富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十二月朔日(水)快晴。早晩に中環のヰンダムストリートのタバキーラフィリピーナ(福和煙有限公司)。かつては港九に三、四軒の店構えた煙草輸入小売大手のこの会社も煙草文化の衰退で最後に残ったアレキサンダーハウスの店もこのビルの改築でなくなり今では細々と会社事務所兼用のこの店一軒のみ。しかも殆ど宣伝も販促も行っておらず。あとどれくらい店がもつか。パイプの喫煙家にはマカオといふ別天地あり税制上香港の半値以下でパイプ種入手も可なのも事実。店を訪れればかつてアレキサンダーハウスの店番とレジ係の女性達者で数年ぶりの再会。オランダのパイプ煙草Clan一包購ふ。オランダはRoyal Theodorus Niemeyerといふ会社が専売公社?か煙草事業寡占しておりパイプ煙草は勿論、巻き煙草のSamsonだの葉巻だの多く取り扱ふ。競馬の予想しつつFCCのバーでドライマティーニ三杯。今晩は沙田でダートだけのレース開催で(来週水曜日の国際騎手トーナメントのためハッピーバレーの芝保養)R2のクラス5でミレミアムダウンといふ二十倍の馬に希望托す。日曜晩に盗賊に襲われ治療休養中のクルーズ調教師の馬も重視。R7の今季ダート戦で三戦全勝のサンパワー(活力)は当然としてR1のゲンキキングに期待大。ヱリントン街の場外で馬券購入。地下鉄で天后。Poppy'sにてシンガポールよりI氏来港しT夫妻とZ嬢と晩餐。素人商売っぽい料理屋だが料理はつくづく美味。ソースの旨み。フランスの赤葡萄酒Les JamellesのMerlot 02を三本飲む。
▼信報に「日本軍国主義者の野心を警戒せよ」と謝剣先生の相変わらずの文章あり。典型的な台湾の外省人の居場所のなさを思ふ。
蘋果日報で映画監督の谷徳昭が香港の映画産業に欠けているのは何か?、監督、脚本家、俳優とどれも不足しているが最も足りぬのは投資者だ、と。クリスマスの繁盛期とて地場の映画は劉徳華周星馳の二本のみ。儲からぬから投資者も減り『無間道』だの周星馳の『功夫』など確実に売れる大作しか資金集まらず。結局は、安易な量産で観衆が香港映画に興味失い、映画館の入場料の半額どころかわずか10ドルでDVDででも買えばいいかといふ悪循環。
▼作詞家黄霑氏の逝去で蔡瀾氏の親友思い出しての随筆もの悲し。夜中の三更半に黄霑が蔡瀾宅に現れ酒盛り始まる様子。倪匡ふくむこの三人の悪友の間では酒の量では倪匡、蔡瀾で黄霑が三人の中では地味だったそうだが黄霑が酔うと洋服を脱ぎ始め肚の贅肉から全身が赤みを帯びて、まさに赤子とはこのこと。
▼多摩のD君より毎日新聞の「記者の目」の記事教えられる。久々に素直に現場の記者が書いた文章読んだ感あり。最近はこういう記事が「上」の配慮で紙上に乗らず朝日でいへば船橋某だの若林某だのといった「権威」の方の毒にも薬にもならぬ文章多し。

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