富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2005-09-06


九月六日(火)晴。午後驟雨あり雨のあとかなり蒸す。早晩にジムで小一時間 トレッドミルで走る。二日目。てれてれと走りながらテレビモニタで晩のニュース見る。米国南部の水害では溺死死体を野犬が喰ふ絵図。中国で事故の際に死体 の扱いが野蛮と非難されるが(十数年前に広東省の従化温泉のダム湖にて観光用の吊り橋から転落し溺死の死体が首に縄をつけてボートに引かれていた時は余も その従化温泉に二週間前だか湯治していたためゾッとしたものだが)中国も流石に事故から一週間で野原に死体放置されず。昨年末の東南アジアの津波でもこん な光景なし。日本の台風。なぜ暴風雨の中、傘さしているのだろう。危険。風におらおら〜っと煽られ非難もままならず。破れた傘も桟だけなのにさして。強風 で前も見ずに。あれぢゃ槍をもつた突撃隊。香港でもちよつとした雨でも日本人は雨に濡れないように、と気づかふ人が多い(……こういう言い回しが昨日非難 した比較文化論か……笑)。どうせ汗だけでも「ぐっしょり」なのだから雨で濡れることくらい気にせぬべき。気温が下がればレインコートだのおしゃれも出来 ようもの。帰宅してズブロッカ二杯。二日目(笑)。食後睡魔のなか岩波の『世界』九月号読了。特集は「小泉政権とは何だったのだろうか」と総括してしまつているが選挙結果では本人 は選挙前に否定してみせたが世論の押しで来年九月以降の続投もじゅうぶんにあり。「小泉政権とは何だったのだろうか」などと総括してみせてしまふところが リベラル左翼的な弱さ、脇の甘さ、か「打倒、小泉政権」くらいの特集組んでおれば面白いが、これをしたら小泉自民党圧勝で雑誌存続の危機になつていたか も。午後十時すぎに就寝。これは四日目か。さういへば今朝は未明に週末の衆院選挙で翌朝の新聞に「小泉自民圧勝」と見出し踊る夢を見る。正夢になるであら う。それが国民の選択。余はただ荷風散人の如く余生いきるのみ鴨。
▼歌舞伎が当世の話題を芝居に盛り込むのはけして珍しくないが今月の歌舞伎座では松竹曰く「見所満載の話題の舞台」。東海道中膝栗毛中村屋富十郎)と 播磨屋吉右衛門)の弥次喜多が「愛知万博会場にたどり着くお話。人気キャラクターの登場もあり楽しく大いに笑えて、幸せな気分にさせてくれる歌舞伎喜 劇」で夜の部は「平家蟹」で芝翫が玉蟲を演じるが「白石加代子さんの語りとスライドの新演出」とは……。これで一万円以上の席を売ろうというのだから。中 村屋(勘三郎)で今年は八月まで売上げ目標達成だし。
▼劉健威兄が信報の連載で「ディズニーが来たぞ」と。香港鼠楽園開幕で「ローカル文化衰退の恐れ、と学者」といふ某新聞の見出しを嗤ふ。だいたい「学者曰 く」使ふのはマスコミの常套手段だが、この「ディズニー文化研究する」学者曰く「鼠楽園は企業によるテーマパーク開発と観光振興で、これにより香港の地元 文化の特色が削られ、来港者の香港に対する印象に大きく影響する」と述べる。なぜなら「大陸からの旅客は数日香港に滞在するだけで鼠楽園に一日費やせば香 港の印象=鼠楽園となる」ためだそうな(笑)。健威兄「それじゃカリフォルニア、巴里、東京が地元文化に影響受けているか」と。鼠楽園は鼠楽園。たかだか 清涼飲料水も普通の人には何でもないが糖尿患っておればジュース1缶見ただけで「ぞっとする」ようなもの。鼠文化をどう語るかは自由だが、鼠来襲だけで香 港の地元文化の盛衰うんぬん語ることの胡散臭さ。御意。

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