富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

一月十九日(水)さっき寝た感じで朝六時半起床。睡魔に襲われたりぼんやりとする暇もなく日が過ぎる。夕刻、歴史家の高添強君と持ち合わせの資料交換。いくつか町並みの歴史関係での質問に高君まるで「見てきた如く」さらさらとお答え。敬服。睡眠不足で寒気は早晩にジムでいくらサウナに入っても身体に発熱機能なく温まらず老いを実感するばかり。帰宅してドライマティーニ。おでん。菊正宗。さすがに睡魔に襲われるが日刊ベリタに今日の立法会での民主派による趙紫陽逝去での黙祷強行の記事送稿(こちら)。早寝。
▼朝日の報道NHKの番組問題。NHK側は朝日の報道に抗議。海老沢問題では腰が退いていたのが朝日への抗議は晩九時のニュースでも正々堂々と長々と報道。産経は社説と「産経抄」で「番組の内容がそもそもおかしかった」と実に産経らしいわかり易い主張。これは驚きもせぬが、産経以上に驚かされるのは読売新聞の社説。「公正な放送のために、NHKの上層部が番組の内容を事前にチェックするのは、当然のこと」で「偏向しないバランスのとれた報道が必要」で「それがNHKの責務」と言う。確かにこの番組の扱った「女性国際戦犯法廷」はその主催の民間団体が左派的であることは事実。この番組じたい産経読売自民党的には好ましくないことは当然。だが産経読売自民党的なものがあまりにも肥大化し常識化する世の中であるからこそ敢えてNHKにこの程度「左」の番組が時々は流れることが、世の常識のバランスではなかろうか。それを全て抹消した産経読売自民党的な社会など想像するだけでも恐ろしきもの。読売新聞ぢたい公正だの偏向しない報道が大事と宣ふが、この社説でも「そもそも従軍慰安婦問題は、戦時勤労動員の女子挺身隊を「慰安婦狩り」だったとして、歴史を偽造するような一部のマスコミや市民グループが偽情報を振りまいたことから、国際社会の誤解を招いた経緯がある」と述べ、このレトリックぢたい偏向(笑)。女子挺身隊への加盟を慰安婦狩りと直接結びつけることは確かに疑問があるが、ただ世界的に問題視されていることは植民地での慰安婦徴用や戦地での地元民の強姦の事実と、それよりも「その事実を認めようとしない現在の立場」なのであって「女子挺身隊→慰安婦狩り」うんぬんに非ず。ここから、まるで慰安婦問題がなかったかのような理解がされることに問題あり。而もこのレトリックがいつの間にか常識化しており「日本はそんな悪いことはしていない」といった普通の国モードになってきているのが今の時代。であるからこそ、それに疑問視する立場のメディアが存在してこそ真っ当なのではなかろうか。
▼香港映画批評家協会だかの年度選定で映画『2046』から梁朝偉と張章怡が主演男女優賞。かりにいくら演技見事であっても「えっ、あの映画から……」と思うが、もしかすると「あの監督にあそこまで付き合って耐え抜いて」での功績認められての授賞か、と(笑)。この映画、日本でのサイト見れば昨年10月の全国ロードショー決定!から全く更新されておらず。さもありなむ。
▼昨日の信報に非常に地味な記事であるが中国で22省の農業税徴収廃止と記事あり。温家寶首相昨年この農業税の五年以内の撤廃をば目標に掲げたが全31省のうち22省が実施済みか実施決定決まり目標達成早まる見通し。都市部の経済成長に比べ内地のとくに農村との格差広がり貧困社会解消のため少ない農業収入に更に負担多き農業税をば廃止することで収入増と社会活性化図ることが目的。さらにインフレでの食糧価格上昇に対して政府は食糧切符発給し農民の平均収入は実質6%増。かつての農業大国中国も工業生産などの伸びで政府収入を農業税改革前に年間六百億元(現在で二百八十億元)にも達した農業税に頼らずともよき時代の到来。

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