富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

七月七日(水)雷雨。夏の旅用に独逸のdeuter社のリュック購入。十歳の頃か長野の黒姫山に野営に訪れる機会ありご近所の登山家芳野満彦氏の登山用品屋にて母にリュックや水筒買って貰った日をふと思い出す。星座盤も用意してくれたが実際の夜空には満天の星輝き星の数多さに星座盤も役立たず。若い頃に雑誌「アルプ」を読み書棚に古いアルプや尾崎喜八串田孫一の本並ぶ母。それゆへ靴もキャラバン靴まで購ったくれたはいいが所詮子どものキャンプにて川遊びだの多く閉口したのも思い出。次は大学の頃に中国に夏、数ヶ月に渡り一人遊ぶ頃に当時のバックパッカーに流行りのフレームザック購入。当時、招聘元もなければ中国の個人旅行の査証取得難しく香港経由にて中国入りが常套手段。H.I.S.の格安パックにてパンナム001便にて深更に香港に到着し佐敦の富士屋ホテルなどに押し込まれ旅券預けると「あら不思議」翌朝には中国査証押されホンハム駅より羅湖の国境に向かふ、そのH.I.S.で当時、香港駐在でその旅行取り扱いしていたのがH.I.S.で今では常務取締役海外事業管掌兼情報システム本部長の要職にあるG氏(会社概要)。なぜ氏の名前いまだ記憶にあるかといへば当時、会社設立したばかりで「かなり怪しい」H.I.S.の国内営業所の一つ仙台支店で「香港でホテルについたら現地のゴ・チョーというスタッフがホテルに来て旅券預かりますから」と説明され、実際にホテルに現れた呉銚と書くのか呉晁だか、その人に名刺出され「五町」と解った次第。鮮明な印象あり。閑話休題それゆへにリュックといふと夏の到来、何か楽しきこと始まる気分あり。リュック抱えて早晩にジム。小一時間鍛錬。帰宅してテレビ見れば香港政府衛生局長楊永強君SARSでの責任とり辞任と行政長官董建華君が晩に緊急記者会見し発表。夕餉のあと急ぎ日刊ベリタに送稿(こちら)。NHKニュース10見ればプロ野球チーム再編のニュースは曽我ひとみさんより扱い先で10分以上を要し讀賣巨人「軍」渡邉恒夫大元帥閣下へのインタビューも5分に及ぶ。野球に興味なき者にはなぜこの報道がこれほど重要なのか、なぜナヴェツネをばNHKがかうも丁寧に扱いナヴェツネの尊大なる言動をば聞かされなければならぬのかと呆れるばかり。
▼盧溝橋事件いわゆる支那事変から六十七年。当時、遠い支那の北京郊外での中国軍への発砲「騒ぎ」がまさか日本に原爆落ちて焦土と化すあの結末になるとは誰も予想せず。本日の蘋果日報の論壇に曹長青といふ在米の作家の文章あり、この七七事変につき毎年この時期になると中国にて歴史回顧のフィルムなどテレビに流れ曹氏最も気になるはこの抗日運動での中国共産党の扱い歴史の史実越えて評価大きくなること。まずこの抗日の期間確かに中共の勢力増強あり西安事件など起きて国共合作もあるがあくまで国家の主導権は国民党にあり共産党の主導にて抗日運動が行われたのでないこと。次に抗日戦では国民党が主要なる戦場にあり中共軍は遊撃や敵の後方よりの攪乱などに当り八年の抗戦で国軍の死傷者三四一万人に対して中共軍は六一万人といふ数字あり。三つ目として抗日戦の映画など見ると日本軍、敵の共産軍を八路軍と呼ぶが国共合作にて国軍に編入されし共産軍が八路軍であり(活躍には目覚ましき点もあるが)僅か二万人規模の軍隊で国軍全体の規模からし八路軍が当時の抗日軍の象徴の如く扱われることへの懐疑。4つ目に日本が降伏しミズーリー号艦上にて降伏文書に署名するその場に中国代表し出席したのは国民党の徐永昌上将であり中共はこの降伏に直接携っておらぬこと。そして最後に近年の史料によれば毛沢東は当時「三割抗日七割発展」掲げ抗日戦に消極的であったこと、日本軍壊滅に功績あった彭徳懐将軍を軍規処分にしていること、王震率いる共産軍が南方にて阿片製造行い資金源としていたこと。こういった点を含め考えると今日の七七事変での中共賛美が偏っていると曹氏指摘。この説そのまま鵜呑にはせぬが歴史などこうして現世の権力組織の都合よく書き換えられていくことの証左か。
▼いわゆる校内暴力の廉にて検挙されし中学三年若干十七歳の少年、裁判の場に大麻艸大きくプリントされたTシャツ着て出廷し裁判官より司法に対する反発かと出廷の際の服装に留意するよう指摘あり。大麻艸程度での反応超過敏。
参議院選自民党結党以来の危機にて頼みの綱は創価学会とか。かつてあれ程の反創価であった自民党党存続のためなら節操なく共産党との連立すら可か。何れの靴とて嘗めるも厭わぬ節操のなさ。小泉三世もこのままいけば選挙敗北の責任とって辞任。自民党にとっては本来は小泉首班以前に既に党の危機にあり嘗ての賢人・三木武夫の如く変人・小泉三世といふ自民党にとっては異質担ぐことにて延命措置。この人選小泉三世ご本人「自民党をぶっ壊す!」と宣ひ国民の支持得て自民党安泰で寧ろ「日本をぶっ壊した!」が事実。小泉三世の変人ぶり解っていたことで三世本人には何ら責任もなし。変人ゆえ支持高しとわかれば俄然変人ぶりに拍車かかるは必須。その三世に八割以上の国民が期待したこと結局自らの国をばこれまでの自民党政権何れもが踏み込めず躊躇した国家の大事の案件をば悉く「クリア」。その変人をば今日迄首相に据える民意。今になって漸く小泉離れまで実に巨きな代償。救われず。
▼朝日1面記事「小6、包丁切りつけ」と見出しあり。包丁「で」切りつけ、の「で」省略よいかどうか。「ナベサダ兄殺害」ほどインパクトないが主語「小6」と動詞「切りつけ」の間に名詞入らば自然には「を」省かれた目的語と思うわけで、あ、包丁「で」か、と納得の作業要す。

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