富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十二月初六日(月)晴。風邪。晩にかかりつけのC医師の診断請ふ。チゲ鍋。録画してあったNHKのアシュケナージの番組見る。ショスタコヴィッチ作曲のスターリン礼賛映画「ベルリン陥落」を演奏し作曲家が強制で作った曲がいかに人々の魂揺さぶらぬかを聴いてほしい、とアシュケナージ。気持ちわかるがいくら強制で厭々作曲とはいへショスタコショスタコ、余は曲が醜悪とまで否定できず。王侯貴族のお抱えにて寡作のモーツァルトと何が違うのかよくわからぬ。遅晩に普段誰も訪れぬ拙宅の呼鈴なり「すわ何事か」特高か(笑)とマンション玄関の扉解錠の前にモニタにて確認せば「いかにも政府の調査員らしい」オバサンで余が荷風先生の如く居留守決め込み開けぬものだから出てきた警備員と問答し氏名など登記しエレベータにて上楼。玄関の呼び鈴うるさく鳴らすので為方なく扉少し開け鉄扉越しに対応。やはり政府の統計署の職員。横柄な態度で捲し立てるので「広東語わからぬ」と言えば「ならば英語で」と言うので、そこで「アイ・ドント・アンダースタンド・イングリッシュ」と言えばよかったがつい了承すると調査員凍ってしまひアワアワと英語苦手らしく退散。政府職員すら英語解さず何がアジア国際都市か。明晩今度は英語解す調査員寄越せば今度は「アイ・ドント・アンダースタンド・イングリッシュ」である。何らかの統計調査に協力拒否はせぬが、たかだか統計調査にて公安ぢゃあるまいし身分証(しかも写真もなし、偽造可)振り翳し当方が協力して当然の如くいきなり調査の問答始めようとする態度許せまじ。実は先日も政府統計署の職員晩方来襲あり消費動向調査への協力請われ居留守使い無視していると再び現れZ嬢偶然に対応してしまひ「先日依頼の書類置いていった」だの余の世帯は「厳正に抽出された標本であるからぜひお願いしたい」だの「個人情報は政府内でも他の部署に一切公開されぬ」だのと説明あり。協力拒否せぬから調査票をば置いていけと言えば要説明と拙宅に入ろうとするので当然拒否。連絡先残して退散のため当方より連絡。調査内容が多岐にわたり二週間毎日の消費詳細の記載必要だそうで調査には協力するから調査票を郵便箱にでも入れておいてくれと指示すれば説明するから持参のうえ面会と相手譲らず。こちらも譲歩せず。先方渋々了承し先日郵便箱に調査票投函あり。内容見れば確かに面倒な調査ではあるが説明書も懇切丁寧にて一読せば理解可の内容。読めばわかることをいちいち口頭で説明する悪しき非文明社会。思考力判断力の欠如。調査票は収入支出の詳細記入要すが氏名だの香港IDだの確かに個人秘匿情報の記載項目なし。であるなら本来であれば余の名前から電話番号まで全て秘匿されるべきで、つい名前と昼間の連絡先電話のみ明示してしまったこと悔まれるが、こうなったら徹底してプライバシー保護の上での調査協力に徹しようと決意。昨日調査票受け取ったかと電話あり。受領したし説明も読めば理解できたし来週月曜日から二週間デイリーの記録をつけて廿七日(月)に郵送すると答える。すると調査員はまずは家族構成と収入の基礎データ部分を至急受け取りたくデイリーの調査も一週間分を先に貰いたい、と。ならばまず基礎データを郵送し続いて二十日(月)に一週間分を送ると答えれば、急いでいるので面会して、と先方。余は晩に用事あり三日後しか会えぬが、と答え、急ぐなら明日火曜日郵送せば水曜に届くので問題なしと指摘せば今度は「紛失のおそれがある」と先方。税務署からの納税請求であれ小切手であれ通常は郵便で届くもので政府統計局だけが郵送を受け付けず面会強いることは納得できず。面会強いるが調査票には調査票にある内容以外の質問は一切せぬとあり、つまり口頭で答える項目はなく、郵送拒否し手渡しだけと言われても先方を疑うわけではないが調査員が本当に政府の係官かどうかの保証もなく、郵送で政府統計署の住所に送ることは正確で記載内容に不十分な点や誤記があれば電話で確認すれば済むこと。先方も納得し基礎データ郵送。最初の一週間分のデイリーについてはこれまでの経験で記載に誤記も少なからず面会の上で内容の質疑したしと先方請ふ。わからぬでもないが先日拙宅に入室の上説明と言ったこともあり、これについては電話で指摘すると入室する必要もなく玄関先で立ち話でOKと釈明し、気になるのはならば何故先日は入室して説明と言ったのかなのだが、いずれにせよ玄関先で説明と言っても玄関開けたら居間にモネだのピカソの時価数億の原画飾ってあることなど見られもしたら一大事、余が玄関を出てマンションの廊下で話すにしても隣り近所に「この生鮮食料品は市場、と記載されているが市場かスーパーか」などと調査員に質問されれば隣家に余のプライバシーが漏れるわけで、廿日の面会は某警察署の前を指定。