富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2005-09-12

九月十二日(月)あゝ今日から新しい日本が始まるのだ、といふ期待感が朝の目覚めを……ぢゃ『近代の超克』だが同じような空気なのは確か。新聞を見れば朝 日新聞は政治部長の署名記事で「郵政以外を明確に語れ」と小泉三世に求めるが「語れるわけがない」事実。何を言われても「今後、活発な議論。検討していき たい」が全て。大平正芳君が「あー、うー」と言いつつ頭の中ではさまざまなこと考え竹下登君が後藤田君から「もう少し本を読め」と言われてもゴルフばかり していたが竹下君には当時の田中派の有能な老中、若年寄級の側近がおり、森喜朗さんも明確に失言繰り返しただけ攻撃の矢面に立たされ「何も考えず答えぬ」 小泉三世よりよつぽどマシ。選挙結果をよく見れば得票数では自民は民主の1.3倍なのに議席は4倍。小選挙区制の賜物。朝日新聞天声人語の「呆れぶり」 の小泉閣下への手紙(こちら) よりも産経新聞産経抄のほうが政局をきちんと理解(こちら)。 どうであれ民主的な選挙での「国民の大多数の選択」の結果。香港の「掃把頭」こと元・保安局長葉劉淑儀の「ヒトラーとて民主的に選ばれた」といふ一言がふ と思い出される。平和に見えるところはワイマール期のドイツの如き日本。反対派の粛清は文革の中国のようでもあり。月本さんが日記に書いているが世の中こ うなると自己の修養と鍛練以外にもう術もなし。新しい日本への第一歩なのか、終わりの始まりなのか。最後の手段はこちら(法務省・外務省)。申請さえする気 があれば香港の永久居民としてこちらもあり(香港)。本日、香港鼠楽園 開園。HK$29億ドルの公的資金投入(今後40年間で400億ドルだかの収益期待だそうである)。大陸からの鼠楽園参観者少なからず政府の入境事務處は 大陸とのborderの出入担当官の増員検討の要ありと鼠楽園側に大陸での前売入場券の発売数を照会するが(現状では当日券はなし)鼠楽園側は照会にも応 じず実際の開園部分の敷地面積すら企業秘密。実際には外周は20分もかからぬとか。ちなみに米国の鼠本社の社長、明日は上海訪問。上海鼠楽園の設営も期待 なのだうが中国にて鼠文化産業拡大のためには鼠や家鴨のキャラクターをばもつと中国の田舎者にまで浸透させる必要あり。そのためには当然の如く鼠アニメの 放映(テレビ放送普及まではドナルド鴨が中南米で「悪い共産主義者たちをばコテンコテンにやっつける」鼠コミックスであつた)が最も効果的なのであるがテ レビラジオなどメディアが中共一党支配の中国にあつて鼠楽園がアニメチャンネルの開設など難しい点あり。この問題解消が鼠楽園にとつて中国国内での商業活 動の焦点といふ。本日の開園祝賀に国家副主席の曽慶紅君来港。宿泊は国家領袖はみなホンハムのハーバープラザホテルなのは97年香港本土回帰での江沢民君 から変らぬが昨朝はホテルのオーナーである李嘉誠が長男連れて投宿中の曽国家副主席と朝食会談。北京政府にしてみれば香港地方政府のSir Donaldであるとか所詮、地方の小役人であり末端業務遂行すればそれでよし。中国経済の投資者としての李嘉誠こそ会見すべき相手。中環を夕方歩けば HSBCの香港総行ビルから参観者らしき団体一気に吐き出され外に出るなり煙草に火をつける輩多く一見して曽慶紅君来港に伴う大陸からの視察団とお見受 け。英国植民地時代に祖国の金融先鋒として中環に君臨の中国銀行旧香港支店のビルを誇らしげに眺めている。本日大気汚染甚だし。スターフェリーで尖沙咀に 渡れば天気はよいが香港島は黄色く霞む。香 港鼠楽園の連日の晩の花火も悪影響とか。尖沙咀のLane Crawford百貨店のTUMI売り場にTUMIのキャリングに付随の数字鍵が壊れたので持参。