富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-06-06

六月六日(火)六月六日に雨ザーザー降ってきて、と幼き頃、学校へ行くのがとても憂鬱な子であったから梅雨の雨空見上げ、「あーあ」と。だが「運動場での体育の授業がない」と、それだけは嬉しく。六月六日と聞くとそれで毎年、なぜか気が滅入る。諸事忙殺され遅晩に至る。晩飯に湾仔馬頭餃子。
蘋果日報の尊子の4コマ漫画。特首(=行政長官、曽蔭権 Sir Donald)は「民主歌聲獻中華」に参加したのか、しなかったのか。答A:参加しなかった。その時はただジョッキークラブで食事していた。答B:参加しなかった。司徒華氏がその時に遭遇したのはまだ出世する前の曽蔭培(Sir Donaldの弟で警察官僚、その後、警察長官)だった。答C:参加しなかった。その時、もともと「民主歌聲獻中華」は開催されなかった。天安門事件で一人の死者も出ていないのと同じ。
▼陶傑氏が蘋果日報のエッセイで「バスに外国人が乗っていたら」を書いている。件の「巴士阿叔」の状況では他の乗客は「触らぬ神に祟りなし」でダンマリを決め込んでいたわけだが「もし外国人が乗っていたら」と。例に挙げたのは米国人、英国人と日本人。日本人は些か面白くない。中国人の乗客と同様に静かに傍観続けるが、メモ帳にペンで一切合切を綴り帰国後「香港民族性格狂乱の情報調査」なる文書まとめ外務省の東亜研究室に提出、と。米国人の場合、この米国女性なら Hey, You, Hey, Hey と中国の内政干渉で仲介に入れば、罵詈雑言続けていた巴士阿叔も金髪女の登場に静かに座席に戻り、この女性は、罵り続けられていた青年をハリウッドのバイオレンス映画の最後の三分なら満身創痍で救急車やパトカーが終結した中で「大丈夫よ、坊や、もう大丈夫」と抱きしめて、と。英国人なら黙って見守っているが、阿叔の言説の中にある生殖器が青年の母の身体に入り込もうとした時(ここで英国人が広東語が理解できるかということは別)英国人はにわかに立ち上がりバスの階下に降りて運転手に紳士的に告げるのであった……「私がバスに乗車し所定の運賃を支払ったことはバスでの運賃と等価のサービスが引き換えられるべきもので(I presume)、それにはバス車内での静寂も含まれると考える。現在、階上では一人の乗客が車内の静寂を破壊(Upset)しており、私は此処に消費者の身分として運転手に要求する(I hereby put forward this request to you as a consumer)のは、運転を休止して階上に参り、そこでの相反的状況(antagonism)に対して有効的な干預を以て事態の収拾に努め、しかるべきのち受容可能なサービス環境となった時点で運転を再会すべきであると思う」。運転手はガイジンの威儀とわけのわからない英語での提言に返す言葉もなく運転を止めて騒々しい二階席へと上がる。他の乗客は車内で変なオヤジが騒いでいることよか一刻も早く目的地に着きたいわけで、この外国人に対して内心「このバカヤローが余計なことして」と罵る、と。
▼信報に最近、香港でも流行りのブログ、と紹介は香港中文大学日本研究学科の呉偉明氏の知日部屋、方潤日記、港燦筆記の三ヶ所。
http://www.cuhkacs.org/~benng/Bo-Blog/
http://www.xanga.com/home.aspx?user=fongyun
http://kong-chan.blogspot.com/
村上ファンド村上世彰氏の父が台湾華僑であることは日本でも週刊誌などではいくつか触れられているようだが(そして当然のように2chでは「ぎょろりとした日本人と異質な、特徴的な目。 子供の頃から大金使って株式投資させる異様な父親。 通産省での出世には何の関心も持たずにさっさとやめ、 銭よ銭よとそろばんはじく飽くなき金への執着。 これは新時代の日本人の新しい姿、発展系だからなのか? いや違う。分かる奴には分かっている。 あれは日本人の精神構造ではない。 そう、奴は華僑だったのだ!」ともはや、このノリをば2chの伝統として弄ぶように書き込みがされてゆくのだが)蘋果日報の論壇(劉黎兒)でその出自に日本のマスコミが意外と触れておらぬ、と指摘あり。台湾系といえばYUSENの創業者もそうで、村上ファンドライブドアとの癒着が取り沙汰されるなかライブドア吸収するのがYUSENと偶然なのだが。
安田記念で優勝のブリッシュラックの騎手Brett Prebble君が馬主から「優勝したら一年間、(馬主氏の所有する)ランボルギーニを運転していいから」と言われたそうでPrebble騎手は香港でランボルギーニ運転できる!と喜んだがPrebble騎手は今季香港ジョッキークラブのクラブ専属ジョッキー。規定でジョッキークラブ通した給与、報償金以外は調教師、馬主らから直接いかなる金銭や商品の授与を受けてはならぬ、と。このランボルギーニの場合は「運転させてあげる」で微妙なところゆゑジョッキークラブの判断待ち、とか。
▼朝日の社説までW杯について。予選参加は207カ国・地域で国連加盟国より多いそうな。どうせなら最終16チームを国連の常任理事国にするとか。それだと米国が抜けるか。
▼rockin'onの『SIGHT』がリニューアルで「リベラルに世界を読む」とさらに硬派に巻頭特集は「小泉靖国参拝で日本は何を失ったか」と。フツーの出版社が総じて「無思考なる単なる保守化」に傾くなかでロックは自由であると渋谷陽一氏らしい、この姿勢。小泉靖国参拝についても、せいぜい「小泉靖国参拝で日本はどうなるのか?」程度がフツーの出版社の限界だろうが「何を失ったのか」という、この明確な物言い。見事。左翼学生運動に青春をかけた若者がただのオジサン化するなかでノンポリであったはずのロック少年たちが実はノンポリでなかった証左。

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