富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

九月十四日(水)蘋果日報が一面で伝えしは英国衛報(The Guardian)が13日に報道(こちら) の中国の死刑囚の遺体からコラーゲン摘出され(これも献体か)美容産品の生産に流用。記者が香港のビジネスマンと偽り中国北方の化粧品会社のマネージャー に接触しての取材。昨年全世界で約5,400名の死刑執行ありその9割が中国。早晩にジムに行きたいが本日眩暈あり。早晩に銅鑼湾で雑事いくつか済ませ る。晩に「いろり」にバンコクから来港中のY氏、O君とここ まではいつものメンツだが福岡からH君(昨年まで香港在住)も来港、で食す。今年が第1回だそうな香港ピアノコンペティションアシュケナージも審査員で 先週からずっと滞在)を見た帰りのZ嬢も合流。バーYに流れ 最近珍しいことだが深夜12時を過ぎる、がMTRの終電には余裕で間に合う時間にはお開き。日本の消費税といふのは不思議な話を聞く。外国からの商品輸入 の場合も消費税がかかり小売りの場合は消費税が外税の場合は年間売上げが1,000万円以下の場合だと消費税の納税は不要、だったか(酔っておりあまりよ く覚えていない)。飛行機好きのY氏に月刊エアラインを見せてもらふと日本の政府専用 機(B747-400)のかなり詳細にわたる特集あり。興味深いが座席レイアウトまで描かれていても肝心の賢所の御座?(機体先頭、陛下だの首相 のための空間、首相などの場合は「執務室」と呼んでいる)はレイアウトも当然のように写真もなし。御料車やかつ てのお 召し列車など乗車するのが陛下か国賓か、などで菊の紋章の掲出までかなり細かい規定あつたわけだが飛行機の座席の場合、陛下の坐る場合と首相や外 相の場合でカバーであるとか何か異なるものだろか。Y氏がバンコク在住なので思い出したが今日の蘋果日報の連載で陶傑氏が第二次世界大戦でのタイ王国の興 味深き動きについて書いている。タイは日本の東南アジア侵攻のなかで微妙な対日外交政策で日本軍による占領を躱したのだが対米英に対して宣戦布告もしてい る。だが米英寄りの救国民族運動などもあり。非常に巧みであるが(こちら)陶傑氏の文章によればタイの対米宣戦布告は当時の米国駐タイ大使が握り潰し本国 に打電せず。結果的にタイは米軍が攻めることもなく戦争終結を迎え宣戦布告は取り消される。直接関係のない話だが8月にバンコクでホテルから眺めていると かなり鬱蒼と緑の繁る森が市街にあり。セントラル百貨店から日本大使館のほうに南下するあたり。調べてみると米国大使公邸。世界中どこでも米国の在外公館 が別格扱いなのはわかるが英国大使公邸よりもかなり広い。これが不思議であつた。東京で英国大使館は半蔵門の皇居のお堀端にあるが君主制国家で日本の皇室 と関係が深い場合の扱いは別格。タイも今は品川の上大崎に大使館があるが戦前は赤坂(確か山王下のあたり)の一等地にシャム王国の大使館あり。米国の覇権 は第二次世界大戦後のことでタイの場合、日本や韓国、フィリピンほど追米主義に非ぬのに米国大使公邸の規模に「なぜ?」と思つたが陶傑氏の綴るこの逸話読 めば納得するところもあり。
▼信州長野県知事田中康夫君本日より18日迄香港広州に参られる。香港と広州でそれぞれ信州・長野県の観光説明会開催。13日の知事記者会見によれば「今 週の頭に香港のディズニーランドがオープンするということで業者の方々がむしろその前よりは後にしていただいたほうが、グランドオープン前はプレスあるは そういうトラベルプランナーやエージョントの方々の招待日等もあるという形の中でこの14日から17日の日程でございます。香港と広州でそれぞれ私ども信 州・長野県の観光説明会をし、中国南方航空でありましたり、あるは既にチャーターフライトを2回飛ばしておりますドラゴン航空、そしてまた広東省の担当 者、広東省庁にも伺うという形であります。また、広州にジャスコをはじめとする企業が進出しておりますのでそうしたところを視察する形であります」。かつ て何度かお手紙差し上げ、その当時は毎年きちんと手書き部分も多き年賀状などいただいていたこともあり。香港には知事就任以前はアルマーニのスーツ仕立て に来港し仮縫い終わればまた来港して受取りなどペログリ日記で知る。
▼香港鼠楽園で(と連日この話も恐縮だが)正式開園前に食中毒騒ぎあり食環署の職員立ち入り検査に臨んだところ鼠楽園側の外国籍(おそらく米国人だが)幹 部職員に園内では食環署の帽子脱ぎ制服の肩章外すよう指示され、鼠楽園側も鼠楽園だが従つた食環署の職員も職員。これについて畏友O氏が、この「外国籍社 員」が仮に「日本人だったら」どなつていたか、と書いている(こち ら)。反日感情高揚は避けられず。この温度差。魯迅なら許さずねちねちと書くであろう植民地精神といふやつか。……といつても日本でも対中蔑視に 比べ米国追従は同じことなのだが。
▼某通信社の記者S氏から電話で在外選挙権の制限(地方区は投票できず比例のみ)は「違憲」と最高裁判決が出たことを知る(朝 日)。もう少し判決早ければ(笑)。違憲判決にはいろいろな意味で慎重な最高裁。02年の郵便法違憲判決(詳細は知らぬ)以来。本当に必要な判断 では違憲審査せず正直言つて判決により不利益被る人が少ないと司法判断も易し。今回の違憲は「立法不作為(怠慢)」といふのださうな。ハンセン病訴訟の熊 本地裁判決(確定)など事例はあるが下級審で僅かで最高裁では初めて。それにしても原告(計13名)に対して国家賠償法に基づき1人あたり5千円の慰謝料 支払いは必要か。慰謝料については最高裁でも14名の裁判官のうち3名が反対。当然であろう。告訴したら5千円は報償金ぢゃあるまいし。海外在住の70万 人に5千円ずつなら35億円。選挙好きにはありがたい話。香港と日本の両方で立法議員選挙で投票できるのも面白い。が現実問題として比例区なら政党で選べ るが海外在住長くなると地方区の立候補者はみな詳細不明。せいぜい二世議員で「梶山弘志ってのは静六の倅け? 静六も県議会の議長さなっただけでも驚いて たのが、自民党幹事長だっぺよ」だの「赤城徳彦ってのは宗徳さんの? 坊ちゃんのわりには少しは代議士らしくなっても宗徳さんの器に比べたら小さいっぺ よ」だのムショ帰りの中村喜四郎君なら、まだわかるが松下政経塾出身の若造など誰だか素性もわからず結局は政党名で選ぶしかない話。ましてや極端な話、国 内で転居し埼玉県さいたま市に住んで数週間で海外転勤となつたら全く何もしらぬ埼玉地方区で投票となる。

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