富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

五月十八日(水)曇。突然「カハラヒルトンホテル」といふメール届く。ホテルのPRかと思えば送り主は久が原のT君。何かと思えば余が先日綴った川端康成がハワイはワイキキのホテルで云々という光村図書の国語教科書の随筆のことで同い年のT君も中学生の当時「ノーベル文学賞だとこれしきのことで随筆になるのか」と感じた、と。だが余と文学少年T君との差は彼はカハラヒルトンホテルといふ、そのホテルの名前、で随筆の題まで覚えていたこと。さすが。調べれば昭和五十年には訪米の昭和天皇皇后両陛下も宿泊。現在はカハラマンダリンオリエンタルホテルだと知る。T君は一昨日は永平寺の不老閣にていまだに若い雲水より一時間も早く座禅に入る宮崎奕保管長猊下のすぐ側でわずか十数人の内輪の催しにて梅若六郎の奉納能を見たそうな(こちら)。晩にハッピーヴァレイにて競馬開催あり。畏友A君の所有馬・新聖(Natural Model)クラス4にて九戦未勝ながらクラス5に格下がり今晩は調教の時計もよく騎手はホワイト君と千載一遇の初勝利の機会。折からA君とA君の両親に招待頂き香港大学美術館総監のY氏夫妻とともにZ嬢と競馬場馬主ボックス席に招待いただく。降雨あり。賭け手らは新聖の状況の良さに期待して倍率は前走までの十数倍から5.8倍まで下がる。が中盤につけ最後の直線で期待に反し延びきらず五着。A君の両親H氏夫妻も今晩はかなり期待していたようで残念そう。ボックス席で晩餐。今晩は二位から四位的中が二度もありQPでどうにか回収。第4レースでは31倍の駿球(Super Ball)なる馬を単勝ゲット。豪雨甚だし。H氏夫妻ら第4レース終わり帰宅され我らも第5レース終わり雨の止んだ隙にタクシーで帰宅。テレビで競馬中継見る。夜半まで雷鳴轟く。
▼紐育タイムス紙に著名コラムニストNicholas Kristof氏の“A Clampdown in China”なる文章あり(こちら)。胡錦涛君に対して見た目平穏、実際は高圧的な治安維持このまま続ければインドネシアウクライナの如き民衆「爆発」起きると警告。一読の価値あり。
▼英国で「ずぶぬれの黒いタキシード姿」で「発見」されし「記憶喪失」の男性、病院では「人におびえた様子で口を閉ざして」いるが「鉛筆を持たせるとグランドピアノを描き」「鍵盤に向かうとプロ級の演奏を披露」し「沈黙のピアニスト」と評判とか(朝日)。容姿よく着衣のラベルすら切り取られ身元不明。描いたグランドピアノの絵は見事なほど精緻でピアノの前に座らせると一転してリラックスした様子となりチャイコフスキー白鳥の湖や自作と思われる曲を2時間以上にわたって演奏。余りの出来すぎた話に新手の若手ピアニストの売り出し宣伝かとすら感じる。チャイコフスキーの「白鳥の湖」といふのがわかりやすすぎ。これでバルトークとか弾くともっとおかしいしリストの未完の曲の未完部分とか演奏するとちょっと怖いかも。

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