富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-04-21

四月廿一日(金)かなり忙殺され疲弊のままジャスコにて刺身いくつか購い帰宅。晩飯。刺身盛り合わせはどれもサーモン入りでうんざり。サーモンの入らぬ刺身三点セット(鮪赤身、鯛、紋甲烏賊)は一つだけ売れ残りあり。これに池魚(これは縞鯵)と貝柱をそれぞれ別に。盛り合わせが並んでいるのに細々と揃えるのは当然そのぶん値段も張る。NHKでかつて偶然、成駒屋の大檀那に岡本町の自宅で山川静男がインタビューする画像を見たNHK映像ファイル「あの人に会いたい」で大檀那以来偶然また見れば今度は長沢節。あの鮮烈なるキャラと流れるような線のイラスト、随筆や雑誌「装苑」に連載の「セツのシネマ・セミナー」等々。逝去から早七年だそうだが長沢節本人の声や語りを聴いたのは今日が初めて。大正六年に会津若松の生まれ、とプロフィール紹介だったがセツ・モードセミナーの師も語り口調はやっぱり会津弁。福島でも会津の人は(渡部恒三は極端にせよ)故郷を離れいつまでたっても語尾より会話の中の単語ひとつひとつに独特の強いイントネーションあり。それが普通なら余り気にならぬものが長沢節であるから強烈なオシャレモードとしなやかさの全人格化に会津弁のミスマッチが実に可笑し。
朝日新聞の「海外の提携紙から」という社説紹介(18日)でシンガポールのストレーツタイムズ3月26日社説「10代の秘密の生活」あり一読して呆れて嗤うとともにシンガポールらしい建前健全主義に唖然とする。余談だがストレーツではstraitsが海峡とわかってはいてもstraightsとも読めて紛らわし。この社説、要旨は、18歳の成績優秀な女の子が「実は」15歳の時から週末ボーイフレンドとセックスしていたことや17歳の南洋技術高専(実名だ!)の17歳の女子高生のセックス場面の画像がネットに流れ「世間の注目集めた」ことなど綴り「この国の少年少女はまじめで勉強家だという神話は吹き飛んだ。親や学校は長年無視しようとしてきた実態、つまり、ごく普通の10代がセックスをしているという事実に直面している」と嘆く。10代の男女各10人にStraits Timesが取材したところ「驚くべき発見」は「いまの10代はセックスをするということに全然抵抗がない」ということで「こうした奔放な若者はまだ少数派だとしても」民間団体の調査では10代の4人に1人は性体験あり。これまで17千人の学生に性に関する講演会実施した「禁欲を訴える民間団体」の話では性交は結婚後にすべきと思っているシンガポール国民は4割で、初体験の平均年齢は18.4歳だが、これは周辺諸国では最も若い、と憂慮する(だが周辺はモスレムであることを考慮すべきだろう)。続いて「若者の健全育成を目指す子どもソサエティー」の幹部の話として若者が性にオープンになる風潮や環境を認めつつ「でもまだ、禁欲は良いと信じる人は多い。すべてが失われたわけではない」と結ぶ。10代がセックスをする、ということにこれだけ大袈裟に懸念表明してみせる真面目。フーコー的には最も卑猥な「禁欲を訴える民間団体」だの「若者の健全育成を目指す子どもソサエティー」が機能し人民行動党の集票マシンか。禁欲のエネルギーを勤労に結びつけ李王朝の反映に寄与するのがシンガポール国民の義務であろう。中国や北朝鮮よか、健全に見せかけるだけこっちのほうがずっと不健全。10代がセックスをする、ということは寧ろ「しない」ことのほうが不自然。自然には昔から「する」のが当たり前だったが「しないようにする」戒律を作ってみせたのが近代。しかも一般の人々にそれを道徳や教育で強いる、まさにシンガポール的な社会健全こそ近代の怖さ。
胡錦涛主席訪米。ホワイトハウスでの歓迎式典にて司会が中華人民共和国国家吹奏を間違えて中華民国と言い報道陣のなかには法輪功信者紛れ込み中国政府非難。セキュリティチェック厳しいはずのホワイトハウスにどうやって法輪功信者が入ったのか、抗議中もシークレットサービスが取り押さえるような事なく一通り抗議演説終わったところで連れ出され中国側は不快感。

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