富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2005-08-22

八月廿二日(月)霪雨ようやくあがる。二年半愛用のシャープのノートブック MM-1がついにハードディスク作動せず。調子悪くともノートブックを90度横にして建てるとHD立ち上がり対処していたが旅行から戻ると15回ほどス イッチオンしてようやく1回立ち上がるかどうか。MacPowerBookに浮気したツケか。中央郵便局よりEMS便で実家に送り妹に修理依頼。Z嬢に マンダリンオリエンタルホテルで「生日西餠」購ふ。他にいくつか用事済ませる。中環の歩いて5分ほどの一角で全ての用事が済む、この香港の便利さ。帰宅し て家のまわりジョギングするが身体の重さ。今月に入つてからの運動不足と美酒美食で当然の結果か。遅ればせながら自重。ジョギングの帰途、ジムに寄るがメ ンバーシップが8月上旬で切れている、と。月会費HK$299で(これも日本に比べれば圧倒的に安いが)2年契約すれば月額×24ヶ月=HK $7,176の一括払いで1年無料特典が付き36ヶ月利用となるので割れば月HK$199でお得ですよ、とありがちな説法。それでも七千ドルの支出は負担 感があるなぁと思ふ消費者に対して「そこで奥さん!」と今だけ永久会員の募集しておりHK$15,000で永久利用可。でもHK$15,000こそ負担感 あるしジムが潰れたら、と思へば「そこでHK$15Kも24ヶ月分割、利息なし」で結構ですから月HK$625を24回払いで、とオファー。成程。分割払 い中に閉業すれば分割の残りは「ケツを捲る」しHK$15KをHK$199で割れば75ヶ月で6年余で回収。リスクが高いのは月賦完納の2年後から回収に まわる6年目までの4年間。際どいところだが七千ドルの一括払いの負担感に比べれば、とHK$615Kのオファーに応じる。先方のまさに「思う壷」。鯵を 焼いて食す。納豆。ニュース10を見ると今度は田中康夫君代表で新党結成。日本が大きく変わる、と期待も一部にはあれど今になつて思えば新自由クラブ、日 本新党、新政党、民主党などの旗揚げのたびに「これで日本の政治が変わる」と期待で実際に何が変わつたのか。現行の選挙制度では小政党乱立は寧ろ自民党が 利するばかり。実際に自民党は対抗政党が出来るたびに悪い意味で柔軟な、目的はただ一つ政権党であるために何でもあり、の永久政党と化す。今回の選挙での 東京12区での八代英太君の出馬断念など政権党であるために自党議員切り捨てなど政党としての道義など微塵もなし。本来、政党とは自党議員で政権獲得するべきもので選挙結果で他党との協力はあり得ようが選挙前から他党汲んでの政権 獲得目指すとは。自民党自民党なら公明党も何がキャッチングボードか、最初からイソギンチャクの様なり。日本で集めたスクラップなど整理していて母から 渡された六月十六日の茨城新聞の切り抜きをあらためて読む。二つ興味深き記事があり一つは茨城最初のモダニズム詩人として桜井薫先生が取り上げられている こと。日本近代文学茨城大学)の佐々木靖幸教授の「新・茨城の近代文学」という新聞連載の第1回で桜井先生を紹介。晩年の桜井先生に幼き頃、児童書をか なり買つていただき朗読までしてもらつたこと思い出す。もう一つは水戸芸術館開館15周年の記者会見での館長・吉田秀和氏の91歳の元気そうな姿。「努力 すればいつでも百点を取れるような展覧会になるというのは大間違い。努力してかえって悪くなる場合もある。それが芸術というもの」「芸術は生活の中で良い 面だけを取り上げるものではない。良くないんじゃないかというのも取り上げないと。不協和音を出すものがなくては」と指摘。偶然にも久が原のT君が昭和 55年前後の朝日紙上の吉田秀和「音楽展望」を集めた朝日文庫の「音楽・展望と批評3」を読み当時、まだ若い若いT君が費用を捻出して通つたロイヤルオペ ラやヴイーンオペラ来日に触れる項が懐かしいどころか、つい昨日のよう、とT君。
