富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

一月廿九日(土)朝八時近所のO君と待ち合わせQuarry Bayの海浜公園を一時間余走る。ジム。帰宅して読書。午後「香港研究会」にて本日は余が案内人となり市街歩く会あり天后に待ち合わせ電気道の発電所シェル石油会社の跡地から歩き始め銅鑼灣の成り立ちだのじっくりと見ながら歩き始めれば保良局までで二時間要し南華會のルーフバーにてカルスバーグ飲み一憩。鵝頸橋潜り灣仔へと入り春園街の昔のDent商会の名残りを見て散会。四時間の探索。晩にこの会の参加の方四名とLockhart Rdの私家菜・四姐川菜にて四川料理。終わって研究会主宰の香港中文大学のM先生とBar Seedにていろいろ語らふ。二更のうちに帰宅。
▼NHK前会長海老沢勝二が顧問辞任。当然。会長辞任を受け翌日に顧問就任させた新会長もハナから期待薄。
▼12月の来港旅客数は208万5127人と12月の記録としては03年同月の179万人余を大きく上回る記録更新。前年の来港旅客数も2180万630人でこれまでの1650万人(02年)の記録更新。とにかく大陸からの旅行者の増加。大陸に足を向けて寝られず。ちなみにマカオは1600万人が来訪で内57%が大陸漢。200億パタカをマカオに落とす。
コロンビア大学の経済学教授Joseph Stiglitzに「海嘯の教訓」といふ文章あり一読。米国への厳しい批評で、米国の津波被害での援助額が日本や豪州、EUに遠く及ばずテロ対策だのイラク「復興支援」で膨大な資金投入に比べ自然災害へのこの認識の浅さと、地球にあって最大の汚染排出国であろう米国が自然環境保護に非積極的な事実。人類が一つの「地球村」に暮らす、といふ認識の共有には達し、と。
▼信報26日の社説「逐歩放棄宏調針対地方濫権」大約。国家統計局25日発表の全国経済指数によれば国内総生産は9.5%増でその他の固定資産投資、貿易、興業増加値などは2桁の伸び。もし宏観調控(マクロコントロール)なければ国内の経済増長は驚くばかりだろうが25日発表の数字も疑問点あり。国内総生産値の三大要素を見れば輸出量(前年比)55.4%増、固定資産投資同35.8%増、消費は13.3%増といずれも2桁であるのにGNPが9.5%に収まっていることは中央政府の宏観調控が効果をあげ経済増長の偏高を抑制していると見ていいのか。中国政府の経済統計が信憑性高め公信力を高めるのは容易なことではない。国家統計局局長は「国務院の性格な指導下で宏観調控が成果を上げている」と強調するし、宏観調控は温家寶の率いる政府にとって地方政府の過度な投資熱と利権乱用と並び最重要「政治」課題。だが二十年に及ぶ経済開放で当然、市場抑制がなされてきている筈で何故今になっても政府が宏観調控でもって市場に介入し管理しなければならぬのか。これは経済政策として「後退」でなかろうか。国内での初めての宏観調控は93年に朱鎔基(当時、副総理)が沿岸地域での不動産投資、株式投機の加熱、貨幣放出増、インフレなどに急ブレーキかけるためかなり大規模な経済抑制の政府介入を実施。当時はまだ市場体系の成熟もなく行政が介入を行えば経済過熱と金融秩序が抑制されるどころか抑制不能なまで混乱することも明らか。宏観調控は経済危機での緊急策のはず。それが十年後に再び経済が常軌を逸するばかりの状況で政府が財政と金融政策で宏観調控を実施しても、それでも経済抑制ができぬ、この原因は何処にあるのか。温家寶総理主宰の宏観調控が昨年始まってから経済混乱が見られたのは地方政府が自らの行政特権用いての利益誘導活動であった。不動産投資で銀行は不良債権抱えたのも原因は地方政府による権力乱用の結果。宏観調控が実施されてもそれが一旦静まれば再び彼らは公金での投資を始めることも明らか。いつになれば中国経済が長期的安定を迎えられるのか。国内の富豪上位百者を見れば過半数は不動産投資者。実際の有用な土地の少なさでは中国は香港的な土地投資の加熱があるが、その加熱の要因は、地方政府が廉価にて農民からかなりの土地を徴用し、それを土地デベロッパーに提供し、投機者は投資額の9割を政府が指定する銀行から融資受ける。宏観調控が進み不動産価格の抑制となると結果的に銀行が不良債権を大量に有するだけの結果となる。宏観調控というが最も重要なのは地方政府の特権乱用による不当な経済投資であり、それを抑制できれば宏観調控が有用といえようか。

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