富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2005-11-07

陰暦十月初六。立冬。朝日の天声人語立冬について語る。「啓蟄立秋など、もともと中国で生まれた二十四節気は、日本の気候とは微妙にずれている。それが近ごろ、いっそう目立つ気がする」と。よくテレビのニュースなど当り障りのない話題で「暦の上ではもう立冬……ですが東京では日中、汗ばむほどの陽気となり」と、この暦と実際の季節のズレを語るのが当たり前、で「暦の立冬の今日、日本列島には寒波が襲い……」ぢゃない。で天声人語子のように「もともと中国で生まれた二十四節気は、日本の気候とは微妙にずれている」という発想となる。だが実際には「中国でも実際の気候とはズレている」のであって「日本だからズレている」は大きな誤解。この陰暦、黄河中域から下流にかけて豊穰な土地にて農業盛んになり農作業の経験から生まれた気候との関連の暦で、立冬のころ華北では確かに寒いが冬の寒さよか「まだ暖かい」日も多く実際の気候とはズレている。日本の気候とはズレているが農作業では陰暦が使われる。で、そのズレが「いっそう目立つ」のは異常気象の所為で日本ばかりか中国も当然、ズレが目立つ。諸事忙殺され晩飯も下品に茶餐庁に済ます。二更も遅く帰宅。疲労感あるが机まわり片づけ、せめて明日から気持ちよく過そう、と。ウオツカにポート酒いれたカクテル?飲む。新聞、気になった幾つかの本に少し目を通し午前二時に至る。
▼香港鼠楽園が入場料を香港居住者にかぎりHK$50引きで入場料設定。鼠楽園側は「香港の皆さんへのご奉仕」とするが実際には予想以上に入園者数頭打ちで地元客増が狙い。だが「何を今更」の話。
▼「香港の朝日新聞」とかつて云われ香港を代表「した」新聞紙・明報に簡易爆発物入りの小包届き開封した総編集長秘書が怪我。明報が十月にしでかした「いいこと」に対する報復と脅迫文にありHK$3千万を公益基金に募金せよと要求。詳細不明だが公益基金への募金でカネ目当てでないことだけは確か。この新聞も興味深き歴史あり。1959年、当時「黄色小報」ゴシップエロ新聞全盛のなか?良(金庸)氏が創刊。?氏は武侠小説の大家・金庸。六、七十年代は明報は大陸の政治報道にかなり長け社主である?氏の筆なる社説は中共の政策と対峙する健筆ぶり。金庸としての武侠小説が連載され、これも好評。1967年の中共の影響受けた反英左派暴動では左派の暴行批難し中共系左派紙の大公報などと論戦。?氏暗殺という脅迫もあり?氏はシンガポールまで避難したこともあり。香港の新聞の殆どが国民党系の右派、中共系の左派、それにエロ新聞、総督府系の英字紙という中で明報は毅然とした態度で中立。香港のQuality Paperとしての認知を得る。中共も?小平の開放政策となり?氏は香港基本法草案の委員に任命され寧ろ中共に融和する姿勢も見え民主派市民からは明報の変節に不信もあったが、余が香港に住んだ90年くらいは大学内で明報を読んでいないと恥ずかしいくらいの信頼が明報にあり。が雲行きおかしくなったのは92年のこと。高齢の?氏は引退を決め明報を当時、香港バブルで絶好調の若手投資家・于品海(P.H. Yu)に明報を売却。だがこのPH氏もいろいろ背景にある人で(日本企業とも親密であったが火傷負った日系企業少なからず)学生の頃にカナダで拳銃の不法所持の前科をば隠し経歴詐称に問われ(香港上場企業の役員は刑罰などすべて会社条例で報告の義務あり)香港バブルも弾けPH氏ももはやここまで。明報はマレーシア華僑の資産家に売却される。明報ぢたいは発行が続くが蘋果日報などセンセーショナルな新聞がウケるなか中立と良識はいいが気真面目な紙面は政府の小役人と教育関係者以外に読むに値せぬ毒にも薬にもならぬもの。ゆえに、どの筋かわからぬが「その筋」に睨まれるような報道もないはずで今回の脅迫はかなり不思議。まぁ社主絡みの揉め事に起因か、と察す。

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