富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2005-10-01

十月朔日(土)晴。国慶節。この大型連休に中国国内で3.7億人が旅行、香港と中国のborder出入境者数は730万人で繁忙日は日に30万人出入と か。朝四時半に目覚め五時には起床。まだ子どもの頃に小沢征爾君のドキュメンタリーで小沢君が朝の4時半頃には起きてスコア読みながら勉強する姿の映像あ り。よくも朝早く起きれる、と驚いたが小沢君曰く朝の静寂のなかがいちばんスコアが読める、と。同じ世代となり朝の暗いうちから新聞など読み実によく頭も 動く。午前八時に湾仔で国慶節の国旗掲揚儀礼あつたはず。見ておらず。香港中文大学で“Globalization, Localization, and Japanese Studies in the Asia- Pacific region” なる国際シンポジウムありM教授に先日ご紹介いただき中文大学まで出向き(KCR鉄道は中国本土に連休で帰省の者多し)午後まで映画などを研究対象にした 比較文化の発表を4本ほど聴く。どれも今ひとつ。トウシロウの感想発表ぢゃないのだから具体的にそこから何が見えたのかに踏み込み期待したいところ。午 後遅く急いで帰宅。早晩に天后で待ち合せランニングクラブの我も含め11名でZ嬢主催でBraemar Hillの小高い三角点から(先日、台風一過で昼に絶景楽しんだ場所)花火見物。天后のタイ料理屋で慌ただしく晩飯済ませミニバスでBraemar Hillに向かい三角点までのぼるが午後九時の花火開始の一時間前に着いたらすでにかなり本格的な撮影準備した方々かなりの数、おそらく三脚たてた撮影者 だけで三つの岩上に八人ほど。と、それの同行者。いずれにせよ昨日からかなりhazyな朦霧がずつと立ちこめるなか煙多き花火を眺める。国慶節で縁起かつ ぎ8の字の花火や中国国旗に因むのか星の意匠の花火もあり。8の字が出来るのなら64とは言わぬが77(盧溝橋)や918(柳条湖)などもできるのかし ら。Fortress Hillに下るミニバスに乗つたのがT夫妻とZ嬢と我の四人のみで(他は皆、銅鑼湾)小腹減り「それぢゃ寿司加藤」ともう店仕舞ひの時間も近いので「せめてバッテラだけ」と寄 る。ちょうどお帰りの唯霊(ウィリアム=マーク)先生に邂逅。ご挨拶。バッテラと穴子の押し寿司のみ食しさつと飲んで帰宅。
▼小泉靖国裁判。一昨日の東京高裁での私的行為に続き昨日は大阪高裁が痛快な違憲判決。さすが大阪や、阪神や。なんかぐじぐじぐじぐじ腐ったこと言っとら んで「国内外の強い批判にもかかわらず参拝を継続しており、国が靖国神社を特別に支援している印象を与え特定宗教を助長」し、これが憲法の禁じる宗教行為 にあたる、と。靖国神社ぢたい伝統的な神道からは隔絶された国が作つた国策宗教施設。先の大戦で敗れても明治から綿々と続く日本といふ国家の國軆として精 神的には国が今でも靖国を支援しているのが事実。だがそれが違憲。小癪なるは司法の独立、そして憲法、か。ところで先日観た映画「断鴻零雁記」で東京に遊 ぶシーンで呉楚帆と紫羅蓮が神社仏閣に参つたが神社の鳥居、あれは靖国神社。認識とは興味深いものでA級戦犯祀られ首相参拝となり靖国はこれだけ注目され るが少なくとも1955年には靖国にそこまでアレルギーなかつたらしい。
▼「ごまめの歯ぎしり」といふ衆議院議員河野太郎君のメールマガジン国勢調査は次回の調査時には政府統計局解体され民間委託される、とあり。国民のプライバシーまで民間に放出。
李鵬の娘・李小琳が副社長で実質的経営する「中電国際」はBa叔の中科環保の汚職事件により一線画すため中科環保への入資を中止、と発表。中電国際は 「中国電力投資」の子会社で香港で上場しており環保電力と資本提携する予定であつたもの。
▼地方の美術館など文化施設廃止について(昨日の分に追記)。郵政に関する抵抗勢力のような動きが出てくるはずもなく、世間では何一つ話題にもならないま ま、粛々と廃止が進行することでしょう、とS君。それどころか、文化事業などという何の役にも立たないもののために税金が投じられ、専門の公務員が雇われ ていることは当世流行の言い方では「役人天国」の「既得権」の世界そのもの。文化施設と文化専門の公務員とをリストラすることに対しては世論の圧倒的な支 持があるはず、と。……この感覚は今の日本では本当にそうなりそうなのが恐い。熟慮したり思考したりの判断でなくワイドショー的に「そうよねぇ。なんでみ んな生活が大変な時に美術館とか楽よね」とただこの軽率な判断ですべてが決定されてゆく。それでいてフィレンツェとか巴里とかに団体旅行で美術館とか周遊 して「すごいきれいだわ」と、なぜ巴里の美術館があの廉価なる入場料やCarte Museesのパス券の収入で運営されているのか、は考えず。

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