富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

二月三日(木)倫敦の朝の如き霧雨。早晩にFCCにて夕餉済ませ尖沙咀。夕餉はクリーミービーフクロケット(←クリーミーな牛肉は想像はちょっとリスキーながら美味)と泰風チキンカレー。尖沙咀での薮用済ませ晩遅くジム。このジムは移転のため旧正月で閉じられると告知あり。帰宅してMt Difficlutyの赤葡萄酒の残り飲む。ふと十五年も前の日記(当然、当時は大学ノートに筆記)読み始め九七年までの日記ノート保管していることあらためて思い起こし孰れこのサイトに上網したいとも思うのだが公私いずれもプライバシーにかかわる記載多いことと大学ノートゆへ様々なスクラップも貼ってある、確かに貴重といへば貴重な日記帳でサイト上ではそのスクラップのスキャンしていたら大変なこと。実は現在もタイムシステムのA5版のダイアリーに行動記録と切符だの箸袋だの貼り付けたスクラップブックもあり。昔の日記読めば些細なことも記憶鮮明に甦ること多く、このサイト上の日剰にては他人の行動や言動について、とくに誰が何を言ったの言わないの、は一切綴らぬが、それに比べ過去の日記は容赦なく様々な人の言動、それに対する余の感想など記載あり、例えは大仰だがマルケスの『百年の孤独』の物語で様々な登場人物が織りなす歴史のような部分もあり。当時の友人らとの写真など多し(それに比べ今はなんと人づきあいが乏しくなったか)。日記貪り読むに時間を忘れ午前二時に至る。
▼斉藤さんが日記に松下電器(以下、松下)とジャストシステム(以下、ジャ社)の抗争で「一太郎とか花子とかって最近使ってる人見たことない」と書かれているがジャ社の一太郎がなぜ今もまだ生き残っているかといふと教育と役所といふ化石の如き市場が其処に在るゆへ。ジャ社のサイト見ればわかる通り「個人」と「企業」のほかに「官公庁自治体」と「教育機関」といふ顧客が別枠。90年頃は電脳といへばNECの98で日本語ワープロといへば黙っていても一太郎の時代。それがWindowsのワードに席捲されジャストシステムは役所と学校といふ「世界」に活路見いだす。これは正解。今もって文書といへば一太郎が主流。例えば新潟県教育庁のサイトを見れば添付文書が一太郎ファイルだけで用意され(エクセルファイルはその文書の計算用添付ファイル)、つまりこれを読む市町村教委と各学校の全てが一太郎を用いていることの証左。長崎県のこちらの場合はワード文書も用意されてはいるが一太郎のほうが上位にある。企業はあっという間に一太郎からワードに乗換たのになぜ役所と学校は一太郎を使うか。これまでに貯えた貴重な資料の有効活用、とまず言うが企業とてそれは同じ。学校の場合、グラフィックソフトの「花子」が学校の児童に使い易いので一太郎もついでに、とも言うが、せっかく馴染んだところで家庭でも将来の職場でも使われていない一太郎に慣れても意味もない。マーケティング的にはジャストシステム一太郎を役所と学校にかなり格安に販売してきたからで、企業が今でこそ正常化したがかつてはWindowsのOSとソフトをば社内でかなりコピーしていた時代に、さすがに役所と学校は版権にはシビアで、かと言ってPC台数分のソフト購入も予算厳しい時代にジャストシステム社は役所や学校にお得なパッケージ出すことでシェアの維持。それも今ではエクセルがここまで普及しては、もはやWindowsのOSにマイクロソフトオフィスのカップリングは当然なわけで学校に「ワードがない」ことはない。で、でもいずれにせよ一太郎がいずれ消えてゆくことは否定しがたいわけで(個人的には日本語変換のATOKは残ってもらいたいが)、であるから興味深きことは(以下、日経BPみたいなことを綴るが……笑)松下のような業界の巨人が、なぜ「あんな程度」の版権でジャ社といふ「地方企業」をば躍起になって提訴するか、の理由。報道には松下が版権管理に積極的、と指摘あるが、実際にはジャ社の買収視野に入れてはおらぬか。PC業界ではパッとせぬ松下(こちら)がここまで成熟せし市場で今更起死回生も難儀。ソフトで公共・教育市場を握るジャ社。それなら松下のPCに一太郎が標準装備となれば、かつてOasysワープロの載せて殆どタダ同然の入札にて教育委員会に取り入り「教育現場といえば富士通」が定着した如く、かなりのシェア期待も可。ジャ社にしてみても将来がかなり厳しいことは事実で(売上高は97年の年商312億円が04年は126億と6割減)、だが市場は「個人」と「企業」などどーでもよく「役所と学校」という市場でまだまだ商売出来るなかで縮小路線も取れず。「徳島は日本のシリコンバレー」と一時代築いたジャ社は営業額が最盛期の4割でも社員791人で126億円の稼ぎ、バカな多角経営だのバブルに溺れず無借金で経営基盤の而もオーナー企業である。ならば松下がかなりジャ社に有利な条件での買収をかけた場合、応じないとも断言できず。裁判で一太郎の販売差し押さえで松下もジャ社も強気で全面的抗争のようだが水面下ではお互いの思惑もあるようなないような。

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