富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2005-11-06

十一月六日(日)朝六時半に天后より参加者バスに乗り大尾督にて開催の第28回のHKDRC主催のハーフマラソン(FILAが数年前よりスポンサー)に参加。10kmまでの山の走りはしていたが長距離でレース参加は2月の香港マラソン(フル)に参加以来始めて。練習もなしのぶっつけ本番。ここ1ヶ月以上ジムにも通っておらず。ハンディキャップ(つまり体重増)はこれまでで最大。疲労感に睡眠不足で最悪のコンディション。走り出しはまだよかったが天気に恵まれすぎ気温は炎天下30度以上で心拍数は160からゴールまでずっと下がらず。「これはダメだ」でLSD決め込み(ということにしておく)2時間20数分もかけてのハーフは最低新記録。我がランニングクラブからはK氏とO氏が参加。Z嬢応援に来てO氏とともにK氏のクラウンにて送っていただく。ジムによりサウナ。帰宅して昼に力うどん。新西蘭の白葡萄酒グラスに一杯のみ二時間ほど昼寝。夕方たまった新聞読み。早晩にひとり西湾河。太安楼地下の電気屋の牛什(牛のホルモン煮)立ち食い。海鮮料理屋の二記に生薑と葱に卵だけの炒飯食す。予想以上に秀逸。香港電影資料館。中国映画年2005より『台湾往事』と『 魯迅』の二本観る。さすがに突然のハーフマラソンで足腰が映画鑑賞には痛む。『台湾故事』(監督:鄭洞天)は日本統治下の台湾で医者の家に育った少年の半世紀。林家は祖先が中原から福建に下り台湾に渡り百数十年。林家が大陸の出自であることを強調する祖父は漢方医。父は日本統治下で典型的な西洋医だが阿片患者の治療で治療拒む院長に逆らったことが原因で憲兵に連行され精神を病み数年後に逝去。気丈夫な母親に育てられ1945年に高等中学卒業し福建省は廈門大学の生物系に入学。これで話はわかるが国民党の台湾入りで青年は家族と離れ離れになり1983年になり福建訪れた日本の台湾統治時代の同級生(当時は駐在の警察官の息子でかなり台湾人に辛くあたっていた)の恩返しで母と数十年ぶりの再会を東京でする話。この筋であれば今までに何本もこのての話は映画になっているのだが、この映画の興味深いところはこの映画が大陸作品(中國電影北京電影製片廠)であること。台湾の人々の出自が大陸にあることの強調は中国側製作では当然だが。というのも、この映画の原作は台湾生まれの張克輝の回想録をモチーフにしたもの。張克輝氏は台湾民主自治同盟という大陸で台湾独立に反対する台湾出身者の政治団体で中央委員会主席を務める重鎮でで現在、全国政治協商会議副主席。つまり中共の対台湾政策で象徴的存在。と書くとかなり政治的だが映画ぢたいは予想以上に中台の生き別れの家族の悲しみを描く。北京の映画俳優の層の厚さは凄いと改めて思う。近くのコンビニで赤葡萄酒の小瓶一本購い映画の幕間に小憩。続けて『魯迅』(監督:丁蔭楠)観る。魯迅の晩年の上海での逸話。これも魯迅を革命家であるとか前衛の芸術家とだけで描かず魯迅のうちにある革命性と非革命的的な「様式」、それに孤独とそれに相反する家族愛や師弟との友情だの、当然、内山書店の内山完造が魯迅の親友として登場するが魯迅民族主義親日観など、魯迅の多様性をうまく描く。

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