富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十月廿七日(水)昨晩遅く二ヶ月ぶりかの雨あり。今朝はすでに止み地面多少湿る程度ながら僅かなりとも煤塵も流れたか風に草木の青くささもあり。最近ひとつ心地よきことはミニバスで目障り耳障りな映像の放映なし。はじめはバス一台での故障かと思ったがいずれのバスも放映せず広告代に頼るこの番組制作並びに提供の会社が広告とるも難儀しての経営破綻かミニバス経営会社(つまりミニバス大王・馬亜木氏)との提携折り合わず、か。いずれにせよくだらぬ映像をば毎日見せられることなく嬉しきこと。これで九龍バスなども同じく放映なくなればよいのだが問題はあちらの場合この放映会社が九龍バスの経営であること。資本力もあり広告も集まりそう簡単には止めまい。早晩にT氏と帰宅が一緒になり半年ぶりかでQuarry BayのEast End地ビール一飲。久々に訪れても従業員の親しさ変わらず。流れでT氏拙宅に誘い薩摩酒造の「明治の正中」飲み豚汁と栗ご飯。競馬全く擦りもせず。
▼香港政府衛生福利及食物局の局長でSARSの対応の拙さの責任とり実質的に更迭の前任者襲った新任の周某なる局長に対しこの人の九十余の老父が公立エリザベス病院に危篤で入院したものの高級個室病棟に入りすでに九ヶ月、集中治療受けるが救急患者用の施設であり個室は一日三千ドルの病室料金のところ、この父は退職高級公務員が故に福利恩恵あり僅か一割の三百ドル支払えばよく、しかも息子がかつてこの病院の院長歴任し現在は香港医療のトップとあっては、それもあっての厚遇と新聞に書かれる。周局長曰く老父は癌に冒され両足截断の上に腹膜炎も併発しており集中治療必要と。個室の廉価待遇もあくまで父の職歴ゆへのもので局長本人の意向には非ずと述べる。そうかも知れぬが不公平と思われても致し方あるまひ。
▼先週末に立法会にて民主派の無党派議員張超雄君が「突然」07年08年の普通選挙実施につき住民投票にて賛否をば問ふ動議提出。民主派にはこの普選実施要求あるものの立法会始まりしかも無党派議員からの直接のストレート球に北京駐港官員及び香港政府高官も驚き普通選挙についてはすでに全人代常委の手続き決定ありと主張。住民投票実施については法的論拠の解釈に精華大学法学院副院長の王振民が登場。中国政府の意向に沿った法解釈を担ふ「護法」学者は今年初めの愛国論争などで「四大護法」など登場したものの余りの粗野なる御用学者ぶりに香港の法学者らにただ嗤われ退散。若手の王振民はその四老護法に替わり登場の「新護法」。彼の主張を紹介せば、住民投票実施の主張は立法会議員として相応しくなく、何故なら議員就任時の宣誓にて香港基本法の遵守を約っており基本法にこの住民投票の規定なく、それの実施を主張することは基本法に矛盾し、因って議員の資格なし、と(嗤)。さすが中国代表する大学の御用法学者。信報の廿五日の社説が、周知の如く「普通法の法治の精神は法律に制限謳われなきことはできる」のであり、言い換えれば、基本法住民投票の禁止がないといふことはその投票の権利がある、といふこと、と。御意。ちなみに信報は社はこの住民投票が現状では政治的にはリスク大きく、法律的にも基本法普通選挙実施について基本法に付件として全人代常委での批准の必要性など謳っておるため普通選挙実施のための住民投票実施は基本法に合致せず(普通選挙実施にあたってはこの付件の内容変更を要す)とする。
信報といへば米国政界の解説記事でBarack Obamaの紙面四分の一使った特集記事。日本語のGoogleBarack Obamaで検索せば二百件にも満たぬヒットでカタカナでは僅か三十八件のみ。ちなみに巨人の星のオズマだと千件以上のヒット。イリノイ州の州議会上院議員にて十一月の選挙にて民主党からイリノイ州選出の連邦上院議員に立候補。大統領選でのケリー候補の応援演説に出るほどの民主党の若手注目株だが何故米国五十一番目の州とすら謂われる、親米であるはずの日本でここまでObamaの報道すらないのか不思議。香港では何度このObamaの記事を見たことか。

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