富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2005-12-16

十二月十六日(金)晴。新聞を開くとつい民主党の記事に目が……。党代表の前原某、記者会見で訪米、訪中の成果が上がらなかったことを指摘されると「日本の国会議員として日本の国益に照らした発言をし続けることは、与野党にかかわらず重要なことだ。小泉さんは議論すらできない。(首相と)同列視されるのは筋違いだ」と不快感を示した、とあり。言葉もなし。小泉三世が議論すらできず、と指摘したところで中共党政府幹部に会えぬのは前原某とて一緒。首相と同列視、って小泉三世は腐っても首相、同列視されよう筈もなかろうが、たかだか青二才の野党党首の分際で。早晩にFCCに四日連続。ニュース中継では韓国の友人たちが金鐘の韓国総領事館の入居するビルの前と花園道の米帝総領事館前で抗議活動続ける。いつもなら米帝総領事館の前を通りFCCに来るのだが今日にかぎって或る人とタクシーに同乗した結果、中環に向かいタクシー降りた為この抗議活動には遭遇せず。米帝総領事館前では抗議者が剃頭していたうちは良かったが建物に投卵のうえスプレーで総領事館の壁に“No WTO”などと抗議メッセージを描く。これで明らかに器物破損。切掛けを作ってしまった感あり。警察は抗議者の現行犯逮捕も可だが抗議者の誘導だの交通規制だの現場の整頓のみに徹する姿勢は大したもの。抗議団体は鐘や太鼓打ち鳴らして現場から去る。去り際が見事といえば見事。ハイボールは一杯だけ、新聞読むのも止めて米帝総領事館まで歩いて実地検分。金鐘に坂を下り、韓国総領事館入るビルの前で抗議の座り込みの韓国女性団体の現場。テレビの画面で見るとそこまでわからぬが現場で見ると皆で歌を歌い笑顔絶えぬ和やかな光景。だがその笑顔もけして心底喜びに非ず、ただ悲痛な現実をどうにか明るくといふ願ひ。「?傷傷逝的情懐」と林行止は綴る。帰宅。ドライマティーニ一杯。鰰(はたはた)、白菜鍋、煮込みに金平牛蒡など。大河ドラマ義経』の出演者回顧談特番など見ながらFCCで読みきれずの新聞読む。
WTO会議は残すところ後二日。EU代表らから会議での課題克服に早くも消極的なコメント出る。農業問題だけ見ても大きな障碍の一つは米国の発展途上国向けの食料援助。食料援助の何処が悪いのか?と思うのが普通だがWTO会議のネタのおかげでいろいろ勉強してみると米国が実は先進国に各国の国内農産業での農家支援、援助撤廃を提唱しつつ実は米国の場合、国内の余剰農産品を買い上げることで実質的に国内の生産者農家を保護する事実。そして、その途上国援助も実は実入りが援助国側にあるのが事実で援助よりも途上国からの輸出品の輸入なのほうがずっと途上国側に実利あり。WTO香港会議のせめてもの成果と期待されるのは50に及ぶLDC(Least Development Countries=最貧困国家)の経済支援のため綿花と製衣業の先進国での国内生産保護と関税の撤廃だが米国が国内の綿花生産と製衣業保護のため、それに応じるはずもなし。更に、もし途上国に実入りがあれば今度はその現金を消費させるために海外から輸出品が入り……で貧困など解消されるはずもなし。ドーハでの合意は英国のブレアなど口にするのは「100万人規模で人々を貧困から救う」目的だそうだが世界銀行の統計によれば貧困人口は95〜97年に8.26億人であったのが00〜02年には8.52億人に増加。貧困から人々を救うはずの貿易自由化が逆に貧困人口増加させるのだから、これが窮国を反グローバリゼーションに向かわせる原因となる。結局の儲けの多くは多国籍企業。中国はその企業活動の最受益国家だが現実は中国の94〜03年の輸出増長のうち65%は多国籍企業の中国での製造事業による輸出。海外企業の収益は増産のための投資に向くばかりで国内の賃金上昇に反映せず。
▼孔少林という人が信報で、今回のWTO会議は抗議団体が混乱もなく焼身自殺もなく終われば、この会議を成功と呼ぶべき、と。大幅な交通規制、学校の休校措置、湾仔の小売業は売上げ半減、抗議団体の来港者の消費は極端に限られ経済的には香港はこの会議開催から何も享受せず。だがこの筆者曰く湾仔の商店主が「商売の売上げは半減して数万ドルの損益だが、不公平な貿易で貧困なる農民が被る損失に比べたら、自分の商店の損など小さいもの。自分は彼らを支持する」とマスコミの取材に答えた言葉の意味の大きさ。この言葉を聞いただけで筆者は香港でこの会議開催された意義あり、と。
民主党では菅直人先生も
前原代表の下の民主党について、心配のメールをたくさんいただいています。私自身、代表選では自民党との対立軸を民主党として明確にすることを主張しました。新代表に就任した前原代表にもフレッシュな感覚で自民党に対抗する民主党の姿を示してくれることを期待していました。この点で前原代表の昨今の言動が、自民党との差がなく、二大政党としての存在理由が無くなっているという多くの人の指摘に、前原代表自身、真摯に耳を傾けてもらいたいと考えています。
と前原党首に苦言。だが前原某の政治家としての目標はべつに「民主党の党首」とかぢゃないのだから苦言を呈しても無駄。これは公然たる「反主流派宣言」。しかも民主党右派のはずの鳩山君さえ菅君に一枚噛んで、の話。羅馬の会議への派遣も鳩山君から要請だった、というし面白い。小泉三世は民主党との連立まで口にするし民主党内の動きも活発になり、ここまで政治を活性化させた前原某の功績は大。築地のH君は新党結成の暁にはシャドーキャビネットで「杉村タイゾー官房長官のもとで官房副長官くらいは務まるのではないか?、それともお得意の分野で省に昇格の防衛副大臣か?」と。石破防衛大臣に前原副大臣なら日本の防衛は完ぺき。だがシーレーン防備とかで自説を曲げず口論になる可能性も大。
▼ブッシュ今更でイラク征伐の根拠としたイラク大量破壊兵器保有の軍事情報に誤謬ありと認める。だがイラクにてフセイン独裁政権倒したことには意義あり、と。イラクでの民政への移行への選挙直前にこの公言は専ら年明けにも米軍のイラクからの引き上げが為。マスコミの扱いの小ささもイラク大量破壊兵器保有などデマであったことは公然、といふことからだろうがブッシュ批難の姿勢が殆ど見られず。本来であればフセイン以上の悪党でブッシュこそ国際法廷ででも断罪されるべきであるし日本なら、そのデマをば根拠に自衛隊派兵の小泉三世の責任も追及されるべきだが一向にその気配もなし。

富柏村サイト