富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

一月廿五日(火)朝から朦霧甚し。九龍の市街微かに高層ビルの影。大老山獅子山など頂や尾根すら見えもせず。香港電台RTHKの報道速報見ればヴィクトリア海峡の視界1キロに満たず、と。気温廿度近く湿度97%と旧正月待たず春らしき(=香港にては不快)気候に例年濃霧かかる日多かれど今年はかつてなき珠江下流地域の大気汚染。多忙極む一日。晩に立ちこめる濃いスモッグのなか車窓からちらりと月の片鱗。満月も悲し。帰宅してタンカレーでドライマティーニ。夕餉。手帳見れば二月中旬までに自宅での食事は今日を入れ三回のみ。貴重。有機野菜ばかり葱焼、蕪の一夜漬け、茄子焼、バラ肉と野菜炒め、それに甘藷芋を黒豆で炊いた五穀米のご飯にアルプスの岩塩ほんの少しかけて食す。美味。酒は無法松。NHK会長海老沢勝二辞任退任。「郷土の恥」の退場は喜事。水郷いたこ大使(笑)なのだし地上波デジタル放送も郷里だからと何処よりも早く推進してきた故郷の潮来にさっさと戻り菖蒲でも栽培しつつ余生はNHKの受信料集金人として在郷の一戸一戸巡って詫びを入れ受信料いただくべき、だが、退任挨拶にも全く反省の色なし。
長けにわだって私に賜りました視聴者・国民の皆様のご理解(りけえ)とご支援に、心より感謝申し上げます。誠に有難うござえました。
と誰も海老沢を理解も支援もしておらぬのに冒頭からこれ。しかも茨城弁。
昨年7月以来(いれえ)NHK職員による一連の不祥事が明らかになり、受信料の支払え拒否や保留件数が増加しました。私は、不祥事の全容解明と再発防止、そして、これによって損ねました視聴者・国民の皆様の信頼の回復に、懸命に取り組んでまえりました。
と国民のNHK不信が自分に拠るものでなく、職員による一連のもので、自分はその改善に取り組んでいたといふ自負。最後にようやく
最後に、視聴者・国民の皆様にあらためてお詫びとお礼を申し上げ、私の退任の挨拶とさせてえただきます。本当に有難うござえました。
とこの「お詫び」一言がお詫び。いったい何のお詫びなのか全く触れもせず。お詫びとお礼を申し上げ、とは何と無恥。後任には無難なところで技術職からの抜擢。副会長は良識派の女性基幹職員当てることでのごまかし。この海老沢退任で「放送と政治」の問題が根本から何ら解決がないことは明白。まず自民党の橋本登美三郎がまずありき。海老沢の父はこのハシトミの後援会「西湖会」会長。ハシトミがメディアと関わるのは雄弁会に属した早大政経卒業し朝日新聞社に記者として入社、満州特派員、日本軍の南京占拠もハシトミが一番乗りで報道、外信部長から東亜部長と朝日新聞の戦争協力報道を第一線で指揮。当然の如く昭和廿年に退社。戦後は自民党のなかで郵政、とくに放送のドンとして暗躍、NHK設立に大きくかかわる。そのハシトミが佐藤栄作内閣で官房長官に就任し「偶然にも」潮来の同郷で早大政経卒といふ海老沢がNHKの政治部でハシトミの番記者となる。海老沢は佐藤派から田中派自民党の最も深い懐に食い込み局内でも自民党に協力な人脈もつ海老沢は出世。海老沢に先立ち在任中退任に追い込まれた島ゲジは政治部で自分の子分である海老沢のバックアップあったからこそ会長就任できたといふ噂あり海老沢はこの島会長就任でご褒美(といふより当然の報酬で)理事就任。だがNHK内部での政治抗争にて島ゲジは実質的に自分より立場高き子分=海老沢を厭ひ関連会社に出向させるが島ゲジは自らの国会虚偽答弁で引責辞任、で海老沢理事として本局に復帰。その後目出度く会長に就任し今日に至る、と中国共産党の如きこの政治性。これほどの、遡れば戦前の政府とマスコミの癒着から始まるこの放送とメディアの政治性が、そう易々と一掃される筈もなし。朝日新聞とて廿六日の社説で「NHK―橋本新会長で変わるか」と宣われるがNHKの日経の鶴田君と並び「リトル海老沢」と陰口叩かれるのが社長の箱島君なり。雑用いろいろ済ませ原武史『可視化された帝国』少し読む。
▼扱いは地味だがネベツネが相撲の横綱審議会の委員辞任(朝日)。吉事。早くフランスのシラク大統領の横綱審議会入り熱望するばかり。相撲といへば今年11月だかにラスベガス場所開催。北の湖理事長曰く「ラスベガスはエンターテイメントの本場。気迫濫れる真の大相撲をラスベガスで楽しめるよう云々」。大相撲は本来は神社の神事祭礼にてエンターテイメントに非ず、右翼保守反動の諸君に「日本の国技たる相撲の米国ラスベガスでのエンターテイメント興業断乎阻止」とでも抗議してもらいたい気もするが祭礼=エンターテイメントであるのも事実。ただしShowbiz化しておらぬ筈で、さう言いつヽ大相撲とて興業でしっかりShowbizであると思えばラスベガスこそ大相撲に似合ふ場所かも。どうせなら米国のデブ巨漢集め日米相撲対決でもすれば面白いかも。
趙紫陽の殯儀につき党の最高幹部の場合の追悼会になるのかそれに比べるとかなり遜色ある遺体告別式になるのか、で温家寶首相が萬里、喬石、田紀雲ら党長老に殯儀の扱いと規模につき(つまり趙紫陽歴史的評価含む)打診、結局、六四で棚ぼた国家主席江沢民の圧力かかり地味な遺体告別式となる可能性大。だが遺族が趙紫陽の評価について納得しておらず現状での党主催の殯儀に難色しめしているとか。

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