富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

七月廿二日(金)朝の五時頃に雷鳴甚し。朝刊届くまで読書。朝日朝刊を開けば社会面のベタ記事に「巨人清原選手、カード盗難」とあり眠気覚めぬまま「清原、かなりキテるとは聞いていたが、ついに夜の六本木での豪遊に金欠となり他人のカードまで盗んだか」と一瞬納得。あ、だがこれは「ナベサダさん、兄殺害」と同じ言い回し(〇二年九月十六日の日剰こちら)。ナベサダさんの場合は阿部貞さんに近い語感であつたが、今回はナベサダ「さん」に対して清原「選手」で呼び捨てにしておらず「盗難」は「金品を盗まれる災難」で「盗難に遭う」だと思えば被害なのだが、どうもこの中途半端な漢字表現はいけない。「カード盗まれる」か「被盗難」「遭盗難」とでもしてくれれば被害とわかるのだが。昨晩のあの程度の辛さの四川料理で昼迄胃腸の具合劣悪。晩も煮うどん。倫敦の爆破テロ第二弾のほうの「容疑者」が警察の尾行中に逃走し警官に撃たれて死亡。ケネディ、ジョン=レノン、最近では台湾総統選挙で亜扁銃撃の容疑者などなど重要な容疑者に限って「口を開く」前に殺される不思議。不思議でもなんでもないのだが。口を開かれては困るから、か。疲労感で起きておれず早寝。
▼かつて我の連載もあつた『週刊香港』誌廃刊といふ話。一瞬ガセかと思つがサイトも消えている。この邦字誌は個人的には「マクルホースの小徑より」(こちら)に思い入れあり。月刊香港通信での長い連載と朝日新聞の「亜洲の理屈」以来、唯一個人的なコメント含みで書いていたもの。ところで昨日だか余のサイトのヒット数が突然多い一日。Googleで「週刊香港」検索してみたら余のサイトが「Soknetの」ザ・香港より上の五番目だかにあり、これが原因か、と納得。我のサイトの表紙に「『香港ポスト』と『週刊香港』を除くとみんなもう廃刊になりました」と書かれているのが引っ掛かつた由。この表現も変えねばならぬことに一抹の寂しさあり。
▼中国元切り上げ。朝日は社説で「中国パワーの真価問う」として経済面で中国の現状を1971年末のスミソニアン合意で日本円が360円から308円に大幅切り替えを実施(二年後の変動相場制への移行)の時期と酷似しているとして中国が人民元改革に踏み出したことで通貨面ではドル、ユーロ、円に人民元の四極体制への幕が開いた、とする。中国政府の商務部(通産省)の高官も中国の輸出力は2%程度の人民元切り上げの影響を受けるものではないと断言。だが最も気になることはその輸出大国となつた中国産品のうち純粋な「国産」がどの程度の割合占めるのかといふこと。日本の七十年代始の状況は日本の輸出力は低い人件費に依存した廉価製品でなく高品質商品が主力の筈。それが1ドル=360円で廉価感あり円切り上げ。その後プラザ合意経て円高進むが日本産品は高価格感を陵駕する高品質で生き延びてきたもの。それに対して現在の中国の輸出力のうち香港企業(これはまだ「国内」投資だとして)や日本や欧米各国の投資による中国工場での産品輸出量は国産に対してどの程度の割合なのか。今後、人民元基軸通貨化するなかで変動相場制となり当然のように人民元切り上げが求められるなかで本当に中国の経済支える輸出力が人民元切り上げに耐えていけるのか、耐えたところでそれが海外資本による在中の生産現場での産出に依存しているものならば無理の多い話、と経済は門外漢の我は思うのだが。翌23日のSCMP紙の経済面がトップ記事の見出しに“Long wait follows China's small step”と掲げ“Financial liberalisation depends on how fast banks and companies learn to handle the exchange risk”と指摘。巨大な田舎が世界経済に乗り出す事実。勿論、内需で見れば中国経済は輸出に頼る比率は日本など比べようもなく輸出依存にはならぬわけで人民元切り上げは内需にとつては寧ろ歓迎かもしれぬ。ちなみに日本企業の中国現地法人売上高は04年度に6兆9千億円(前年度比約25%増)で内3兆円が中国国内向け販売、日本への輸出が2兆円1千億円、米国など第三国への輸出が1兆8千億円だそうな。

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