富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2005-08-14


八月十四日(日)晴。お盆休みの日曜日で休館かと心配ながら水戸芸術館に参れば幸いに平常通りで開館(月曜休)。日比野克彦 の一人万博 HIBINO EXPO 2005 開催中。も う二十年も段ボール工作していることは素直に凄い。飽きないのだろうか?と思う。飽きないからやっているのだろうが、そういう疑問もおかしいわけで、画家 が生涯、絵を描いていても誰も「飽きないのだろうか?」とは疑問に思わないわけで、日比野克彦という芸術家に対してだけ「飽きないのだろうか?」と思うこ とじたい段ボール工作を実は内心、芸術なんてみとめていない、という本音があるからで……と橋本治の評論はこういう書き出しになるのだろうか。いずれにせ よ段ボールで今では東京芸術大学助教授である。日比野克彦が脚光浴びた当時、芸術関係にある友人T君は「同じようなことを美大でやっている人は沢山いる わけで日比野さんが初めてではない。ただ何が他とあの人の違いかといえば、それを芸術として認める権威者がいるかどうか、ということ」と確か国立で当時お しゃれであったPenguin's Barで語つていたこと思い出す。で一人万博といふコンセプト。愛知の万博に対するわけだが万博というのは異国の様々な珍しいものが展示されてこその万博 で一人の芸術作品が並ぶことは明らかに万博ではないから一人万博は間違つているのだが、間違つているのは百も承知で、万博には実は珍しいものなんて存在せ ず、日比野克彦というアーティストの創作のなかにワンダーランドがある、といふことか。今回はこの一人万博の前に七月下旬から日比野克彦が水戸に乗り込み 地元の住民や子供たちと作品を共同制作したこと。試みとして面白いが、その制作場所が東水ビルといふ、ここは旧ユニー、だがユニーといふより東急ストアで あり古い地元民には「東光ストア」といふ方が懐かしい場所で、もう十年以上だろうかユニー撤退から空き家ビル。そこが今回こうしたアトリエに利用される。 ちなみに東光ストア東方教会とも今東光とも関係ない。ダイエーも進出当時は地元商店街が東京資本の大型店の進出に反対していたが、つい数日前に年内の閉 店が決定し地元商店街は閉店撤回求める嘆願書をダイエーに提出。時代も変わる。で日比野克彦の展覧会を見終わり会場出るとパイプオルガンのある回廊なのだ が、そこを歩くと芸術館の外側に面した大きなガラス窓。そこから見えたのが日比野克彦の展示の続きか、と一瞬誤解する、N美容室。ポストモダンである。 70年代前半に20年後の芸術館の誕生を予期したが如き意匠。旧宅に参り物置にずつと置きつ放しの余の若い頃の書籍整理。近隣の町で舎弟N君と会い談義。 天気よく海岸で海を眺める。晩に市街のバイパス沿いのデジカメ専門店。店員の専門知識と細かいアイテムの充実。石丸電気も同様。帰宅して夕餉。晩遅くスー パー銭湯に浴す。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/