富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2005-10-20

十月二十日(木)快晴。早朝に小泉内閣メールマガジン第207号「郵政民営化法案の成立」届く。新しい日本の夜明け。近代の超克。清々しき気分でメール拝 読。小泉首相は巻頭で
小泉純一郎です。
10月14日、郵政民営化法案が参議院本会議で可決され、成立しま した。
政界の奇跡ですね。
国会の各政党は、私が総理大臣になる前は、郵政民営化は「暴論」だ と言っていました。私は、いつかこの郵政民営化は「暴論」ではなく「正論」になる、そういう時が必ず来ると思ってやってきました。
山を越え、谷を越え、一度は谷底に突き落とされましたが、国民の皆 さんがうまく引き上げてくれました。一度死んだ法案を生き返らせてくれたのも、法案成立という奇跡を起こしてくれたのも、小泉内閣構造改革を支持してく れた国民の皆さんのおかげだと思います。心から厚く御礼申し上げます。
この人の世界には改革を理解せぬ旧守派や野党、平和希求する自らの信念すら信じようとせぬ中国や韓国があっても、このメールマガジンを読み小泉改革に賛同 し一票を投じてくれた「仲間がいる」と信じ、それがあれば何も要らぬといふ実にピュアな(単純な)気持ちあり。このメールマガジンを書いている時こそ至福 の時であらう。が我々の関心は官邸の幻覚キノコであった。しかしその話題はすっかり報道されぬようになり残念に思っていたが小泉三世本人がちゃんとメール マガジンでフォロー。さすが我らが小泉さん。
先週、公邸前の植え込みの中で見つけたキノコのお話をしたところ、 たくさんのメールをいただきました。専門家の調査によると、公邸の庭には、写真で紹介した2種類のキノコのほかにも6種類、全部で8種類のキノコが見つか りました。写真にある大きいキノコはテングタケという毒キノコでしたが、ほかのキノコは無毒のようです。公邸から官邸まで、50メートルぐらいですが、毎 朝歩いていくのが楽しみになりました。
やはりキノコに詳しい知人の推測は正解でテングタケはあったがヒカゲシビレタケは間違い だった様子。郵政民営化決議といふ重要な日に「おっ、キノコだ!」とはしゃいいでいた、この官邸の余裕。反対勢力はもうこれで完敗している。もうこのまま 小泉さんにずっと首相をやってもらうか、あるいは中曽根大勲位でも実現できずに終わった大統領制、それも天皇制は維持したままでの立憲君主共和制(……嗚 呼、新しい時代の夜明け)施行で小泉三世の大統領就任は未開社会には最適かも。その清々しい気分でいたら香港政府律政司長(司法長官)梁愛詩が辞任。66 歳。97年香港返還以来、香港の法治の破壊に尽力。何 よりも彼女の功績は99年に新聞発行部数虚偽報告(つまり新聞広告収入増目的)で起訴されかけた星島日報の社主・胡仙女史(タイガーバームの胡文虎の娘) をば董建華と組み「証拠不足と公衆の利益に配慮し」不起訴処分を決定(事実上の指揮権発動)。中国内地生まれの香港市民を親にもつ子どもらの香港居住権の 有無についても、基本法23条に拠る国家保安条例の立法化についても、行政長官と立法会議員選挙の普選実施についても終始中央政府寄りの姿勢を見せ悪役に 徹す。香港の日本人社会とは浅からぬ縁あり。もともと苦学の人で中学出て弁護士事務所に事務員として働き始め法律に興味もち弁護士資格取得が確か30歳 だったか。三井物産香港支店長から日本人倶楽部事務局長など歴任した藤田一郎氏など当時の日本人社会のリーダー格に可愛がられかなりの数の日本企業の solicitor務め日系法人企業の定款などに彼女の名も少なからず。港日交流協会だかも長く関わる。司法長官になった翌年には結腸癌患い健康上の理由 で辞任の噂がずっと続く。それもあろうが実質的には自称政治家Sir Donaldの治世となり董建華・梁愛詩・葉劉淑儀(保安局長)のうち最後に残った梁愛詩が香港政府去ることで人々の間にある負の印象拭いたいところ。後 任には弱冠42歳の黄仁龍弁護士が任命され本日即日着任。黄仁龍は就任記者会見で、かつて全人代常委での香港基本法解釈に反対するデモなどに参加の過去を 認めた上で在任中はできるかぎり釈法は避けたい、と表明。自称政治家Sir Donaldにしてみれば、この民主派も許容範囲である黄仁龍の抜擢は民主諸派の溶解及び民主派の引き込みのため北京中央の批准得た人事。