富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2005-12-19

十二月十九日(月)晴。諸事忙殺され晩に至り晩飯食す暇もなく源吉兆庵に豆大福2つ購い空腹満たす。でエスプレッソ二杯で睡魔回避。WTO会議の期間中はバナナとビスケットで糊口を凌ぎ珈琲がぶ飲みと禿頭亭WTO日剰に綴るPascal Lamy君の如し。晩遅く来週はもう会わぬであろう知人に別れ際「メリークリスマス!」と言われ一瞬、こう言われたら何と答えていいのか戸惑い返す言葉に窮す。暫くして単に「メリークリスマス!」と返せばいいと合点。「あたくしはキリスト者でありゃしませんゆゑ」と聖誕節をば何十年も祝わずにいると市中どれだけ聖誕節祝賀の雰囲気になろうと聖誕節などすっかり忘れている。新年も我が国では伝統的で風土に見合った陰暦をばさっさと捨て百数十年前にたんに太陽暦をば用いるだけならまだしも陰暦の節句をば端午の節句など新暦に置き換える愚弄が我は今もって赦せず、亦た新年で昨年までの過去をきれいさっぱり清算してしまい何等反省も改善もなく新年迎える我が国の、これは悪しき文化と感じ入り新暦での伝統的なる正月行事は「近代の陰謀」ぞよ、なんて言っていると出口王仁三郎。誰にも相手にされなくなるかも知れぬが今日は何がショックだったか、といえばトランプのダイヤ、クローバー、ハートまで出てきて「ほら、もう一つ、あれ、あれ!」とスペードが出てこない自分の悲しさ。相手にスペードのマークまで描かれても、それをすぐに「spade」と言えぬ我。どうしよう。晩に疲労困憊で帰宅しシャワー浴びてバランタインの17年を少しの水で割ってぐいぐい、と飲めば深夜12時。
WTO香港会議の<香港宣言>で一つ疑問であったのは「後発国からの輸入品の最低97%は08年までに関税と輸入数量枠を撤廃する」というところ。97%まで出来て何故100%に出来ないのか?は素朴な疑問。19日信報社説に「この残り3%が実は先進国が最も敏感な保護産業で米国の紡績業や日本の稲作がこれに含まれる」と。御意。またこの後発国は国民の平均年収がUS$750以下で世界上の35カ国がこれに該当するが、その後発国のGDP総計が世界全体の1%に満たず実際にこの国々の輸出品目の関税や数量枠が撤廃されたところで先進国に及ぼす影響など微々たるもの。それで後発国がUS$80億の収益がもたらせるのだから、の合意。綿花については米国が綿花の輸出補填(年間US$30億)を取り消すことで南アフリカ諸国の綿花輸出用は75%増。中国も綿花生産者は恩恵受けるが同時に中国は綿花輸入国でもあり米国の輸出補填なくなることで綿花価格は2〜12%値上がりし中国の紡績業は大きな痛手を被る、と云ふ。
▼17日の抗議活動が「暴動」だったのかどうか。警察は促涙弾を用いたし湾仔につながる道路は封鎖され交通麻痺。MTRの湾仔站が封鎖。警察の措置が厳戒体制であったが。フランスのリベラシオン紙は警察の抗議活動への大袈裟な厳戒体制とマスコミの取り上げ方のセンセーショナルさを驚きと表現していたそうな。実際に、この警察の道路封鎖を再検討してみると、湾仔でGloucester RdもLockhart Rdも自動車通行止めでも歩行者は自由に往来可。Gloucester Rdは現場なので近づけない雰囲気があったが17日深夜の「暴動」の一瞬を除けば一般人が韓国人団体に差し入れに行っても問題なし、だった。だが道路占拠されているGloucester RdとLockhart Rdの間にあるJaffe RdだけがFleming Rd(この高架線下が座り込み現場)を中心線にStewart RdとO'brien Rdの間の2ブロックに限り封鎖で立ち入り禁止。