▼いぜんから作ろう、作ろうと思つて、未着工の、香港の観光土産用トランプの「ナイスな古い写真」集めたサイト。このトランプ、かなりの枚数は最近の新しい写真に置き換えられているが、まだ「ナイスな風景」も何枚もあり。それ を味わおう、と。どうせこの写真など複製また複製で版権も何処に?で勝手に流用。かつては香港土産で「クロスの金色のボールペン」や「ピークで撮影の写真 絵皿」などと並び香港風景トランプもかなり売れたのであろうが今では余り見かけず。ビクトリアピークの観光土産物屋で数年前にゲット。スライド写真の幻灯 機みたいのもあり。これもスタンレーの土産物屋でずいぶん前に入手しているがスライドをデジタルに起こす作業をしておらず。とりあえず、まずは香港といえ ばビクトリアピークでピークトラム。?8の二世代前の展望台の美しいフォルム。それが今では?3になつているが、これも今はさらに商業施設拡充のための工 事中。本来、香港の百万ドルの夜景と讃められる景色が売り物のはずが今では風景など大気汚染と異常気象での朦霧でまともに見えずピークは商業施設。 Madam Tussaudの蝋人形館など。本来、その絶景なる眺望こそ「売り」であると思えば商業施設の拡充より眺望のための大気汚染改善などこそ急務であろうが小 役人や目先の利益しか負えぬデベロッパーには理解できぬ話。?4のトラム電車も二世代前のもの。現在はアンティークな車両の二両編成。よく見ると湾仔は Gloucester Rd以北の埋め立て済んだばかり。このトラム、今では観光電車だがもともとはピークに住まふ英国人のための生活鉄道。開通は1888年路面電車のトラム の開通1904年よりずっと早い。
▼最近気になる日本語の表現。「あの○○って噂聞いたんだすけど本当ですかぁ〜?」と。非常に漠然とした勧進元への「西郷輝彦のコンサートがあるって噂、 聞いたんですけど本当ですかぁ〜?」ならマダしも例えば自分が何か習い事をしたい時に先生に対して「あのぉ英語教えてるって噂、聞いたんだけど本当です かぁ〜?」と。これは失礼甚だしい。常識的には「○○と申しますが○○先生でいらっしゃいますか? ○○さんから○○先生が英語を教えているとお聞きした んですが、私もぜひ勉強したいと思いまして……」なのだが。戦後教育の弊害か(嗤)。この話してくれた知人はこういう電話がかかつてきた場合「本当です かぁ〜?」と尋ねられたら一言「噂です」と断言し退ける、と。
シンガポールといへば蘋果日報が一面で(この8月といふのは政治など夏休みで動かず「ウナギや淡水魚に発癌性物質」など突発的な話題がないと何も報道す ることもないのだが)シンガポール性風俗など解禁の動き、と報道。健全なる都市国家は建国からしばらくは「男性の長髪」すらご法度でザ・タイガースで沢 田研二君らも渡航できなかつたほど。キャバレーのショウであるとか飲み屋の通宵営業も禁止。ヌード雑誌どころか少年ジャンプの暴力シーンすらダメで同性愛 も違法。だが実際には買春窟もあれば所謂Pink Dollar得るためにゲイの祭典The Nationの開催もすれば建国以来厳禁であつた賭場も観光開発として開設の動き。徐々に「自由化」していることはシンガポール市民にとつても幸事であろ うが都市国家政府にとつての最大の悩みは「行き詰まり」。建国四十年で経済的には成功したがテーマパークの如き都市が「厭きられる」ことの恐さ。これの打 破は緩和政策、と一連の措置。結局その目的は営利であり効率。
▼そういえば昨晩の大河ドラマ義経』第33話。熊野別当湛増原田芳雄)と弁慶の交渉だけのために一話を費やしてしまうとは何と贅沢なことだろうか、と 畏友S君が指摘。御意。S君曰く、そんな無駄使いをする位なら一の谷の合戦で敦盛の最期であるとか、或いは梶原源太景季に無意味な出番を作る位 ならむしろ宇治川先陣争いをどうして描かなかったのか?と。制作サイドが出演者も含め「新平家物語」などの頃なら源平合戦など常識的に大方の筋もわかつて いただろうが平成の今日では敦盛最期、宇治川の先陣争いといわれてもピンとこない鴨。

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