富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

二月朔日(火)厳寒。晩に上環に薮用あり早晩に上環は畢街の生記にて及第粥食す。夕餉には早き時間なれど折からの寒さに温かき粥食さむとする客少なからず。煮立てた粥誂へ持ち帰りの客も多し。二時間余で用事済ませ地下鉄で銅鑼湾。Bar Seedに一飲。酒場にボトル誂へ置くこと厭ひつヽ「さらり」と一杯飲んで帰るには席料のみで済む気軽さもあり高校生の頃に郷里の高校から抜け出して五分のジャズ喫茶「ロメイン」にサントリーホワイトのボトルキープして以来のキープ。小一時間にて辞して二更のうちに帰宅。昨晩の加藤といい「さらり」と飲んで立ち去る客を気取る。雨は本降り。バーでの酒談義、ハイボールは白角ソーダといふ話から店に置きたい日本のウヰスキーはニッカの「余市」とご主人が言われ帰宅してニッカがとても気になり、だいぶ寝かしてあつた「鶴」を開栓して一飲。最近はシングルモルトばかりで偶にかうしてブレンド酒は美味いもの。
▼W君が日記で書いているが銅鑼湾のそごう百貨店の旭屋書店の11階への移設について。SOGO Book Clubといふ名になって拡充に一瞬期待するが旭屋と中文の書店がフロア二分し洒落た喫茶店ありノリは台湾の誠品書店。これまでの10階からの移設は判りづらく余もZ嬢に聞いていたので11階に行き着けたがエレベータもなく地味な案内でエスカレータ上がると内装からしてシックなSOGO Clubといふフロアが11階から16階まで続く。これを店員に質したW君によればSOGO Clubに会員として加入すると11階から16階が利用できるそうで、SOGO Book Clubの会員制度は存在せず、ではSOGO Clubに加入せばどんな特典があるかといふと別になし(笑)。会員でなくとも11階〜16階の利用可。旭屋書店は相変わらず誰でも書籍購買できる。で何故メンバー制になっているのか。想像するのは百貨店としての営業許可が10階までで11階以上のこのビルは登記上はオフィスビルで、となると形式的であれ会員限定とする必要があるとか。いずれにせよ旭屋の書籍の品揃えは昔から性に合わず「つくる会」の歴史教科書平積みにする「海外在住の日本人にチンケなナショナリズム」売る商売は不愉快でほとんど足を向けず。
契丹太平洋(キャセイパシフィック)航空の広告で機内食で供されたアイスクリームを口のまわりにつけた笑顔の子どもの写真で“Take one cup of Vanilla...”といふ広告あり。キャプションには“Add a spoon and give to a restless child for 15 minutes of peace and quiet. Or indulge yourself for a few moments of delicious escape. Either way, life will get better. It's the little things we remember”と言ふ。アイス一つで子どもが静かになり親もほっと一息、といふ「ありがち」なことをば広告に上手く活かしたもの。
▼接客商売の話続くがアメックスがプラチナクレジットカード(こちら)の会員獲得大作戦。年会費HK$1,700で「そこまで払って」と一瞬思うがマイレージが3倍お得だの指定のレストランで割引大だの指定の旅行会社使えば空港までリムジンだのエアポートエクスプレスが無料だの格安でゴルフ場利用可だの特典多く「年会費の元が取れるのでは?」と思われ、アメックスのプラチナカードか……とステータスへの執着が狙い処。だが、これは「クレジットカード」であって普通のアメックスカードとは違うこと。クレジットカードはクレジットカード、と思いがちだがアメックスは「信用限度額=クレジット」を設けていないことを表面上は宣伝文句としており通常のカードは「クレジットカード」とは呼んでおらず「アメックスカード」とかがこれ(チャージカード)に該当。普通のプラチナカードは年会費HK$5500で毅然と存在しており別格。それに対して信用限度額の設定された他社の従来のクレジットカードに該当するものは多少異なったデザインで「アメックスクレジットカード」を売っている(こちら)。今回プロモーション展開中のプラチナはこの「クレジットカード」に該当する方でそれゆへステータスは多少低いのが事実。他のクレジットカードの負債もこちらに移し替えて低利で返済可とはちょっと下品。マイレージ3倍もお得だが、そのためには一定額の消費が必要で、とちゃんと条件もあり。ご指定のレストランも美心大酒楼だの北京楼だの洞庭楼だのと「しっかり」美心マキシムチェーン。「なるほどね」と妙な納得。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/