富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

五月十五日(月)曇。台風シグナル警報1。まだまだ遠方。「来い、来いっ!」とまるで競馬気分。早晩に湾仔で独り晩飯済まそうと思い、ふと思いついたは船街(Ship St.)のマレー小料理屋。数カ月前にふらりと立ち寄り独りラクサだか食した記憶あり。店の名前失念していたが唯霊氏が信報の連載でこの店を「また行きたい」と紹介(名前出さず場所だけ)。すると数日後に同じ連載欄で劉健威氏が「唯霊叔、また行ったらきっと失望しますよ」と、この店がすでに閉店したこと綴る。店の名は「馬拉王」といい、店の客の間からはauntieと呼ばれていたマダム黄が女将。祖父の代からマレーシアで飲食業、本人も英国で二十年の小料理屋経営。香港にまともまマレー料理供す店がない、と友人に言われ香港で「馬拉王」を開業。劉氏は一昨年、この食肆を知り連続三日通った、と。ラクサ、蝦麺、肉骨茶などなど美味で廉価。それが突然の閉業とは。いずれにせよ、その店がないのだから、意外と湾仔で独りでふらり入りたい食肆もなく結局、永華麺家で薑葱撈麺。それにしてもHK$32とは高値。確かに葱など上等であるし今どき竹打ちの麺も立派。だがHK$32ならかなりの利潤。利潤といえば「白花油」で有名な和興は歌手気取りの社長が可笑しいが(サイトではいきなり社長の唄うテーマソング流れる)05年の営業額はHK$9,620万元で白花油の独占企業としては「こんなものか?」の売上高。ちなみに「風前の灯」と言われる星島日報社(社主の胡仙女史が新聞発行量偽装で刑事訴訟されるところ董建華の指揮権発動で「香港の法治」象徴する梁愛詩司法長官により刑事訴訟免れる)は営業額がHK$18億2452.2万で雲泥の差だが純利を見ると白花油がHK$3,363.5万に対して星島はHK$2億2077.3萬と、白花油の純利率35%に対して星島は12%たらず。白花油など「ずいぶんコストは安いだろう」とかねがね思っていたが、やはり歴然とした事実。しかも白花油は顔氏の家族経営。晩遅く文藝春秋六月号読む。京大教授中西輝政君の「日中戦争はもう始まっている」だの「媚中派大臣二階俊博の招待」だの「発禁 毛沢東を汚す中国性愛小説」だのと、まぁ煽る、煽る。それにしても京大教授ともあろうものが「次期首相は、北京でなく東京で選出されるべきである、この日本のあらたな「覚悟」を示すこと。そこから、「相互の均衡」を基本コンセプトとする真の日中友好関係が始まる。ポスト小泉の総裁選は、そこへの一里塚となるべき「新・日中戦争」の主戦場であることをゆめ忘れてはならない」だって。情けない。この先生であるとか文藝春秋であるとか文春文化人であるとか「中国の呪縛から解放されるべき」とか叫んでいるが実は「中国の呪縛」に拘束されてしまっているのは、この人たちなのであろう。日本は中国に支配されている、という自虐史観。本居信長なら後世の、この思慮浅き人たちを見たらさぞや情けなく思うのではなかろうか。その文藝春秋の今月号で唯一面白き記事は保坂正康の「新・昭和史七つの謎」で、戦争終結につき昭和天皇がどう聖断を下したのか?という事につき(本題は「なぜ」だが「どう」の方が内容には適切であろう)、大本営からは正確な戦況報告などない中で先帝がどう情報を得ていたのか。ポツダム宣言受諾の聖断に対して国体護持のため本土徹底抗戦を主張する阿南陸相に「阿南、泣くな、余には(国体護持の)確信がある」と言い放ったという、その確信の根拠。天皇の独自ルートが皇族や周囲の侍従武官か、いや天皇は米国の短波放送を聴いていた、と保坂氏は寺崎日記のさりげない記述から推測する。敵国の放送を聴くことなど国民には全く許されぬ時代にあって宮中で先帝が米国の放送をば敵国民相手の日本語放送ばかりか英語放送もお聴きあそばされていたとは。先日、イッセー尾形の演じる先帝なら短波放送に耳を傾けるところ想像に実に易し。
キャセイパシフィック航空のスチュワーデス制服着た29歳の男性が銅鑼湾のVictoria Parkを遅晩に徘徊しており女性の歩行者を追従していたとして不審者扱いで警察に身柄拘束される。CXのスチュワーデス制服の入手経路については明らかにしておらず。「下體蔵有一雙自慰用的「震蛋」」だそうで、それ以上詳細ないが、電動「震蛋」の「挿入」など詳細語られぬほうがよい……但しこれは罪にはなるまい(笑)。スチュワーデス制服も盗品なら問題だが。この男性、03年には女装で尖沙咀スターハウスのマクドナルド内のトイレに侵入し「遊蕩導致他人擔心罪」で有罪となり懲役8ヶ月。06年には女子高生の制服でマスクして中環のビジネススクールの学生食堂にいたところを「遊蕩罪」で懲役28日、執行猶予2年。で今回。裁判には三つ揃いの背広にシャポーかぶって紳士然として登院。女装だけでなく被服についてかなりのコダワリあり。無職で生活援助金を受けているが賃貸アパートの家主は女装癖は知っているが家賃支払いもおくれぬため個人の嗜好には関与せず、と。今回の徘徊がどこまで罪状となるか。「震蛋」は別として、女性トイレに入っても、この人の場合は盗撮などに比べれば他人の被害はかなり少なく「他人を不安がらせる」という罪状?以外なし。それにしても「ふらふらして他人を不安がらせる」なんて罪状、いくらでも適用可能。
▼元郵政相、箕輪登先生逝去。享年82歳。佐藤栄作元首相の秘書経て67年に旧北海道1区から初当選。90年まで8期衆議院議員防衛族で防衛政務次官など歴任。防衛力増強や自主憲法制定も主張。元郵政相。04年1月には自衛隊イラク派遣が憲法自衛隊法などに違反するとして国を相手取り派遣差し止めなどを求め提訴。「自衛隊は軍隊ではなく、外国から攻撃を受けた時に防衛する集団。イラク派遣で日本人がテロの標的になる可能性が高く、平和的生存権を侵害される」と主張。イラクで起きた日本人の人質事件では「自分が身代わりになる覚悟がある」などのメッセージを犯人に訴える。自民党の理性。すでに「自民党は変わった」で果たして良くなったのか。自民党内の保守派リベラル主義、理性。

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