富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

四月十一日(月)薄曇。RTHKのラジオ英語放送では朝のニュースで中国での週末の反日運動かなり時間割いて報道するがテレビで翡翠台の7時のニュースでは巻頭ニュースに扱いもせず。蘋果日報は社説「蘋論」で主筆廬峯氏が日貨不買は日本打撃にならずグローバル経済社会では日貨の多くが中国や東南亜の製品であり寧ろ打撃被るのは中国などの現地生産会社であり其処の従業員ら。矛先を誤るな、と。日本に対して歴史認識など正論で非難するなら非暴力で対政府にすべき、と。また北京ではデモは政府が組織したものでなく民衆の自発的なものと言うが日本大使館にあれほどの群衆が土曜日にデモしたのに対して趙紫陽氏逝去の折には趙氏の自宅のあった胡同(路地)に鼠一匹入れぬほどの厳戒態勢敷ける北京で政府公安が本気になれば大使館区に民衆デモが入れる筈もなし、と指摘。また解説記事でも中国と日本は二大経済大国としてもはや共同産業体であり日本のポップカルチャーの中国での浸透から広州で本田自動車の工場が華南最大の自動車生産工場として起動するなどの現実、日本の一部の保守反動右翼の対中蔑視が中国にとって日本との関係で幾許か、と。御意。反日感情高揚といふが写真に大写しされたデモに参加の民衆の表情の明るさ。国歌「義勇軍行進曲」歌いながら旗を振り笑顔。愛国に酔うか。街頭にデモ行進する開放感か。晩に四川菜食すに誘われ灣仔の四姐川菜。一昨年くらいか好評博した私家房(プライベートキッチン)もすっかり当時の賑わいも収まり本格的四川料理で盛況だったこの料理屋もご多分に漏れず。在港の日本人多い店ゆへLockhart Roadの鉄扉の暗証番号はR7162なり。麻辣の辛さに最初は辟易としていたが唐辛子山盛りの辣子鶏など供されて垂涎どころか辛さでも唐辛子、麻辣に青椒など辛さの詳細が的確に舌でわかり塩辛さが余計だとか鬱金が使われているかどうかとか成程わかってくる不思議。食後いつものノリだと銅鑼灣のバーSに行くはずが珍しく八時すぎに散会。ジムに一浴し帰宅。新聞読む暇もない一日で三紙ほど目を通す。信報も社説で中国での反日デモにかなり疑問呈すが悲しいかな「冷戦での対ソ陣営として米中日三国の関係良好な時代と違い中日関係の悪化は日本の保守右翼が中国脅威論を声高に叫ぶ切掛けを与えるばかりで米日の安保体制からして中国脅威の念高まれば海峡保守を目的に台湾を米日が取り込む藉口になりかねず」と。結局は対日関係も二千億米ドルといふ貿易量以上に結局は台湾問題で最終的には米中関係に到るといふ事実。信報が日本の国連安保理常任理事国入りも有益と主張するのもやはり米国一国主義に楔を打つにはアジアから二つ目の常任理事国が出るのは意義があるから、といふこと(実際には米国と抗するだけの常任理事国に日本がなるとは思えぬが。寧ろ米国の一国主義に加担する衛星理事国にならぬこと祈るばかり)。ところで信報の冷静な林行止専欄は珍しく温家宝首相に苦言。温首相がスリランカでの津波被害支援で小泉首相=日本を揶揄したこと(毎日)を「ガキの見栄と意地っ張りの如し(矯恩と小恩小恵の小家子気)」と温首相に苦言。温首相が飛行機に支援物資満載で来たのに小泉三世の首相専用機は別機まで記者搭載は事実としても言論統制された中国だから記者など御用記者数名連れればいいことを暴露しているようなもの、中日関係が一触即発の時期に中国の首相の発言として不見識、と。香港マスコミなど日本ではまるでいい加減の代名詞のようだが、こうして反日問題での主張読むと立派な言論の自由と見識。Herald Tribune紙も経済面にBloombergの論説載せ日中韓がこれだけの経済力を有しながら欧州国家の政治的連帯と共通認識の創造に比べこの東亜三国の政治的連携の乏しさを嘆く。これがなければ三国が真の経済的利益を得られぬこと。外相町村君と中国大使の会話にもならぬ会談の有様よ。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/