富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

九月廿九日(水)晴。昼までZ嬢とQuarry BayよりSir Cecil Rideをば二時間、10kmほど歩く。この丘陵の小徑が先の大戦での日本軍の進軍路でありブレーマー山の中腹は八五年の英籍少年少女殺戮の現場で加害者の一人で「等候董建華發落」待った受刑者は昨日出所。英軍の野営場だの山中には戦跡もあり(写真)。昼にCitysuperの元八らーめん。Z嬢初めて食す。午後早くジム。文房具など購入し一旦帰宅。自宅片づけ。早晩にZ嬢とFCCに食す。湾仔の芸術中心にて是枝裕和監督の映画『誰も知らない』観る。子供が主人公の悲劇、不条理はドラマにしやすいわけで映画祭などでも関心が集まるものだが、秋から冬、春、夏と一年かけて子供四人のその一年での成長がよくわかる丁寧な作りで、悲惨な実話をば映画作品に上手く仕上げる。だが、後半から結末の展開は作りすぎ、大人の幻想ばかりの感あり。主役の柳楽少年(Z嬢の郷里の中学の後輩にあたるそうだが)の演技も確かに映画にハマっていても十二、三歳の少年が監督の指示通りに動いている中で何処からが自らの解釈で演技なのか、名子役はこれまでもいくらでもいるわけで、それでカンヌ映画祭で主演男優賞とはカンヌ映画祭の主催者側が何を考えているのか、結局は芥川賞と同じで話題性なのかと疑うばかり。せめて作品賞ならわかる気がするのだが。終わってグランドハイアットホテルの側らの公園から追月を眺める(写真)。
▼真夜中のシャンゼリゼ大通りを時速140キロで飛ばすポルシェ警察に止められて降りてきたのはリビア最高指導者カダフィ大佐の息子で泥酔(こちら)。北京空港に現れた金正日総書記の長男・金正男氏と思われる男は派手な開襟シャツとジャケットで首に金と翡翠のネックレスで派手なサングラスはナイトクラブの業界筋の如し(こちら)。中国では共産党幹部の子弟の厚遇。李鵬一族は中国の電力発電をば掌握。中国で中秋の月餅の高級化進み勿論たかだか月餅で材料吟味しても数万元の月餅など作れる筈もなく月餅の箱開けるとデジタルビデオ機、万年筆や高級ライター、厳選茶葉などの詰め合わせで、ついに今年は三十一万元の月餅詰め合わせ登場。開けてみれば不動産の契約書つき(笑)。贈答=贈収賄のためこれが売れるといふ。
▼SARSの疫禍の責任ようやくとって間もなく辞任の衛生植物及福利局局長楊永強君はマレーシア華僑にて広東語解すが実は話すだけで中文は読めず。つまりSARS疫禍以降に自らがどれだけ罵倒されようが新聞雑誌でそれを読めず。これはかなり本人には幸いしたかと退任にあたり新聞に皮肉書かれる。
チベット仏教にてダライラマに次ぐ地位にあるパンチェンラマは印度に亡命したダライラマとは好対照に先代が北京に身を置いて親中の態度をとり、先代の死後にダライラマがパンチェンラマと指したNyima少年が中国政府当局の軟禁状態におかれ(こちら)北京政府はニマ君とは別の少年ノルブ君をパンチェンラマに据える。この14歳のノブル少年がパンチェンラマとして5年目?で初めての記者会見。当然の如く中国政府の指導下でのチベットの経済発展と安定がチベットにとって利益になっている旨の発言。北京での思想教育の賜物か。ただし老獪さでは中共チベット仏教総部も負けず劣らず、でこのパンチェンラマ一派がどこまで北京の傀儡なのか実はわかった上での振る舞いなのかは誰もわからず。

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