富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十月初四(月)快晴。早晩にFCCに用事あり帰りに香港政府合署の前通れば警備員が配置され閉門のうえ路上には二人の警官。かつて97年の返還前は門すらなくBattery Path側は塀すらなく夜中でも通り過ぎることが可能であった政庁が高い塀をばめぐらして今では人を寄せ付けず。金鐘にて「かつては万年筆」のモンブランの代理店にて長く営業するC氏と星巴珈琲。Trailwalkerをば警官二名、消防員との組にて二十二時間にて走破だそうな。C氏と出会った頃に幼稚園であった息子が今では十四歳とは月日ばかり早く過ぎる。帰宅して秋刀魚を食す。ビジネストラベラー誌読めばベトナム航空の広告あり(写真)。写真は「涼しげなイメージ」であり、まさか実際にベトナム航空ではビジネスクラスが籐椅子とは思わぬが「もしかすると」などといふ予感もあり(笑)。エミレーツ航空の頭等客槍など「やりすぎ」であろうしヴァージン航空のアッパークラスの寝床はかなり宣伝しているが背もたれを前に倒して寝床にするといふのは、つまり一旦立ち上がらねばならぬわけで、坐って徐々に椅子を倒すに従い眠りにおちるのがフライト中は自然だと思うと、この一旦立ち上がって背もたれを前に倒してシーツ敷いて毛布かけてベッド作ることに根本的に発想の間違いあり。ベトナム航空で香港からサイゴンくらいまでの距離なら籐椅子も風情ありかも。風呂にはいっていて突然「おもちゃのチャチャチャ」をば口遊む自分を知る。なぜ突然。それにしてもこの曲のファンキーさは大したものだが、冒頭の「おもちゃのチャチャチャ」の「チャチャチャ」の部分の和音(ドミソラ)が今では慣れたが子供の頃、C→F→G7に慣れた耳にはこのCにどうしてラの音がつくんだ?の音にかなり衝撃覚えたもの。老いて幼き頃の、ずっと忘れていた遙か昔の些細なこと思い出すこと多し。
▼久が原のT君より漫然とNHK教育テレヴィジョン見ておればいきなり二村定一×天野喜久惠の長閑に歌ふ「アラビアの歌」が流れ柳家花緑師匠御案内のアラビア語講座。米国で「スキヤキソング」流れ芸者現れ日本語講座始まる如し。
▼築地のH君が昨晩のNHKの7時のニュースでトップは「シアトルのそばのなんとかいう火山が噴火のおそれ」で次が「イラクで米軍が大規模な掃討作戦」。三つ目が「台風で行方不明者の捜索続行中」となり、外国の火山が噴火しそうだ、が日本のニュースでどれほどの意味あるのか、と。而も火山学者のコメントは「噴火しても大きな災害にはつながらないだろう」では、勘ぐればイラク情勢を後回しにしたい一心か、それよりも国内の台風で実際に被災者が出ている方が優先のはずで、理解不能なり、と。シアトルのそばでイチロー絡みか(笑)。火山噴火でイチローの安否とか。台風の被害はイチローに一番関係ないか、と思ったがイチローの出身地にも近い台風被害のはず。H君彷彿するはバースやローズが王のホームラン記録を破りそうになった時の敬遠の「王さんの目の前でガイジンに記録を破らせるわけにはいかない」のお返しで今回のイチローも「日本人ごときに記録は破らせない」という意図が働くのではないかという観測に対して実際には確かにいっとき敬遠だの微妙な判定も出たがすぐに収まり、スタンディングオベーションだの逆に米国はイチローに非常に好意的。不愉快に思った米国民も少なからずいただろうがそれが出そうになると封じ込めるだけの「良識」が世論にあり。ブッシュのイラク侵攻への反対世論など(これも気づくのは遅かったが)米国社会の辛うじて残された健全さか。東京新聞ダイエーの元コーチでローズの敬遠を指示したといわれる若菜氏のコメントとり「いま考えると余計な配慮だったかもしれない」と語られたとか。ところでヘラルドトリビューン紙(紐育時報)はスポーツ面でイチローの記録達成の記事でイチローを“Suzuki”と呼び記事でその選手が日本人であることについての言及一切なし。ところでその鈴木選手が記録達成で一塁ベース上で帽子とって軽く会釈した映像見て思ったのは小津の「長屋紳士録」で田代青年演じた頃の笠智衆と似ていること。
郵政民営化に関する「有識者」会議から今度は民営化具体策講じる郵政民営化情報システム検討会議が発足。座長は加藤寛千葉商科大学学長)。まだ、或は「また」でもいいが加藤寛か。二十年、日本といふのはこういふ人たちの間のお手盛り続くばかり。ついでに言及せば武器輸出三原則見直し図る安全保障と防衛力に関する懇談会もあり。有識者会議だとか懇談会といふがその可否問ふものに非ず最初から民営化だの武器輸出をどうすればできるかが前提。開玩笑。NHKのニュース10にて武器輸出三原則につき首相が佐藤栄作君の当時財界の男芸者と揶揄されたエーチャンですらベトナム戦争で武器は共産圏並びに戦争紛争当事国(米国は実質的に当事国?)にも輸出禁じる歯止めあり三木首相当時は武器輸出につき輸出も憲法に則り慎むと首相答弁あり。隔世の感あり。

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