富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2005-08-21


八月廿一日(日)雨続く。South China Morning Post紙のトップ記事がスティーブン=スピルバーグ監督の映画“Memoirs of a Geisha”の紹介。主演の章子怡、Michelle YeohとGong Liの芸者姿の写真を大きく掲載し今年末公開の映画宣伝の提灯記事。本 来であれば日本の女優起用のところ中国人にしたのは英語での監督とのコミュニケーションのためとか噂もあるが、章子怡の胸隠しの如き帯の位置の高さ、宝塚 の男役の女装の如きMichelle Yeohの表情とGong Liのオデコと花魁?意識してか襟のズレ落ちまで全てが「こりゃダメだ」の予感。たまつていた新聞かなり読む。午後に九龍の湯屋に擦背と整体按摩。畏友高 添勉君の『香港今昔』の改訂版十一年ぶりに出版されたことを信報の書評で知り中環の三聯書店にこの本を求めると同じ高君の『香港日?時期』も高君らしい見 事な歴史史料集も出ている。それに加え意外と知らぬことばかりの『趣談九龍街道』と上環から中環の古い風景を写真と随筆でまとめた『集體回憶』(何耀生・ 著)に畏友?達智君の随筆集『塵世集』の五冊購ふ。この時期に興味ある本多いのは多くの著作が七月末の香港ブックフェア(書展)に合わせ出版されるため。 香港大学で日本研究する陳湛頤氏の『日本人訪港見聞録1898〜1941』上下卷も上梓されていた。この本は明治期以降にその多くは欧州や南洋への船旅の 途中、香港に立ち寄った人たちで旅日記から香港に関する記載を集めたもの。彼らは船旅の目的は欧州や南洋にあり香港については寄港地にすぎず簡略な記載多 いのだが香港に関する記述がされている点では集めると歴史的史料価値はかなりある。平岡商店を開く平岡貞や戦後、香港日本人倶楽部や日本人学校の経営に尽 力する藤田一郎の戦前の三井物産支店長時のことにまで触れる。明治初期の在港日本人の座談会まで翻訳。昏時、FCCに参りウイスキーソーダ二杯。買つたばかりの本の頁めくる。『香 港日?時期』に占領地香港で「君が代」普及のために配布されたチラシが紹介されている。現在「君が代」について日本政府は文部科学省の指導要領で「国歌 「君が代」は,日本国憲法の下においては,日本国民の総意に基づき天皇を日本国及び日本国民統合の象徴とする我が国の末永い繁栄と平和を祈念した歌であ る」なんて、まわりくどい表現で説明しようと無理をしているが(こちら)香港 で撒かれたチラシには「君が代」の中文訳があり「君が代」はずばり「皇祚」で歌詞の漢訳は「皇祚連 綿兮久常 萬世不変兮悠長 小石凝結成巌兮 更巌生緑苔之祚」とある。「兮」(助字「けい」。意味なし)使いすぎだが、天皇の御代が長く続きますように、 でわかりやすい。Z嬢も来てFCCのダインで夕餉。カイザルサラダ、タイ風チキンスープをシェアしてZ嬢は海南豆腐飯で我がビーフストロガノフととりとめ のない注文。帰宅。香港に戻り気温は廿五度と東京から十度も下がり少し風邪気味で悪寒あり。
▼旅行中の新聞読んでいて呆れたのは自称政治家Sir Donald行政長官の官邸(旧総督府)は自称政治家が住まふための改装費用がHK$1,450万でこの他に粉嶺にある別荘もHK$136万で改装し Sir Donaldが好きな錦鯉のために池の修理がHK$30万まで含まれる。小市民根性の小役人がトップになるとこの厚顔無恥といふか成金趣味の恐さ。董建華 を今更誉めるわけでないが生まれながらのお坊ちゃまは行政長官になつたからといつて旧総督府に住むなどといふ欲望も見栄もなくミッドレベルの住み慣れたマ ンションで結構です、と。それがSir Donaldになると父親が警察官でハリウッドロードにあつた狭い警察官官舎の団地育ちで広い邸宅に対する憧れ、しかも成金趣味であれこれ改築など煩いこ とばかり。税金が小役人の住宅の改築に浪費されるかと思ふとバカげた話。しかも行政長官に棚から牡丹餅で就任して二ヶ月。まだ何も成果もないうちに、である。