それが「暴動」であるからのようだが、実際には「なぜ此処が封鎖されたか?」は地図を見れば一目瞭然だがSteward RdとFleming Rdの間はちょうど湾仔警察署の裏門。警察も韓国団体の座り込み地点が警察署から100mという便利さ。で警察署裏は関係車両など駐車場がわり。で封鎖。もう1つのブロックは大新金融中心(大新銀行本店)の前が座り込み現場で機動隊はこのビルのG階ロビーに前線本部設け機動隊の現場での出入りもこのビルから。銀行側が会議室だの洗面所など施設便宜提供。とつまりは2ヶ所とも警察の警備上の理由での道路封鎖。「危ないから」ならGloucester Rdを歩かせぬはず。それが「危ないから」の共同幻想となっていた証左はマスコミや市民ばかりか、まさにこの大新金融中心の裏、Jaffe Rdに住む知人が17日晩(午後9時すぎ)に帰宅しようとすると「危ないから」とJaffe Rdへの進入を警察に止められ暫く状況観察続き「自宅がもうすぐ其処なのだから」と言ったら警官の護衛つきで自宅まで戻ったそうな。警察もいつの間にかJaffe Rdの封鎖は「危ないから」になっていたのが興味深い。深読みすると実は警察の精鋭部隊・飛虎隊(Flying Tiger Team)あたりが秘密裏に大新金融中心でいつでも突撃できる体制でスタンバイしており、それを市民に見せたくなかった、とか……まさか。
蒋介石将軍の曾孫(つまり蒋経国の孫)といへば当然、台湾で今こそ蒋家の偉力は昔に比べ脆弱であろうが蒋家であるから二人の息子がいれば一人は将来を託された政治家で一人は中華民国軍の若き将校、くらいであってほしいもの。それが蒋家の嫡流は兄弟ともファッション関係で台湾でDEMなるヒップホップ系のファッションブランドを経営。何をするも自由だが既成概念的に「へぇ」と驚く。築地のH君はそれを「台湾民主化の証し」と。確かに。我が国など未だに吉田茂岸信介の孫が政治家として脚光浴びる。石橋湛山片山哲芦田均など立派な政治家ほど政治家は一代かぎり。自民党では石橋湛山ただ一人。池田勇人の娘婿は池田幸彦。宮沢は息子には継がせなかったが弟は議員。竹下登の孫や小泉三世の息子は芸能界。やはり傑出は吉田健一くらいなもの。いずれにせよ政治家の世襲ほど呆れる話はない。
▼また民主党について。もともと日本新党以来「若手グループ」として前原某と行動ともにしてきた民主党若手議員のなかに前原某と距離をおく動きあり。かつては「前原総理で自分は官房長官でいい」とすら述べた某若手議員も前原と行動ともにすることの危うさを懸念か。いずれにせよ次の総選挙まで前原がもつかどうか。参議院の結果次第で大連立、で分裂で総選挙は新党結成にでもなればよし。
ブータンのJigme Singye Wangchuk国王が08年に王政から立憲君主制、議会制民主主義に移行し二院制の国会を設け国政選挙実施を宣われる。ありがたや大君の叡知。JSW国王を初めて意識したのは多くの日本人がそうであるように先帝の大喪の礼の90年。今年の冬の如く厳寒のなか東都での大喪の礼に民俗服「ゴ」を召して参列され「ありゃ誰だ?」がオックスフォード大学卒業され英知溢れると評判の、ヒマラヤの密国ブータンの国王殿下。国王殿下もすでに50代後半だそうな。王位は皇太子に譲りみずからは王位退かれるお考え。
▼ところで香港鼠楽園だが毎年買っている香港街道地方指南の06年版に香港ディズニーランド地域の詳細な地図あり。さすが通用図書出版。一見しての通り鼠楽園の小さいこと。直径500m以下。周囲の空き地が将来の竣工予定地だが当然、無理。この無駄な土地の埋立造成でどれだけの血税が浪費されたか……。誰も責任などとらず。

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