富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

四月十七日(日)快晴。朝に日テレのザ・サンデーなる報道?番組見る。トップニュースが北朝鮮の後継者問題で「重要なカギを握る人物」が金正男(笑)。今更だが金正男氏がモスクワに滞在という重要な証言を得て何故に金正男がモスクワ滞在するか?の謎に迫るのだが隠された秘密の一つは金正男の生母がモスクワに滞在しているから。生母の住む場所は厳重に警戒され取材陣は立ち入ることができない、が単なる外交官アパート(笑)。なぜ金氏はモスクワに?で金氏に会ったという男に「極秘」取材敢行までして得た事実がIT関連事業。十五分の特別取材流すが当然何も新しい事実もなくコメンテーターの諸星裕だったかは「モスクワが経験した共産主義経済から市場経済への移行について何らか学んでいるのでは?」と一応それなりのコメントしたが香山ユカは金正男のモスクワ滞在は「なんか個人的な滞在なんじゃないですかぁ」と指摘。この程度の「腐ったネタ」で十五分も費やし日テレも立派なもの。次は昨日上海での反日デモ。上海の総領事館に向け鶏卵や水のボトルを笑顔で放るお祭りの縁日の射的の如き遊びは「破壊行為」だそうな。九日の北京のデモも「暴徒と化した市民は」って、決められた示威対象に向かい示威行為を行い勢い余って日式料理屋や日系企業に憂晴しする市民のどこが「暴徒」か。暴徒といふのは処構わず暴力破壊行為する輩。マスコミから垂れ流される屑ニュースと扇動報道は明らかに真の自由な言論の破壊行為でありネタ煽情のバカさ加減は暴徒的。それにしても天安門事件でも反政府暴動の起きなかった上海で今回のデモ発生。それほど反日の気分高揚か市政府側の「危機管理」の緩さか。今日は摂氏二十五度の陽気だとか。東京駅で荷物預けZ嬢と歩いて日本橋。Z嬢と別れ丸善でなぜかまた村上春樹の短編集『象の消滅』購ふ。きっとあのテの話なのだろうな、と思うし、読んでこれといって感動するわけでもないのだが。日本橋高島屋。Henry Cotton社のシャツ購おうと決めたがサイズの在庫なく銀座松屋に在庫ありと確認され了解。Z嬢と母と高島屋で待ち合わせタクシーで昼に日本橋茅場町の天ぷら「みかわ」。三年ぶりくらいだろうか。天ぷらとしては同じ日本橋では「はやし」のほうが個人的には好きだが人の好みだらう。Z嬢は「みかわ」の方がいい、と言ふ。「みかわ」は使う陶器が面白い店だが熱燗もなかなか風情ある徳利とぐい飲みで二合目をおかわりすると酒飲みと思われたか実にたっぷりな徳利に並々と酒を供され嬉しいかぎり。少しのご飯に江戸風の掻揚げで最後に天丼。三人で日比谷線で銀座。また別行動でまずは松屋でシャツ受取り。伊東屋でプラチナ万年筆の赤色のインキ購入。一丁目の喫煙具のササキまで歩くが日曜日で休み。トラヤ帽子店も休み。休みのほうがよいかも。銀座の歩行者天国に犬連れて歩く人多し。わざわざ連れてくるのだろうか。チワワからアルプスの救助犬まで。喫煙具の菊水。鳩居堂でポチ袋と一筆箋購入。松屋で母と待ち合わせ五丁目の銀座コアビルの甘味若松で豆かんと粟善哉。三越でZ嬢と待ち合わせ母と別れ丸ノ内線で東京駅。東京駅を三時半の成田エクスプレス特急で成田。ラウンジでネット繋ぎRTHKのニュース速報見れば今日の香港の反日デモは主催者側発表で五千人が参加し銅鑼灣「そごう」前ではそごう百貨店に向かっての示威行為もなく中環の政府総部に向けてデモ続く、と。デモ参加や表現の自由保証された香港で五千人で政治的自由が制限される中国各地でそれを越える人数のデモ参加。官製とは言わぬが中国政府のこのデモの「管制の緩さ」は否定できまひ。日本のテレビでの「中国の反日」報道見疲れた頭を軌道修正すべく昨日と昨日の香港各紙読む。“The Economist”誌に“トヨタ城下町のちょっとしたお楽しみ”と題した愛知万博の興味深き記事あり。この「万博」は外国からの展示もいくつかあるが千五百万人と推定される参観者の九割占める日本人の参観者に結局は日本のエコロジカルな日本のハイテク技術が世界にどれだけ貢献しているかを見せ満足させる博覧会であると指摘。中部空港も結婚式場と公共浴場として「利用者」を伸ばしており、この万博も新空港も世界企業であるトヨタが二年後に本社機能を愛知に移すための前夜祭(万博)やインフラ整備(空港)と。キャセイパシフィック501便で香港。Z嬢気づいたのだが香港→東京便は香港ジョッキークラブ提供の料理供されるが東京→香港はないのは東京発便で確かに香港ジョッキークラブの料理が出ては不思議だからだがZ嬢がどうせなら大井競馬場厳選の煮込みとカレーライスとかシャレで出しても面白いかもしれない。機内でうるさい子供いて閉口。親は子供がちょっと躁ぐと「しーっ!」とやるのだが子供は飽きたらず躁ぐ。偉かったのは東京に向かう列車で上野動物園に遊ぶ家族連れなのだが両親とも立派で何かと関心もつ息子にきちんと会話して物事を説明してあげるから幼稚園児くらいの息子もよく話を聞くし静かに考える。傑作はこの息子、上野駅の上にあるから駅の「上の動物園」と理解。エイジアンベリタリアンの機内食(今回は純粋に中華風素食)食し黒松白鹿を二合。村上春樹の短編集読んだり微睡んだり。三更に帰宅。荷物片付け村上春樹の『眠り』なる短編読む。確かに英語で雑誌“New Yorker”に掲載されたら「それっぽい」都市小説か。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/