富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-05-07

五月七日(日)快晴。猛暑猛々し。書斎の窓は当然閉め切り冷房つけているがじわじわと熱気が窓ガラス越しに。下げたブラインドの隙間から青空。雑事済ませ競馬の予想など少ししてタクシーで金鐘のコンラッドホテル。放送作家の村上さんと待ち合せバスで中環。擺花街の羅富記まで歩えば大汗。炸醤撈麺、炸魚球、白灼猪レバー食す。美味。FCCのバーで昼から熱冷ましでジントニック一飲。尖沙咀経由でKCRで沙田競馬場。斎藤さんとQE II Cupから二週間ぶりに再会。メンバー席の5階ロッジ席に陣取り地場G1のChampions Mileなど観戦。Champions Mileは三月の豪州Futurity Stakes皮切にドバイのDubai Duty Freeに続き香港のこのChampions Mileで六月四日に安田記念に到る四連戦。日本馬の来港期待したがハットトリックアサクサデンエンの二馬、ドバイ戦での思わぬ不調で香港諦め安田記念に照準合わす。そういったわけで海外馬はわずか数頭で地場レースのChampions MileはSilent Witnessの復調なるか、に注目集まる。なにせ昨年のこのレースまで17連勝負け無しと破竹の勢いのSilent Witnessは初マイルに臨みBullish Luckに敗れ二着。18連勝ならず。その後、日本でスプリンターズステークスこそ勝ったが入賞こそあれ勝ち星なしのまま今回のChampions Mileでファンの期待で一番人気。パドックで斎藤さんに競馬評論家の須田鷹雄氏を紹介いただきご挨拶。昨年の覇者Bullish Luckも一年勝ち星ないまま参戦。思わず「ったく、去年の勝利が偶然ですよ」と自信満々に指摘してが本命はJoyful Winner、これを軸にSilent Witness、Danacourt、Russian Peralと地元馬並べMarwing騎手のSeihaliという馬券各種。でレースはSilent Witnessがハナをとって第四コーナーまわり、追うはBullish LuckでJoyful Winnerも追い込むが、まさか……と思ったらBullish Luckが一着。Silent Witnessは思いっきり落ちてDanacourtが二着、Joyful Winnerが三着でRussian Peralと続く。Bullish Luckさえいなければ、のお得意の「それさけいなきゃ三連単」である。その時、背後から村上さんの「三連単〜!」という声が。馬券見ればちゃんとBullish Luck加えており三連単的中(443倍)。これだけなら「まだ」驚かぬが彼の手許にはBullish Luck単勝13倍のHK$100馬券。それに連複もワイドもBullish Luck軸に厚くご所持。マジだろうか……Bullish Luckをばパドックで嗤った身としては穴があったら入りたい気分。払い戻しでにんまりの村上さんと馬場をあとにして尖沙咀。ドイツ麦酒屋Biergartenにて麦酒ごちそうしていただく。Z嬢と太空館にて中川信夫監督の『地獄』観る。天知茂の演じる大学生の四郎が悪魔の如き同級生の田村(沼田耀一)の怨念でさまざまな不幸と殺人に巻き込まれ最愛なる恋人の幸子と妹(三ツ矢歌子の二役)など周囲の人が悉く死亡し皆、地獄に堕ちて、の地獄絵図。大胆なカット割りやカメラワークなど見事だが王道をゆくB級映画。それにしても沼田耀一の演じる田村が不思議な役。そもそも善良な四郎がなぜ田村によりここまで不幸にされるのか、の前提が全くもって不明。唯一想像に能う前提は田村が実は四郎に恋い焦がれており大学教授の娘・幸子といい仲で婚約までした四郎への復讐劇とでもとることだろうか。いずれにせよ四郎の郷里で殺戮など始まる場面からはもう筋もめちゃめちゃで可笑し。銅鑼湾で斎藤さん、村上さんのお二人と待ち合せZ嬢と四人で銅鑼湾の雪園飯店。時々行くのは北角の本店で銅鑼湾の店は何年ぶりだろうか。村上さんの大勝ち祝し本人のお振舞いでシャンペンで乾杯。前菜からいつものように食べ始め、さすが雪園、と満足していたが最後に頼んだ「什錦鍋巴(五目おこげ)」で唖然。上海料理で有名な「おこげ」は料理屋で供す料理と化してからは実際には自然に飯炊きでできる「おこげ」ではなく米飯をば油で揚げて熱々のところにこれまた熱い餡をかけ、ジューッとおこげが餡で蒸され柔らかくなったところを頬張るのが常識。それが卓の近くまで運ばれると経験浅き給仕に黒服が供し方をば指導。それはいいのだが眺めていると、さっと供してなんぼ、の料理に、どうも様子が可笑しい。給仕は、銘々の小碗に餡をばスープのように分けて我々に出すと、おこげの山を卓中央に置いた。えっ……これどうするの?の新機軸。懸念の通り「おこげ」は手でもっても熱くもなく「おこげ」どころか「おこし」の如し。それを手で割って餡に浸して。浸したところで「おこげ」も餡も冷めているから見た目からして不味そう。四人して唖然。思わず給仕長呼んで「これ、なに?」「どうやって食べればいいのよ?」と尋ね「おこげ」を手に持ってみせると給仕長恐縮するばかりで至急作り直し命ず。非熟練の給仕に指導した給仕が「おこげ」が熱くないのに気づいていたのに「どうせ中国人じゃないからわからないだろう」的安易な発想だったのは明らか。あらためて運ばれた「おこげ」は餡をかけるとジューッと、これが当たり前。このいい加減な接客にただただ呆れるばかり。二度と銅鑼湾の雪園飯店には行くまい。
▼台湾の阿扁総統、中南米への旅で米国に経由拒否され西廻りで当初、ベイルートかはたまたリビアトリポリか、と言われていたが結局、アブダビとなり、ただ中近東から中南米までひとっ飛びというわけにいかずオランダのスキポール空港が中継と給油受入れ33時間の長旅でパラグアイへ。さまよえるオランダ人ならぬさまよえる阿扁。さまよえる台湾人、とは言わぬのは、台湾人の彷徨にあらず、あくまで阿扁総統の外交下手ゆえのこの態であるから。
シンガポールの国会選挙。聞けば聞く程にただ呆れるばかり。野党候補強い地域では現職外相など与党は有力候補「刺客」に送り込み当選の暁には、と地域の公団住宅だのインフラ整備の確約。選挙での公約にすぎぬが与党候補当選すれば当然その公約が叶い、つまりは野党候補当選させたら「てめーら、わかってんだろうな」の地域開発の置き去り。選挙での実際の買収はないが選挙前には国庫黒字を理由に国民に対して成人で一人あたりS$12,800の還付金支給(選挙のない前年はS$987)。これは実質的に与党に投票してね、の買収。選挙翌日には野党・労働者党の幹部ゴメス氏チャンギ空港で出国の際に逮捕される。警察によれば選挙管理委員会からの訴えに基づく調査のため。不幸中の幸いは与党人民行動党の得票率が前回の75%から67%に落ちたこと。だがこれに対して一党独裁がために更なるテコ入れも必至か。