富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-04-20

四月二十日(木)木曜日といえば小泉メールマガジンで朝が始まるが今朝はまだ昨晩の柳町光男監督の映画のことが頭から離れず。昨晩はひとまず「あの映画は実質的に学生の制作である」としたのだが、やはり柳町氏は早稲田で客員教授をしていて(こちら)この作品の公式サイトには柳町監督のコメントあり大学生との接触が映画生んだということを「それは(大学生たちが)面白かったからですよ。最近の若者はどうしようもないとかっていう部分はもちろんあるけれど、一方で付きあってみれば現代の若者たちの居様が見えてくるし、悩みもあるし。この時代を生きてきたわけだからね。そういうのを見ていると可愛いところもあるし、物語の舞台を大学のキャンパス内に限定して、大学のキャンパスってとても映画的な場所なんですよ。彼らがそこを右往左往しながら走り回る青春映画を作ったら、充分に今の若者たちは映画的に主役として成立すると。かといって、学生たちに擦り寄るつもりもなくて、若者が作る青春映画じゃない、僕が作るんだからそこに僕なりの視点も当然入れています」と語る。監督自身が学生の制作作品でなく自分の、と強調しているのなら我の認識は否定される。もう『十九歳の地図』の頃とは違う、嗚呼……と思っておれば、ふと「あっ」と思い出したのが90年の初夏、新宿でのこと。すっかり忘れていたが『十九歳の地図』から『火まつり』への我にとっての柳町光男はすでに過去のものだったのだ、と痛感させられたのは今回が初めてでなく『チャイナシャドー』であった。忘れもしない90年の初夏、新宿の歌舞伎町はミラノ座?、我の香港移住直前にZ嬢と此処で『チャイナシャドー』観る。監督は「あの」柳町光男、主演は「当時は大人気の」今は何処?のジョン=ローン、で97年の「日本人にとっては世紀の一大事」の香港返還を控え日本は香港ブームに沸き、映画は香港舞台に中国の元紅衛兵が云々。満席の映画館でこの映画観たのだが、我の映画鑑賞で人生でただ一度だけ「映画の途中に離席」がこれ。映画の筋の陳腐さ、ジョン=ローンの演技の下手さだけなら赦せたのかも知れぬ。が、我にとっては「青春の最も影響受けた映画監督の一人である柳町光男がこれだ」で怒りにも似た心境にて映画館を出でる。夕方の新宿、恐らくZ嬢とはその足で南口のまだ戦後の名残ありし一杯飲み屋の「日本晴」か薄汚いが味は絶品の台北飯店か、或いは通り向かいの「五十鈴」に飲んだはず。柳町監督はこの頃から映画制作の現場から遠のき映画制作を学生指導する道に進む。それはそれでよい。が映画の中で本田博太郎演じる教授が映画制作から退き退屈なる生活続けるがあくまで学生のワークショップでの映画制作になると生き生きと制作現場にいたが如く柳町光男の往年のファンにしてみれば、もう撮らずに、この作品もできれば制作総指揮か何かでいてほしかった、と思うばかり。……というわけで木曜日といえば小泉メールマガジン。中国の胡錦涛氏が訪米、米中の政治的思惑の中で小泉三世は「Furoshiki展に行ってきました」と。「一枚の布が、かたちを変えていろいろなものを包む」と風呂敷の見事さ語るが「一人の政治家がかたちを変えていろいろなものを包む」のが小泉三世。というわけで本日、晩に映画鑑賞と言いたいところだが香港国際映画祭は昨晩が最終日で終幕記念上映もあり。それを外しての柳町光男。早晩に銅鑼湾献血センターにて献血。常連で職員の気さくな対応受けるが問診にてこの二週間に鶏肉食した?と鳥インフルエンザ対応。そりゃ食した、と答え、まさかそれで献血不可になる由もないが、ちゃんと高温で処理してましたよね?、それなら問題ない、ところで日本では生で鶏肉を食べるの?、と看護婦。そりゃ鳥刺、蕎麦屋で鳥わさで日本酒をくいっというのが美味い、それも夕方なんかにちょいと一杯が最高、と話すと、看護婦、生でねぇ……と言いつつ新鮮な鶏肉なら醤油に山葵で美味しいかも、香港でもあたしが子どもの頃は地鶏なんてずいぶんよく食べたし、さっと炒めたくらいで美味しかった、と看護婦の昔話。献血後には水分をじゅうぶんに補給しましょう、と献血センターで言われ、隣のビルがバーYなのも幸いに、とバーYにてハイボール一杯。獺祭(だつさい)という山口は周東町の旭酒造の純米酒を一合。帰宅してかなり久々に自宅にて夕食。
胡錦涛訪米といえばシアトル入りしヰンドウズ社のビル=ゲイツ氏私邸訪問。中国にとってブッシュ大統領よかゲイツ氏のほうがなにせ国内のネット管理で大事。李鵬家族が中国の二十世紀の基幹たる電力事業独占なら胡錦涛氏は娘婿の茅道臨君は中国のIT企業大手「新浪網」の元CEOなり。茅道臨なる人は上海の出身で上海交通大学にてコンピュータ専攻し卒業後に米国スタンフォード大学のエンジニアリング経済の修士。国際投資会社のWalden Int'lにて中国や香港のIT企業投資に従事し、この会社の副総裁にまで出世。88年に中国で新浪網を企業しUS$6000万の資産家となり中国のIT長者番付11位とか。この人が胡錦涛の娘・胡海清の亭主。胡海清女史はちなみに北京清華大学卒、昨年上海の中国欧州国際商業学校でMBA取得。というわけで着々と胡家のIT化着実。米国にしてみれば米国の基幹産業たるボーイング社に対して中国の旅客機購入は今年の発注分だけで150億米ドル。マイクロソフト社もヰンドウズの受注は10億ドル。