富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

三月廿八日(火)かなり久々の快晴。岩波の『世界』をOCSで定期購読していたが日本円にすれば780円の雑誌にHK$92も払っているわけで日系の本屋での定期購読に変えようかと余は「品揃えにかなり生理的嫌悪感じる」某書店に参り『世界』の購読尋ねれば通常、入荷しておらぬ雑誌のため単品での注文となり受け取りは毎回2カ月くらい経ってから、と。呆れて断念。かつてこの書店で『世界』定期購読しておったが、その時は店頭にも『世界』が一冊だけ置かれていたが(恐らく余の注文に合わせ店頭用に一冊か)。月刊『文藝春秋』平積み、『正論』もきちんと入荷するのだが。昼に北角の回味古法清湯南にて牛南河粉食す。早晩に銅鑼湾に今月開店のバーBに一飲。競馬場からHappy Valley、ニコルソン山まで見渡せる。晩に香港歴史博物館の某館の副館長勤めるW君と食事の予定がW君遅れたのを幸いに一飲むのはずが竹鶴のハイボール三杯。W君と会い炉端焼・一番に食す。W君は戦後日本映画、テレビドラマにかなり造形深く竹脇無我と十朱幸代のドラマで……と言われてもこちらが珍紛漢紛。歴史観の話となり日本の歴史認識にも甘いところあるのは事実だがW君はそれぢゃ中国が日本非難できる程に真っ当か、と。中国政府のウイグルチベット併合でどういった認識もっているのか、と指摘厳しいが、それは事実にせよ日本からこの論法となると余りに文春、正論的でお下品となる。W君と別れ独りバーS。いつものように飲んでパイプ吹かせば帰りがけにカウンターにNoilly Pratというベルモットありグラスに少し賞味。フランス産の香りよき酒。物の本にモーム愛飲、とあり。タクシーに乗る道すがらバーYに寄りワイルドターキー1杯飲み帰宅。
▼知己のG氏よりスタニスラフ=レム逝去、とメールで知らされる。享年84歳。『ソラリスの陽のもとに』を映画『惑星ソラリス』見た後に読んだだけなのだが。当時のポーランドソラリスに空想をば広げたレムの世界。「また巨星が逝きました。」というG氏の言葉に、ふと思えばアーサーCクラーク先生がまだご存命。さすがスリランカで少年の……否、まぁクラーク先生もさすがに九旬では、と思いつつダイビングに悪戯癖に、と現役だろうか。
▼陳日君が枢機卿となり昨日、ローマ法王香港からの観礼団と接見。陳枢機卿民主党のマーチン李柱銘、蘋果日報社主のビリー黎智英などを法皇に紹介。マーチン李氏について陳枢機卿は「正義、人権、民主得られる日が来るために私と一緒に働いております」と紹介せば法皇は「これからも続けて努めるように」と声をかける。カソリックもそうなら法輪功にせよ宗教弾圧となると毅然と、時として必要以上になんと政治的。ところで陳枢機卿、これまでもBishop Zenと英語表記されているが陳さんがZenなのは上海語から引音のため(実際にはZunのほうがより上海訛りに近いらしい)。

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