富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十二月廿三日(金)朝五時半起き。香港站からAirport Expressで七時半に空港。CXのラウンジにて饅頭と豆乳で朝食済ませ09:05発のCX712便にて一路、バンコク。熱はないが風邪の症状ひどく朦朧としたまま。それでも旅にまで辿着いた、とZ嬢とシャンペンで乾杯。頼んだ記憶ないがオリエンタルベジタリアンの朝食供され豆乳と豆腐花。朝、冷蔵庫に残っていた豆乳を少し飲んで残り捨ててから三度目の豆乳となる。わずか二時間余のフライトで新聞も読み終わらずにバンコク到着。気温は摂氏25度。クリスマスの休暇前でさすがに空港は混雑。タクシーでバンコク市内のインターコンチネンタルホテル投宿。正午。クラブのラウンジが37階の最上階になり、ずいぶん驚きの広さ。部屋のインターネットのブロードバンドも8月には1日480バーツだったか、が無料になっていた。荷物片づけてZ嬢と別行動で外出。SkytrainでSala Daengまで行き香港のジムの系列店があり施設見学でサウナ一浴(東南アジア各地のジムが無料で利用可だそうな)。パッポン抜けてSurawongにある某旅行代理店にて航空券発券。今日伺うと伝えておけば訪れればきちんと用意されており待ち時間なしの対応はありがたい。昼を食べておらずこの旅行代理店のあるビルの地下にあった「五右衛門」という定食屋でラーメン。40バーツ。香港ドルなら8ドルは今では雲呑麺すら食せぬ。Silomをうろうろしてホテル戻り。早晩にバンコク在住のY夫妻来室。免税で買ってきたMo?t & Chandonを飲みながら、の歓談。「ふざけた食事」もたまにいいか、と日暮れてSkytrainでThong Loに行きColiseumというショーレストラン。タイ料理のビアガーデンで午後8時すぎからショーがあります、という食肆。アイドル風歌手の歌、コミカルな女装でのショーが順番に続くが、どれも素人芸の粋から出ておらぬのは前座だから。午後10時すぎからは妖艶なるニューハーフとかも登場だそうだが長い一日に疲労感あり風邪気味で前座のショータイム終わったところで退散。観光パブか、と思っていたら地元の若い客数百人?の賑わい。
▼五右衛門という店でらーめん食しながら眺めていた『バンコク週報』なる日本語紙にプミポン国王の12月8日のお誕生日の演説のうち前半が全文掲載あり。国王がタクシン首相に対して首相批判に対峙して争わぬようお叱りをしたことで今年の説教は海外でも報道が大きかったが(タクシン首相はこの国王のお叱り受け即刻、反タクシン派の新聞など訴えていた訴訟をすべて取り消す)全文掲載されたお言葉を読めば読むほどなんと立派な国王か、とつくづく敬服するばかり。今日は日本は今上陛下のお誕生日だが日本なら「国民とともにこの日を祝い……」と形式ばった挨拶しかできぬのに同じ立憲君主国でもタイでは国王のお言葉は正直言って凄い。とくに感心したのは「批判を受入れること」から立憲君主制に言及している点。プミポン国王によれば立憲君主制とは「国王は間違ったことができない」ということと述べる。これは国民が「国王は間違ったことをしない」と言い、それに対して国王がそれに同意すること。この信託関係が立憲君主制である、と。なんと見事なこの言葉。国王が間違ったことをすることは、それは国王にとって死を意味する、とまで述べる。言葉もなし。英国の立憲君主制が成立した過程も清教徒革命とチャールズ1世の処刑、そして王制に対する国民との信託関係そのもの。立派な国王を抱くことのタイの幸福。やりたい放題と議会やマスコミに追求された時の軽口や言い逃れの勝手さはタクシンか小泉三世か、だが、小泉三世は田中外相の更迭の際に陛下に嘘までついても不問のまま、かたや国王からお叱りを頂戴するこの差。

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