富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十月廿八日(木)晴。早晩にひとりFCCにパスタ食す。尖沙咀にて薮用済ませ帰宅してFar Eastern Economic Review誌捲れば“Gay Asia”なる特集に北朝鮮からセクシュアリティを事由に「脱北」せし男性の記事あり。この現在四十三歳の男性、母の勧めの相手と結婚したものの妻に欲するものなく仕事終わっても帰宅を厭ふほど。九年にわたり子どもも産れず。離婚をば考えるが離婚の裁定下りず妻との暮らしに終止符打つがために中国に脱北し!韓国への亡命試みるが韓国外交官の支援拒否され第三国への亡命も図るがそれもならず復た北朝鮮へと戻り軍事境界線を越えて韓国に亡命。韓国の情報部はこの男を保護し亡命理由など問はれ男は「女性との性交渉がもてぬ」と打ち明けると「韓国で医療の最善の治療あり」と告げられる。数年後に新聞紙上に二人の男の接吻の写真を見て自らが同性愛の嗜好あることまじまじと自覚。而して衆道に至る、と。政治的、経済的でもなくセクシュアリティによる亡命ありしことは日本でもイラン人Sさんの亡命などあり。ところでFEER誌なる硬派経済誌のこの特集、なにに触発されてかといへば「あの」シンガポールがこの夏、男色家集まる「ネイションパーティ」の開催地となったことでシンガポールも保守的なる健全社会「治安」に緩和かと思われたわけだが、実際にはアジアの国際都市目ざすシンガポールにとって(当然、敵は香港だが)二千七百人もの男色家海外よりシンガポールに集結し六百万米ドルといふ所謂“Pink Dollars”をばシンガポールに落とせば経済効果も少なからず。かつてシンガポールが男色をば厭ふは儒家老荘の倫理よか寧ろ人口増加が重要な国策のシンガポールにあって男色の非社会生産性こそ実際の問題であったのだろうが結局、それがヘテロにも況して遜色らぬ経済効果などあるとわかればシンガポールなどシドニーだのバンコクに負けじとゲイキャピタルをば標榜か。経済の下部構造まざまざと見せられる。
▼昨日香港愚政府の財政司長唐某が大嶼山(ランタオ島)開発計画発表。珠江をば跨ぐ大橋の建設、東涌より昴坪の大仏までのケーブルカー建設のほか香港ネズミーランドに次ぐテーマパーク建設もあり長沙の美しき海岸にも水上スポーツ施設建設とか。自然をばそのまま残すことの賢明さ知らぬ政府の愚かなる開発に呆れるばかり。

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