富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

三月廿九日(火)曇。昨晩三時まで眠れず。燈下読書。朝六時半起床。Z嬢と午前十時にPrince Edwardのバス乗り場から東莞行きのバスに乗車。落馬州から皇崗の境界(高層ビルの火事かご覧の通り)抜けて深センから広深高速道路走り恰度二時間で東莞。大型バスに十数名の乗客の殆どが東莞(莞城区)行きの客で東莞(広域)市のうち厚街に参るのは余とZ嬢の二名のみ。東莞インターで高速道路降りたところで待ち受けの小型バスに移らされ数キロ戻り厚街に向かふ。シェラトンホテルに投宿。かつて日剰に詳述の通りZ嬢のマイレージ利用でキャセイシェラトンの情報提供と責任に不備あり一旦はマイレージすら無駄にしかけたが宿泊可能となる。だが知人に東莞のシェラトンに宿泊した人誰もおらず存在も地図になくシェラトンのサイトの案内も少なくZ嬢は昨日友人のA嬢に「喜来頓(広東語でシェラトンは「ヘイロイトン」)ぢゃなくて蛇来頓(セイロイトン)だったりしてね」と笑われたがホテルに着いたらシェラトンのS字のロゴが蛇だったらどうする?と懸念。だが実際にシェラトン。厚街の市の中心、市政府の隣に文字通り君臨の如し。部屋は40平米はあろうか。じつに快適な広さ。部屋の文房具からブロードバンドまで完備。現在は北京在住の畏友O氏に聞いて知った、中国国内では我がサイト閲覧不能は確か(サイト更新は可)。余の北京政府に対する共産党独裁専制などといった非難により閲覧不可と烙印でも押されているのなら光栄だが実際にはtripodなど個人にウェブサイト提供の傘下にある個人サイトはおしなべて閲覧不可とか。そういった処だからこそ「身元不明」のサイトで政府非難などされることへの危惧だろうが。「はてな」に設けた日剰本文のみのサイトは閲覧可。まさか中国での閲覧に重宝とは思いもせず。昼すぎにS245大通りはさんでホテル向かいの「黒天鵝」第55支店に餃子など食す。黒天鵝は深センから東莞に大成功の東北菜チェーン店。チェーン店だがいわゆるファーストフードにあらず。黒天鵝から見上げるホテルはご覧の通り。ホテルに戻り部屋に寛ぐ。地下のサウナで垢抹り。垢抹りの師傳に何処から?と尋ねられ香港と答えると香港人にしては北京語が流暢と賞められる。実に見事な垢抹りの技量で「ずいぶん擦背してないな」と言われるが実は前回は三週間前。技量の差か。部屋に戻る際に勘定し部屋に「つけ」にするとチェックインでのサインと違ふと言われ部屋は同宿のZ嬢の登記で彼女がサインしており署名違うのは当然だが同宿であるから問題ないと説明しても譲られずマネージャー連れて部屋に戻りZ嬢が署名。悪いことした子供の如し。部屋で読書し転寝。NHKの衛星放送で「天才テレビ君」だかいふ番組の特番やっていたが十歳か長けても十三、四の子供らが器用に歌舞音曲するのは立派であるしステージ終わったあとの舞台裏も放映され涙の姿も感動的ではあるが楽屋に戻ると「お疲れ〜、それじゃアトでね」と晩に六本木で打ち上げとかしてドンペリ片手に喫煙なんてことはないこと祈るばかり。晩にホテルから近い康楽街といふ厚街一の繁華街歩く。珊瑚路に出ると此処はもし目隠しされ此処に連れて来られて来たら間違いなく台北か高雄かと信じるであろうほど商店街の雰囲気が台湾。飲食店の雰囲気や看板が台湾そのもの。東莞に台湾投資多く台湾人の居住も多いとはいへ此処まで台湾様とは驚くばかり。「石山」といふ日本料理屋。間違いなく高級「日式」で用心のため珊瑚路の向かいにある台南担仔麺屋を「抑え」と決めて食す。麦酒がChao Riと言われ何ビール?と思ったら朝日のスーパードライで「深セン青島公司朝日麦酒」といふ深センにある麦酒工場の出品。朝日のスーパードライのあの「キレのある喉越し」に欠けるが寧ろ「それ」嫌いな余には飲みやすいかも。頼んだ料理は「陶板牛肉」と和風サラダ、それにこの店の看板料理「石山豆腐」との三点だが供されたのは陶板牛肉は「牛肉とモヤシのケチャップソース煮」で和風サラダは缶詰果物とセロリなどが大量の甘辛い濃厚な醤油汁に浸ったサラダと原材料の全くわからぬ石山豆腐。よくよく吟味した結果それが「揚げたマッシュポテト団子の醤油汁かけ」と判明。マッシュポテトの団子揚げると予想以上に美味いと発見し出汁さえきちんとしたタレにつければこの石山豆腐は我が家の献立に是非。予定通り台湾担仔麺。康楽街戻る。この通りの南側の裏通りが紅燈区らしく暇そうな娼妓置く妖しげな料理屋や理髪屋などあり。台中阿文パパイヤ牛乳といふ店でかき氷食す。余はミルク小豆。Z嬢のマンゴーかき氷はご覧の通り。ホテル近くのストアで購入の竹葉青酒甘ったるくお湯わりで飲む。インドネシアの巨大地震再び。NHKのニュース10で日本政府の緊急援助について小泉三世、現地の要望をよく聞いて「おしつけはよくない」と発言。「自主」制定の憲法の「おしつけ」も止めてほしいところ。首相はリチャード=ギアとダンスしてる場合だろうか。小泉政権の対抗勢力との対応についてギア氏インタビューに答え「相手の言葉を真摯に聞くこと」と指摘。全くその通り。たまっていて持参した新聞や石田衣良の池袋物続き読む。気軽な大衆小説かと思っていたがわかる読者のみわかる江戸の戯作物語からの隠微な色気あり。映画化ならイメージは主人公はATG映画『正午なり』でデビューした頃の金田賢一であったはず。
▼絶版書籍ゲットにかなり重宝の「日本の古本屋」からのメールに来月から施行される「個人情報保護法」により「探求書コーナー」閉鎖と報せあり。このコーナーは自らの欲す書籍名を提示せばメールがこのサイトに登録の全古書店に当方の連絡先が公開されその書籍ある書店から連絡が来るといふ仕掛け。確かに個人情報公開されるが本人がこのコーナー利用を承諾した場合のみの公開であり而もメールアドレスと書籍名であればアドレスなどこのコーナー用に設けているアドレスなら何の問題もないわけで何処が「個人情報」の保護に觝触するのか不思議。官憲や民間企業が個人情報掌握し個人のプライバシーに渉ることを防ぐのが本来の個人情報保護であり確かに書籍なら本人の思想信条に関りもするがこの法律の適用範疇にはあるまひに。古書団体などさういった基本的なことなど理解している筈でそれでも自己規制としたのはこういった情報すら政府権力に流用され個人情報蹂躪されること惧れてのことかと察す。

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