行政会議への民 主派学者や夏佳理(弁護士、立法会議員であったが事実上、99年の指揮権発動に抗議して辞任、香港ジョッキークラブ現理事長)の登用なども全て「民主派の 取り込み」が目的。さすが自称政治家と改めて敬服するばかり。早晩にFCCでこの梁愛詩辞任について記事を書き日刊ベリタに送稿(こちら)。 ウィスキーソーダ2杯と智利産の赤葡萄酒1杯。FCCを出て隣のFringe Club前通りかかると丸見えのギャラリーに知己の方多し。何かと思えば港日交流のイベントの一環で日本の和紙人形展のオープニングセレモニーの由。中に 招かれ何人かの方にご挨拶。こうして地道に交流活動が折角行われていても首相の靖国参拝冷や水浴びせかける。帰宅。ビビンバ。NHK世界文化遺産紹介 の番組で澳門マカオ)特集見る。普通にマカオの歴史遺産紹介すればいいのに安土桃山期の「南蛮屏風」に描かれている西洋人たちはマカオを経由して日本に やってきたポルトガル人たち「だったのです」と述べるが、こんなの小学生でも歴史で知っていること。マカオの教会跡から発掘された骨が16世紀の日本人信 者らの骨だということが「知られざる事実」だそうで、わざわざ教会の神父に案内させ、その骨の展示を見てレポーターが驚いて見せるが、これなど観光で行け ば誰でも見られる展示(笑)。道教の廟でポルトガル系の若者が参拝する姿など見せ異国情緒演出など「やらせ」も多し。
▼築地のH君より今日発売の週刊文春で阿川女史の対談で亀井静香先生の言論に注目、と。
亀井「とにかく今の国民は病にかかってますよ」
阿川「どうすれば覚醒できますか」
亀井「私、やりますよ。どういう病かというと、強者の論理に、それ によって被害を受けている弱者までが酔いしれて、弱者が強者に自己主張しないんです。小泉さんは、経済も政策的・意志的に国民総所得を510兆円から 506兆円に縮めちゃた。で、一部の大企業がうんと儲かってるというけど、これは経済構造改革という形で、下請け、孫請けに儲かりもしないような値段で仕 事をやらせて利益を召し上げて、史上最高の利益をあげてる」「そういう経済構造に誰がした? 小泉さんでしょう。私は逆のことを言ったけど、人相が悪いか ら、聞いてもらえない」
と亀井さん。そう、今回の小泉「マヤカシ」大作戦で最も卑怯であることは「強者の論理に、それによって被害を受けている弱者までが酔いしれて」にされてし まったこと。「この人に任せていたら貧しくなる、とわかっているのに、その人を支持するところが日本人は理解に難しい」と台湾出身の知人に言われた言葉思 い出す。
▼自由と人権の国という印象強いオランダで公衆場所でのイスラム女性のベール衣装(burkha)着用禁じる動き。宗教に寛容なオランダだがイスラム教批 判した映画プロデューサーが殺害されるなどありイスラム教への警戒心が強まる。不法滞在者摘発も積極的になり警察によるIDチェックなど強制的に実施され 既に4.5万人の不法滞在者を検挙。目だけを見せるburkha装束は保安上、警官が市民の認識をできぬ、で着用禁止。フランスでの公立学校でのイスラム 教信者のベール着用禁止であるとか、欧州の自由と思われる国家での対イスラム感に意外を感じる。が個人主義の徹底とは実はこういうことなのかも知れぬ。そ れにしてもオランダである。寧ろ、この国だと、イスラム女性の黒装束はダメでも、市街を裸で歩いていても全裸の自由は認められそうな気がする。なにせそれ なら爆弾も肛門に小型爆弾仕込むくらいしか出来ぬし。爆弾も肛門に小型爆弾仕込むくらいしか出来ぬし。
国境なき記者団が世界の新聞の表現の自由についてランキング発表(こちら)。北欧諸国など 順位高いのは今さら驚かぬが東欧やアフリカ諸国がかなり上位に並びアジアでは韓国の34位が最高位。日本の37位はやはり天皇制タブーなど「自由なようで 自由ぢゃない」現状を反映。香港の39位は中国政府の影響、44位に米国で意外と驚くのが台湾の51位はもっと上位でもいい気もするが亜扁総統の総統選挙 疑惑など確かに不明朗な点もあり。今さら驚かぬのは167カ国中で一党独裁の言論不自由国家シンガポールは139位で同じく中国が159位。北朝鮮が最下 位の167位。新聞マスコミがつまらない、という一点だけでも余はシンガポールと中国内地には居住する気になれぬ。

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