店員それ一見して「これは直せない」と言ふが「TUMI のサイトで尋ねたら近くの販売店に持参せよ、と言われた」とデマカセ言ふと「直せるかどうか確認します」と。世の中押し並べてこのやうな事情。晩遅く文芸 春秋十月号読む。特集は衆院選挙で選挙後に読むには遅い話だが興味ある事実は週刊文春もそうだが文芸春秋小泉改革に対して訝しげ。保守の旧守派であるか ら、といへばそれまでだが。かつて良くも悪くも日本を代表するマスメディアが、である。キョービの政治の流れに少なくとも私の知る人はサイトなどで見るか ぎり、みんな憂慮。彼らがみんな(我自身も含めだが)「偏っている」と一瞬思つたりもするが文芸春秋小泉改革を憂慮。右翼から共産党まで憂慮。つまり今 まで世論を動かしていたような、そういうところが全てキョービの流れを憂慮して、その逆にある、全く違うところが「改革の原動力」になつている。小泉三世 に8割の支持を与え真紀子大臣解任の時は支持を急落させ、また今回の選挙で押し上げた、3割から4割のその人たち。そして勝谷氏の注目する20〜30代の 社会的には目立たぬ、これまでなら選挙など一切行かなかつた無党派の男たち。この人たちの文芸春秋から共産党までが全くつかめなかつた鬱憤のやうなものが 小泉三世の「郵政民営化にYesかNoか?」にYesと答える。この人たちがわが国を動かす原動力となるのか、実は増税、福祉見直し、所得格差拡大の負け 組で切り捨てられてゆくのか。何紙かの新聞読むが小泉圧勝は「わかつていたこと」であまり動揺なし。ただIHT紙の一面トップに小泉三世の“huge personal victory”(自民党圧勝でなく小泉圧勝であること)で郵政民営化とは“the world's largest financial institution with $3 trillion in assets”の資金が市場に放出されることであると思ふと、而もその恩恵を授かるのが米国であるのだから、それだけの上納金をば差し出せば小泉三世もご 褒美として選挙圧勝といふ首相としての花道が授けられても全く不思議な話ではない。結局、それに幼稚な人たち、が利用されただけ、で終わつてしまふのだら う、きつと。深更に寝台に伏せてまで新聞読む己の姿からふと米国漫画『ブロンディ』思い出し可笑しくなる。幼き頃に『ブロンディ』の漫画を読み「大人はな ぜ夜遅くベッドに入ってからも新聞を読んでいるのだろう?」と不思議がつたもの。少なくとも夜中に空腹で台所にて巨大はサンドイッチ作り頬張らぬだけマシ かもしれない。
▼シャープのモバイルNotebook MM-1の不具合に つき日本でシャープに修理見積り依頼せばHDDとマザーボードの要交換で6万円。10万円だかで購入し2年半酷使の愛機で6万円かけて修理する気になれ ず。理想的な軽さ追求のノートブックであつたが薄さゆへ日常の打鍵ですら負荷が鍵盤下の本体部分にかなりかかるのは素人にも明らかで放熱にも問題ありかな りHDDに負担あつたとはず。この薄型軽量機種の後続機ないのも納得。昨年より使用中に電源突然切れること頻繁で今年になり症状悪化。七月に数年ぶりに Macに戻りPowerBook G4入手しMM-1も必要なファイルなど取り出しておいたが八月に電源OnしてもHDDすら動かず。今になつて思えば一昨年SARS疫禍の直前に病身なが ら父が母と来港。これが最後の来港になつたが思いのほか歩く姿も元気で、日本酒などと一緒に日本で購入のこのノートブック持参してくれたもの。資源再利用 の下取りで3050円だかになるそうだが父の想い出などもあり手放さぬ気になる。

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