてもらった“Corso como 10”で買ってるんだけど、Mary Ellen MarkBruce Weber。Mary Ellen Markなんてさ、普通はちょっとリビングルームに飾れる写真じゃないと思わない? ウェーバーなんて20年以上前に、ぼくがまだ山梨でサッカー好きのガキだったころの話だけど、あの頃の東京だと、青山のギャラリーワタリとか オンサンデーズ、渋谷のパルコの書店とか、懐かしいよね、に写真集が並んでたよね……みんな、知ってるかなぁ?。釜本さんがまだ現役だったころのことだよ。今日はけっこう長いメールになったな、最近はドリアンももう終わりの季節になってきたから(笑)、食べおさめでドリアンでも食べてそろそろ寝ようかな。でもドリアン食べた時はちゃんと歯を磨いて、胃薬飲んで寝たほうがいいよね。おやすみ〜。って、中田軽薄調とはかくの如し。これは荷風文語、田中康夫擬古文に続く日記文学上の革命かも知れぬ。
▼香港政府の元保安局長で世論の反発喰らい基本法23条に基づく治安立法の法制化に失敗し失脚の葉劉叔儀女史米国スタンフォード大学修士課程修了し帰港。SCMP紙、信報に彼女の修士論文の要旨掲載される。立法会にもっと政府内での大きな役割を持たせよ、2012年には普通選挙実施も可といった、保安局長時代の悪辣ぶりからはかなりの豹変。修論というよか明らかにマニフェストで香港政治への復帰企図したもので親中御用政党民建聯あたり受け皿となろうか。
▼いぜんにも綴ったかも知れぬが新聞の切り抜き出てきたのであらためて忘備録的に綴れば、香港の所得税について。基礎控除が大きい香港の税制では全労働人口のうち66.7%は納税不要。三人のうち納税者は一人。しかも納税額が年HK$1,000以下の者が325千人と動労人口の9.5%占める。もうこれで全労働人口の76.2%に至る。
滋賀県での無党派環境候補の知事当選。京都の言わずもがな精華大学の教授が社民党推薦で自民公明民社の大政翼賛会的なる統一候補破り当選。共産党推薦候補も7万票と「滋賀で」善戦。滋賀といえば中世的なる印象。良く言えば網野史学的には琵琶湖の豊かさで山から海から往来自由な民衆の社会。悪い言えば、その様々な可能性秘めた中世民衆社会はが封建体制の再編により圧殺され殊に明治以降は産業化のために米と兵隊を供給する保守政権の金城湯池となり郵便局長だの農協だのが一声かければ自動的に自民党の集票マシンがフル回転するシステム構築されたムラ社会。そこで大政翼賛候補の落選はに小泉改革により「自民党がぶっこわれた」証左か。朝日新聞では寺島実郎氏が「小泉劇場の終幕の前に」と一文を寄す。小泉三世と渥美清演じる車寅次郎の共通点、周りの人間模様はともかく少なくとも本人には私利私欲がなく組織社会の柵みを拒否する精神的自由人であり独自の価値観を抱き断片的ながら真理を突いた一言を発する、愛すべき庶民性と洒脱さを有し、取立てて嫌うべき理由はない、と見事な指摘から文章始まるが、いくらこの指摘が見事でも、寺島氏の指摘通り、絶えず「スカッと爽やか」を演じられたことで国民は清涼飲料水ばかり飲まされ続き最後まで主食は出てこなかった、にもかかわらず、すでに小泉政治の完走を許したかと思うと忸怩たるものあり。

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