そこで立ち話で調査員の質問で必要なことのみ答えればよし。ここまで徹底抗戦する必要があるのかといふ気もするが、本来であれば電話番号も教える必要ないところ、会わずに対応のためつい教えてしまったことのみ原則から外れたが、公共の統計調査でのプライバシー重視は徹底されるべきで、この消費動向調査も調査票だけならかなり徹底したプライバシー保護されてはいるものの調査員との迂闊なやりとりで(先方はけしてそれ以上の情報入手には踏み込んでおらぬものの)自宅の玄関で面会に応じるだけで、かなりの情報、たとえば「この家の照明は暗い」とか「この世帯主はニンニク臭い」とか「部屋でお香焚く」とかもわかるわけで、最初から拒否はしないものの(こういった統計調査の重要性は理解)原則には徹するべき。先方もとんでもない相手を抽出してしまったと悔んでおう。医者よりの咳止めシロップ飲み爆睡。
▼NHKの「紅白」手がけた敏腕プロデューサー逮捕。日曜の朝日の社会面にもこのCPのI容疑者について「長年、NHKの芸能音楽番組のプロデューサーとして音楽関係者に幅広いコネクションを持っていた」「86年に番組制作局芸能番組センターに移った。以後、芸能畑一筋だった」「NHKの芸能畑の実力者で「紅白歌合戦」の総合プロデューサーだったA元番組制作局芸能番組センター長=解職、停職中=のもとで大きな影響力を持つようになった」と紹介あり。当時のAチャンの下でのIチャンの絶頂期知る者としては「人当たりがよく云々」といふのも納得。だが「カネが欲しくてやった」とは情けない限り。勝新太郎ショーケン大麻吸おうが「カネが欲しくて」大麻だの覚醒剤の売買はせぬ。「NHKの先輩後輩及び音楽業界の仲間との人間関係を築くための飲食費等に費やした」そうで、NHKも視聴率重視でダクションとの関係維持など大切だった、とそうだが、実際には腐っても紅白、でIチャンのところにはダクション側からのオファー絶えず電話ひっきりなしにかかっては接待攻勢受けていたわけで制作側がカネ捻出してダクション接待とは到底思えず。実際には内輪での遊興費か。いずれにせよテレビの番組制作費など根拠も実態もないカネの動きなわけでI容疑者「部下不在時に自ら経理事務」と記事にあるが「NHKでは、放送作家らへの報酬を支払う際、番組ごとに経理担当のデスクが仕事内容に応じて報酬額を決め」「その支払い請求はコンピューターで入力し、これを上司のチーフプロデューサーが点検・承認する仕組みになっている」が「デスクがロケや長期出張などで不在の場合の特例として、チーフプロデューサーが自分の職員カードと暗証番号を使い、デスク名で支払い請求したうえで自分で決済する「代理請求」のシステムがある」の通り、実際に職員の出勤状況から旅費などの手当請求・承認、社外の制作会社は構成作家などへの制作費支払いもすべてこのコンピューターで行い、ここに入力しておけば上司が見て承認して、で「はい、OK」の実に弛い経費管理。CPの立場であれば何でもいと易し。今でこそオンライン決済当たり前でペーパーレスだがNHKはもう廿年前くらいからこのシステム構築しており書類決裁がない分「経費が余計にいろいろな人の目に触れない」環境にあり、CPが異なる隣のセクションのことなど誰がどう経費用いているかもわからぬ点で一般企業の営業一課と二課の関係からは想像もできぬ不透明さ。とにかく「いい番組作ればよい」といふ至上主義、がいい番組作れなくなると全てが崩壊。それにしても問題は「エビ」で、四日にエビ会長お詫びと再発防止のコメント発表しテレビで流れるが「皆様の受信料をもとに運営しているNHKとして、あってはならないこと」で「きわめて遺憾なこと」は制作での不正経理よりエビ自身「わたくしがNHKの会長であること」が「皆様の受信料をもとに運営しているNHKとして、あってはならないこと」のはず。再発防止と信頼回復、受信料の支払い拒否や留保の増加はエビ本人が辞任することが先決。田中角栄、橋本登美三郎からの流れの最後の汚点がこの海老沢。自民党的な日本社会ではこの海老沢が銀行の地方支店の人事まで関与できたもの。呆れるばかり。

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