富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

八月三日(水)晴。蘋果日報で「論壇」が格上げとなり陶傑氏、経済学の鬼 才・張五常容疑者と『七十年代』(のちに『九十年代』で廃刊)の元編集長・李恰氏など蘋果日報らしい豪華な面子での一ページ建て。どれくらいの人が読んで いるのか知らぬがここ数日、朝の通勤時間に地下鉄に乗り合わせるが本当に無料タブロイド紙ばかり。有料の新聞(こんな表現ぢたいヘンだが)は大丈夫なのだ ろうか。有料の朝日新聞で連載中の早野透のニッポン人脈記で「国家再建の思想」と中曽根大勲位持ち上げているが今日の連載のなかに福本邦雄について「共産 党から転向」という表現がある。「転向」はgooの辞書に拠れば「方向・方針を変えること。向きを変えること。」と「思想的政治的立場・信念を変えるこ と。特に、社会主義者共産主義者が弾圧によってその立場を放棄し、他の立場に転換すること。」の2つがあり前者であれば「ボーカルからギターに転向」で あろうし後者は文字通り「特高に検挙されての投獄中に転向し共産主義から足を洗った」とか。「党」が思想的政治的立場・信念と密接に関係があれば「共産党 から転向」という言葉もおかしくないような気がするが「組織から組織に転向」というのは「伊藤忠から丸紅に転向」とは言わないようにあまり使われない。 「共産党から転向」といふ表現はgoogleで検索しても十数件のみ。……で本日。月曜日から熱はないが風邪気味で昨日より悪寒ひどく養和病院。診察前の 体温や血圧測定で看護婦が数名で「日本人だ、どうしよう」と相談するのが見える。名前が読めない。ローマ字が想像絶するほど音読みできないのが香港。例え ばYamanouchiという名前を東南アジアでならまぁ聞き取れるくらいに読めるし欧米人はイタリア語的に「山の雨期」くらいに発音できる。が香港はか らっきしダメである。広東語のローマ字なら日本語表記ならトニー・レオン梁朝偉の梁のLeungとかマギー・チョン張曼玉の張のCheungとか欧米人 には発音不可能な呉さんのMr. Ngや自称政治家 Sir Donald曽権蔭の曽 Tsengなど正確に発音できるがYamanouchiどころかHashimotoやKoizumiも難しい。でとにかく名前呼ばれて今度は「英語がわか るか?」である。英字新聞読んでいたのでその新聞を見せて“I hope so...”と答えたがギャグ通じず。日本人=英語も通じないで相手に戦々恐々とされる状況は香港ですら十年経とうが二十年経とうが何も変わらぬ。いや、 香港だから、なのかも知れぬ。英語圏なら日本人ももつと英語話す。シンガポールしかり。香港といふ中途半端さが日本人に英語強要せず。医師は外来担当医が よく変わる病院で新米だが説明の正確なY医師に当たる。確かこの部屋はかつて部屋中に「日本の東洋東和配給のジャッキー・チェン映画のポスター」張り巡ら した医師だつたはずだが辞めたのだろうか。ジャッキー・チェンのファンであるだけなら驚かないが、総合病院で自分に宛てがわれた診察室にポスター張るのは 非常識だし而も日本のジャッキー映画専門というオタク性がかなりキテいる。晩に某会議あり。終わつてA氏とかなり久々にバーSに寄る。Macallan1861年再現物(こちら)飲む。ほぼ満点。

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