富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

六月廿七日(月)快晴。昼に見事なほどのスコールで驟雨あり。早晩にジムで一時間の有酸素運動銅鑼湾に行き開店間際のバーYに寄りドライマティーニ一杯。荷物置かしてもらひ沖縄料理のEnにバンコクから急遽仕事で来港のY氏がO君も誘い鼎談。鍛高譚といふ紫蘇焼酎さらりと一本空けてしまふが沖縄料理の店でこの焼酎は北海道産。だが琉球蝦夷の深い関係を考えれば納得かも。料理は豆腐羹、大根サラダ、海葡萄とあと一品(失念)だが肉も油もなしで異様なほどあつさりの肴で焼酎一本。バーYに流れドライマティーニ一杯とニッカの竹鶴一杯。深酒にならぬよう地下鉄があるうち余裕で帰宅。鼎談での話題からいくつか。まず日本の株式会社と株主の不在について。例えば東京三菱銀行UFJ銀行の合併。新銀行の名前は三菱東京UFJ銀行となるらしいが何故「みずほ」とか「さくら」に出来ず長つたらしい名前かといへば最終的には三菱銀行になるために今は時期尚早でとにかく三菱を冠にすることが優先とか。この名義変更だけで今回の三東U銀行(未踏銀行でもいいかも)と将来的な三菱銀行の二回でどれだけの何億の経費がかかるか勘定せば本来は株主に還元されるべき利益の浪費にすぎず。その無駄を指摘できぬ株主も株式会社のシステムもカンペキに世界銀行の一つとなつたHSBC的な世界からは理解できぬもの。もう一つ。日本のエアラインの不都合はエコノミー満席でのビジネスクラスへのアップグレードがアジアのエアライン(日本を除く)ならアップグレードされればどんな客であろうとビジネスクラスの客として扱われるのに日本のエアラインの場合、物理的な事情で座席こそビジネスでもあくまでビジネスのお客様との区別がために飲物から食事までエコノミーのものへの徹底。それだけ考えても日本のエアラインは使えず。ところで十五年前に余が香港にて物書きの真似事始めた頃の(と思い返せばもう香港で媒体に物書かぬようになり二年くらいか……)編集者であつたY嬢から本日ある用事で久しぶりに電話あり。あまり飲み歩かぬ、とくに日系の店を避けていたはずの富柏村が最近はけつこう日系の飲み屋に出没とか、とY嬢。確かに今晩も。怒鳴らずとも話せる、煩くない店で、といふことでは普通はホテルのラウンジやバーなのだろうが香港の場合フィリピンバンドの絶唱と素人知識で酒を供される不都合思えば結局、日系の「女の子のいない」バーとなる、のかも。
▼South China Morning Post紙に香港の中文紙の動向と広告収入量の記事あり香港の04年の新聞広告収入のトップは東方日報のHK$4.56Bでシェアの31.8%を占める。続いて蘋果日報17.9%、不動産広告多い経済日報が12.7%で広告収入増のため発行部数水増し報告しタイガーバームで財を築いた胡一族の娘で星島の社主・胡仙女史が逮捕されるところを董建華の指揮権発動で免れた星島日報が8.7%、毒にも薬にもならぬ良識紙・明報が7.5%、地下鉄站で無慮配布のメトロ新聞が4.1%と続き他多勢の新聞が9.6%となる。で苦戦続くのは星島日報社で英文の香港スタンダード紙は赤字低迷、起死回生で広告収入に頼る無料紙市場に参入とか。メトロ新聞に続き先日は中原地産も無料紙に参入で星島で三紙バトル。広告がどこまでとれるか、だが広告主もアホにあらずメトロの十数万部といふ発行部数も実は朝の七時からの新聞配りで実際にこの無料紙を手にするのは七時くらいから地下鉄利用する中学、高校生が殆どで電車内での暇つぶしに読み捨てられるを見れば広告効果が何処まであるか疑問。
▼行政長官就任のドナルド曽蔭権が行政長官選挙の立候補届け出に職業欄に「政治家」と記載したことが「自称政治家」と物笑いの種。植民地政庁の官吏が本人の才覚もあろうが棚ボタで行政長官となり特別行政区とはいへ中国の一地方都市の行政組織の長で所詮、公務員の出自から何も出てはおらぬ輩が政治家気取り。共産党一党独裁の国家において政治家なのる勇敢さ。董建華辞任をば伝えられ自らがそれを襲ふとわかつた日の国歌・義勇軍行進曲の口笛といい董建華には見られぬドナルド曽蔭権の粗忽ぶり行政長官就任したばかりですでに明らか。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/