富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

三月十三日(日)快晴。摂氏六度。父の本葬と告別式。朝は冷えたが格別の晴天に恵まれる。偕楽園に観梅の賑わひ。昨晩の通夜に来られた方除いても三百名越える方の参列あり。余が小学一年の時の担任の先生まで来られる。父と高野山参詣で何度か一緒された由。これだけ多くの方に愛された父も幸せならその方になんと有難いことか。人の付き合いとはかういうものかと震えるほど感じ入る。葬儀の施主なる母に代わり告別式の最後に挨拶。偕楽園から市街への渋滞でなんとも美しい晴天のなか千波湖の湖岸の梅を愛でる。夕方に駅前のホテルで忌中祓ひ。最後に挨拶。父の葬儀に挨拶するくらいしか余には弔ひできず。駅前の歩行者の多きこと余が子供の頃の賑わひの如し。黄時帰宅。帳場預かりのもの整理。ずつと仕出しの弁当続きで晩に家族で近くの南国飯店といふ中華料理屋に「日本の」焼餃子と太麺の湯麺食す。躯は痲れるほどで午後十時には臥床。NHK教育テレビの芸術劇場にて勅使川原三郎が“KAZAHANA”について語り先日香港で観たこの芝居で勅使川原氏が何をしたかつたのか本人の弁でさういう舞踏であつたのかと理解。余の乏しき感性では舞台の踊り観ただけで勅使川原氏の意図まで理解できず。ずっと父の骸、そして祭壇の近くに晩には布団敷いていたが初めて父の寝室、書斎兼物置の寝台に寝る。父の机の抽斗に父の愛用の品々が今では遺品となつてしまつたが一つ一つ見入る。抽斗のひとつ開けると余の小学生の頃からの旅先から父母への葉書から驚いたことに『ビックリハウス』誌に投稿掲載された号から朝日ジャーナルまで余の記録がきちんと整理されて保存されていたことを知る。父の残した焼酎飲み干し寝入る。
▼三月十日は310で「水戸の日」でその日が週日のため記念イベントが週末土曜日。水戸芸術館の広場は磯崎新の建築した構築物に囲まれた空間で、そこで「水戸の日」記念イベント開催。水戸が発祥の地だそうなオセロゲームの大会、大洗の「磯節」踊り、そして極めつけは「水戸納豆早食い世界大会」。言葉もなし。この空間、オノヨーコの“War Is Over”のメッセージが静かに掲げられていたのが03年の暮。そこが納豆早食い。どんなアバンギャルドなアートよりも強烈な納豆の早食い。納豆の早食い。しかも世界大会。といつても駅前留学NOVAの英語教師や茨城大学の中国人留学生とかが駆り出されてる程度の筈。オセロゲームも例えば水戸芸術館の建物をオセロゲームの白と黒の石で草間弥生的にデコレーションしてしまふとかの発想のほうが芸術館らしい。
▼十二日政協副主席となった董建華の香港特区行政長官辞任受理されドナルド曽蔭権政務官が代理行政長官に就任。期待もなし。

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