富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-05-27

農暦五月初一。陰鬱なる天気に何も予定なく朝寝決め込むが午前六時半には目覚めてしまい朝食はさみ土曜日は五紙届く新聞にあらかた目を通し昨日の日剰清書せば昼近くとなる。SCMP紙の「Sudoku」で星5ツの最難関もさらっと出来た。昼すぎよりジムで筋力運動と有酸素運動を各一時間こなしFCCのバーでハイボール二杯とかなり遅い昼飯がわりでチーズとクラッカー食す。午後遅く同じくジム帰りのZ嬢と待ち合せ西湾河のマンション・嘉亨湾(Grand Promenade)の「日本まつり」訪れる。マンションの敷地内に有蓋の広大なバスターミナル(最初の画像)、このターミナル部分をデベロッパー(この土地開発業者、を意味するデベロッパーなる語、まるで妖怪の如し)に譲渡することでデベロッパー側はバスターミナル上部の面積をば駐車場と屋上部分を「庭園」にできる他、最も重要なることはバスターミナル部分得ることで敷地面積に対しての建蔽率が大幅に高まり確か十階分だか建物を高層に出来る。それゆゑ本来はバスターミナル部分の敷地をば譲渡することでHK$数億の収入を政府が得るべきところ政府の高級公務員の某がこの敷地部分を無償で譲渡してしまう決定出し、日本で言うところの会計検査院がこの粗呆を見つけ指摘し問題化、それを政府お得意の独立調査諮問委員会に調査託したが、そもそも政府子飼いの輩ばかりの「第三者」に公正なる評価など出来る筈もなき茶番、で「問題なし」の結論に親中派多き立法会もさすがに政府の態度に不満示し立法会で審議継続。で本日の「日本まつり」だが正面玄関前に不動産屋が群がる中を恐る恐る中に入ればかなりの面積のクラブハウスフロア利用してのオープンデー。入口から浴衣姿のアルバイトの子らが「いらっしゃいませ」と頭を下げてのご挨拶。クラブハウスに入れば、すでに元横綱・輪島のサイン会開催の様子。ジムでは筋力運動のマシン並ぶなかで剣道の防具つけた剣士が素振りの稽古!(日本まつり、これ期待してきたら真面にこのシーンにおもわずカメラの焦点もブレる)。スパのジャグジー悪天候のなかプールサイドも「ジンガイのデルモ」が寛いでみせての豪華さの貧困なる演出。ビュッフェ形式の食べ放題に参観者群がり、シャンペンや樽酒などディスプレイはされているが、お飲み物は無料のジュースばかり。知人のA氏家族に遭遇。ここにお住まいだそうな。関取二人による相撲のデモンストレーション始まり、クラブハウス施設をばふらふらと歩いていればサイン会の終わった輪島氏が手持ちぶさたにふらりふらりと歩かれおり、こちらに来られてしまいなりゆきでZ嬢がご一緒に記念写真。輪島関の現役の頃のあの強さ知る者には、いくら引退されお年とはいえ目の前にあの横綱が居るとは、それだけで緊張して声も出ず。相撲に続き「歌舞伎」であったが花柳ナントカ社中みたいな男性三人がアップテンポの新宿コマっぽいアレンジの黒田節をば踊り始め「なるほど」と納得。忍者ショウも日本舞踊集団ASUKAも見ずに会場をあとにする。結局、やはり何のための「日本まつり」か、からっきしわからず。日本人も一割くらいだろうか会場にいるにはいるが、ほとんどがこのマンションか隣のLes Saisonsの住人。香港の地場の参観者がまぁ珍しいもの(実は日本人には奇妙なもの)見て、の大衆娯楽だったのだろうか。太古城までQuarry Bay Parkを散歩してユニーの日本食まつりで「鮪の解体」あり、美味そうな鮪の赤身やはまち、鯛などの刺身の切り身いくつか購う。晩にそれを食す。菊正宗の残り少しと「花てんじゅ」なる芋焼酎(宮崎、王手門酒造)飲む。
▼今朝の信報に「李福善先生的公開信」という、香港司法の重鎮、李福善氏(前、最高裁上訴裁副裁判所長)の香港政府新庁舎建設反対の公開意見広告あり。これは香港政府が金鐘のTamar Site(添馬艦)に政府新庁舎建築の計画、「香港の繁栄のシンボル」となるHK$50億だか投じての超高層ビルだそうで、立法会で野党民主党が条件つきながら建設に合意。金鐘のTamar Squareは中環の英国海軍総部(現、中国人民解放軍駐香港部隊総部)に接した、もともとは海軍艦船の港で、そこが埋め立てられ1997年の香港返還の記念式典だの03年のSARS疫禍後の忌まわしきHarbour Fest 2003(香港米国商工会議所主催のSARS復興記念の大物外タレ多数招聘の一連のコンサート。政府これ支援しSARS基金より約1.2億円捻出の上に惨憺たる入場者数で収益では賄えぬ高額のギャラの補填まで公金充てる始末)など此処で開催される。李福善氏は、この計画につき、巨額の公的資金投じての高層ビル建設は付近の交通渋滞、大気汚染、騒音など環境保護の観点から悪化深刻であり、ヴィクトリアハーバー沿岸の公共の一等地は香港の市民や来港の観光客のためにもっと福利還元される用途に用いられるべき、と。御意。たかだか人口700万だかの「一地方自治体」の庁舎建築になぜ70階建てだかの超高層建築が必要なのか。小役人の権威誇示。虚勢。それにしても地方自治体が豪華な庁舎建設は、考えてみると東京都庁、ソウル市庁舎、それに言わずもがな中国の各地方政府、郷鎮レベルでの異様に巨大で、しかもダサい欧風ごちゃまぜ様式の庁舎建設など、アジアに特有の威勢。もちろん紐育市庁舎だの巴里市役所だの建物は立派であるが、周囲の建築から抜きんでて、というほど威勢は張らず。むしろ役所など事務的に機能すればよく目立たぬことが本望。東京都庁は結果的に、威厳的を選択し丹下健三の「あれ」となったが、磯崎新の都庁コンペ作品はまさに樹木のなかに隠れるような庁舎。これは「市」にとって市民が中心であり市役所という事務的なる箱は目立つ必要ない、という意志。香港も英国統治時代からの香港政庁の建物は中環にありがなら樹木のなかにひっそりと佇む奥床しさあり。当然、総部だけで足りる筈もなく多くの部署は各地に点在しオフィスビルの間借りなども多いが、寧ろ、部署が拡散されることで公務機能の中環への集中を防ぎ市街の拡散に寄与する側面もあり。それをあえてTamar Siteに集中させましょう、というのは、たかだか地方自治体の威厳以外の何ものでもなし。